表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっぱいを好きなのは、男の子だけじゃありませんっ!  作者: 或木あんたす
第1章「おっぱい教徒の日常は、普通のラブコメじゃありませんっ」
2/47

第2話 おっぱい教徒とおっぱい様

 



 ……はい、そうです僕です。




 現野夢人、と書いて、おっぱい星人と読む。稀代のおっぱい好きにして、常におっぱいのことしか考えていない、煩悩男子高校生、現野夢人です。




 かと言って別段イケメンでもなく、勉強もスポーツも大してできるわけでもなく、クラスでも地味で友達もいない、いわゆる陰キャの僕が、本物のおっぱいを見たことがあるわけもなく。(ええ、ないですよ、何か問題でも!)




 その一方で、おっぱいに対する多大な好奇心と、溢れ出る思春期的衝動によって形成された、対異性・視姦バイアス「選胸眼」(!)により、日々すれ違う異性の胸を、その大きさとカタチによって分類、格付けする、残念こじらせおっぱいフェチ。




 例えば、僕、現野夢人は同クラスの前座席女子、白井あやかさんのことを、内面ではこう呼んでいる。




 ――『B75お椀』!!




 ……もはや戦車みたいだけど、解説するとこうなる。


 まず、「B」はブラジャーのカップ数。


 次の「75」はバストトップの数字で。


 最後の「お椀」が「おっぱいの型」。


 ……みたいな感じである。




 ……どうですか、引いたでしょう! あはは、照れるなぁ!




(いやあ、僕ぐらいになるとね、もう全校女子生徒のバストサイズとか、カップを暗記しちゃってるくらいですからね。ぶっちゃけもう顔とかどうでもよくて、どっちかというと、胸の特徴で女子を見分ける方が楽と言いますか……)




 ……まぁ、僕にとって女性という存在は、……はい、しゃべるおっぱい、みたいなもんですかね。ええ。




 ……。




 ……なんて、周囲にカミングアウトできるわけもなく。




 日々細々と。


 可はなく、どちらかといえば不可の方が多い、それでも平凡な陰キャ男子高校生を演じ。


 周囲のおっぱいを目で追いながら、心の中では、常におっぱいで荒れ狂っている。


 それこそが、僕のこれまでの日常だったはず。





 ……なのに。






(――なんだ、この非日常的な神おっぱいはあああああッ!! チラッと観察(要約:ガン見)しただけでも、バスト88、カップ数Fもあるよッ!? そして何より……)






 僕は密かに、拳から血を流すほど握りしめ、






(おっぱいの型が、日本ではめったに見られない『半球型』とはあああおおおおおおおおおおおッ!!! うおおおおおおおおおおおおおおお!!)






 声にならない絶叫を、一人何度も繰り返す。


 要は、驚きとか感動とか、よくわからないものが胸をひしめくあまり、僕は極度の興奮状態に陥っているのです。ギリ精神崩壊の手前といっても過言ではありません。




 それは、彼女が転校生として朝のSHRに参加した時から。


 「学校の案内を兼ねて」と、担任の隠れ蓑をまとった職務怠慢に、一緒に付き合わされることになった時も。


 資料整理を始めた早々に、校内放送に呼び出された担任が、僕らを残して資料室を離れた時も。


 そして今に至るまで、僕の脳は崩壊寸前なのです。




 そんな状況で、普段すごく気を遣ってやっと人並みに会話できるコミュ障の僕が、彼女との間を持たせられるはずもなく。


 もはや彼女、宮歌・F・88半球さんのほうを、まともに直視すらできない状態のまま、ただ黙々と資料整理を続ける、という地獄をかれこれ十五分は味わっているのです。




 ……きゅ、救助要請を申請するであります、軍曹!




 そっと密かに敬礼をしつつ、疲労やら緊張やらで心の涙を流す僕。


F・88半球さんはというと、同じように気まずさを感じているのか、黙々と自分の作業を――、





「……あの、……疲れました、ね……?」





 ――中断して僕に話しかけてきているだとッ!?




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ