12 ロリコンではなくシスコンです
いつも読んでいただきありがとうございます。
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おかげさまで日間1位をいただきました。
読んでいただいている皆様のおかげです。本当に感謝しかありません。
次回は回想編になります。ちょっとシリアスな内容になりますが、楓という人物を説明するには避けられない内容になりました。
更新は早ければ今日中にもう一度する予定です。よければ読んでみて下さい。
「いいか? 先に言っておくけど偶然だからな!?」
幼女と手を繋いだイケメン。絵的には微笑ましい兄妹の光景。これはまず間違いない。まぁ陽の見た目じゃなければ通報案件かもしれない。
先ほどおにいちゃんと聞こえたので妹なのだろう。よく見ると顔立ちがそっくりである。将来は美人というよりはカッコいい女性になりそうだ。担任の藤原あずみに近いだろうか。
「こいつは妹の陽凪だ。ほら挨拶!」
「はるなです! いつもおにいちゃんが迷惑かけてます!」
陽は顔が引きつっている。
「しかし、おまえやっぱりその格好似合うな! 冗談抜きでカッコいい!」
「おにいちゃんよりカッコいいね!」と言われて「そ、そんなことないだろ?」と涙目になっているのは触れないほうが良さそうだ。
だがその陽の一言に夕月の様子が少し変化した。
「………神代くん……やっぱり……って?」
「……なんのことだ?」
「……………むう」
ジト目で頰を膨らませている。陽には秘密ということをすっかり忘れていた。陽も苦笑している。
夕月は改めて楓の全身を見ると「はぁ…」とため息をついた。
そんな様子を見ていた陽が間に入ってきた。
「まぁまぁ夕月さん。こいつが相談できるの俺ぐらいなんだから許してやってよ。ちなみに俺に相談しなかった場合、そこに立っている脳筋男はただのボディガードになってたよ?」
「………ボディ…ガード?」
「こいつに試しに服選ばせてみたんだよ。そしたら迷わずスーツ選んでた」
「………………藍原さん……ありがとう」
スーツの何が悪いのであろうか。夕月の機嫌は回復したようだが納得がいかない。
◇ ◇ ◇
「じゃあ俺らはもう行くから後は二人でごゆっくり」
と、陽がその場を離れようとしたのだが陽凪は夕月の手を握って離さない。
「じゃあねおにいちゃん! 気をつけて帰るんだよー?」
「おい!!」
笑顔の陽凪と泣きそうな陽。その様子を見て苦笑した夕月が口を開いた。
「………せっかく…なので………皆で…お昼まだなので…一緒に」
「夕月さんいいの?」
「……うん……楽しそう」
陽は少し考えた後、申し訳なさそうに笑って見せた。
―――
休憩所のテーブルには楓と夕月。対面に陽と陽凪。四人の容姿の良さから結構な注目を集めている。その中でも夕月は飛び抜けているようで、チラチラと視線を送る男は多い。
「なんか見られまくってんな。黙らせてくるか?」
「何するつもりなんだよおまえは。我慢しろ」
普段だと注目は夕月と陽に集まるだろう。二人が恋人だと納得する人も多いはずだ。だが今日は少し違う。夕月の隣にいるのは楓で、恋人だと思われても違和感は無い。
なので今日の楓は周りの女性から注目を集めており、普段とは違う種の視線に若干イライラしていた。異性に興味が無い訳では無い。だが隣の夕月を見ると全てが霞んで見えた。それゆえに外からの視線はただただ鬱陶しい。
そんな様子を察したのか、陽は「まぁまぁ」となだめている。
「ほら、食べようぜ! うちの母親の料理もなかなかだぞ?」
夕月の料理も合わせてなかなか豪華な食卓となった。
もりもりと口に詰め込んでいく陽凪を見ていると怒る気も失せてきた。
「おにいちゃん! お母さんのより美味しい!」
「それ家帰っても絶対言うなよ? 血の雨が降る。俺のな」
陽凪が絶妙に空気を読めないことがかえってよかったのかもしれない。場に和やかな空気が流れ、楽しい昼食となった。
「そういえばさ。なかなか聞けなかったけど楓ってなんでボクシングやってるの? もう命懸けてるぐらいの勢いだよな? いや、殴り合いだから命懸けなんだろうけど」
「…………わたしも……気になる……かなり」
「いや、無理にとは言わないけどな」と気を遣って付け足す。
目を瞑って楓は少し考える。他人に話しても特別面白い話でもない。だから今まで誰かに話したことは無かった。
ボクシングを始めることは両親も反対しなかった。応援もしてくれた。だがその理由については聞かれていない。
「特別面白い話でもねえぞ? 時間の無駄だと思うが」
「無駄かどうか決めるのはおまえじゃないだろ。俺達だ。これでも応援してるんだよ。だから気になる」
夕月も控えめに首を縦に振る。
「だけど無理矢理聞きたいって訳じゃないからな? 話すのが嫌なら絶対に話すな。嫌な思いをさせたい訳じゃないんだ」
「………まぁ隠すことでもない。今まで聞かれなかっただけで。おまえら物好きだな」
苦笑すると思い出すようにゆっくりと話し始める。
「初めて俺にボクシングを教えてくれたのは天童明っておっさんだ。8歳の時だったな。ムカつくおっさんだった」
「え? 天童ってあの天童か?」
「あぁ、多分その天童だ」
――天童明。
31歳にこの世を去った。日本人最強の呼び声高かったWBC、WBAフェザー級統一世界王者。
自らの命を削るかのように猛スピードで時代を駆け抜けた天才は、その人生の最終章で強く輝く原石に出会う。
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