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『叶うならもう一度――』
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追われている。何があっても俺を狙い続けるしつこい奴に。無論、いくら願っても止まってくれないし、諦めてくれない。俺が何もかもを終わらせてしまわないと、奴はその距離を詰めてくる。
最初の頃はそれを運命だと受け入れて、追いつかれないよう精一杯過ごしていた。それで充分終わっていたのに。
俺にも限界が来たんだろう。いつからか奴はすぐ後ろに迫っていて、俺はある人に助けを乞うようになった。それでもやつが待ってくれるのは少しの間だけ。その間俺は寝る時間を取ることもなく奴から逃げ続ける。
今回もその間に終わるだろうと思っていたのに。奴は今、俺に飛びかかろうとしている。
もう一度、俺はある人に助けを求める。今、俺の願いが叶うならもう一度――。
「〆切、伸ばしてもらえませんかねぇ……」
「無理です」
――――。




