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『愛の行き着く先』
次回から暫く、これまでに書いてきた短編を上げます。一日一本投稿が続きます。よろしくお願いします。
愛はまるでバラのよう。花のように美しく、トゲのように恐ろしい。夢中になれば美しい花を想い、行き過ぎた想いはトゲのように人を刺す。美しい花に手を伸ばせば、トゲがその手を刺し払う。
守ってくれるのもトゲ。壊してしまうのもトゲ。恋愛はそういうものなのだ、と語る彼。
「あぁ、なんて恐ろしい――」
「――バカじゃないの」
止まることなく飛び出た本心。彼は当然のようにバカとはなんだ、と返してくる。
「恐ろしいことをわかっているのに。壊れることを知っているのに。それでも貴方は恋に憧れて、愛に憧れる。そんな貴方がバカだと言ったの」
「憧れは夢にかわり、夢は現実へとなる。君がバカだという僕は、憧れを実現したんだよ」
両手両足につけられた枷を見る。きっと彼は否定されても止まらなかった。自らの愛が行き着く先が正しいものだと信じていたから。




