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童話

あかりとくろいもやもや

作者: 功刀攸

 めのまえが、キラキラ かがやいている。

 あか あお きいろ。

 みどり ピンク オレンジ。

 いろんな いろが、たくさんある。


「ここは、どこ?」


 あかり、こんなところ しらない。

 みぎ、ひだり。うえ、した。

 どこをみても、あか あお きいろ。

 いろんな いろで、あふれている。


「みちは、まえと うしろ。ここは、まるで めいろ みたい」


 どうしよう。


「どうやって、ここからでたら いいのかな?」


 あかりは、めいろに はいったことが ありません。

 めいろの えほんで、あそんだことは あります。

 えほんの めいろは、スタートから ゴールまで、ふしぎなみちが ありました。

 でも、ここに スタートは ありません。

 ここは、めいろの なか。

 どこかにある ゴールを、さがさなければ いけません。


「よし。まえに いこう!」


 トコトコ トコトコ。

 あかりは、あるきます。

 トコトコ トコトコ。

 ズズッ ズズッ。

 トコトコ ズズズッ。

 トコッ。

 うしろから、へんなおとが きこえます。

 ズズズッ ズズッ。

 なんのおと かな?


「くろい もやもや?」


 うしろを ふりむくと、くろい もやもやした へんなものが いました。

 くろい もやもやは、ユラユラと うごいています。


 こわい こわい。

 なんだ あれ。


「うわああああ!!」


 あかりは、はしりだそうと しました。

 けれど、あしが おもくて はしれません。

 あるくことしか、できません。


 どうして どうして。

 なんで?

 はやく、ここから にげたいのに。


「ううううう」


 どうして、あしが おもいのだろう。

 どうして、はしれないのだろう。

 あかりは、ポロポロと ないてしまいました。

 ポロポロ ポロポロ。

 なみだが ゆかに おちていきます。

 ズッ ズッ。

 くろい もやもやが、あかりに ちかづいてきます。


「あかり、あかり」


 だれかの こえが、きこえます。


「だあれ?」

「あかり、あかり」

「どこに いるの?」

「こっち、こっち」

「こっちって、どこ?」

「おいで、こっちに」

「こっちって どこ?」


 だれかの こえは、あかりの なまえを よんでいます。

 どこから こえが、きこえているのでしょう?

 あか あお きいろ。

 みどり ピンク オレンジ。

 いろんな いろの、めいろの なか。

 まえ かな?

 うしろ かな?

 うえ かな?

 した かな?

 みぎ かな?

 ひだり かな?

 あかりは、だれかの こえが、まえから きこえることに きがつきました。


「おいで、おいで。こっちだよ」

「まって!」


 あかりは、あるきだしました。

 トコトコ トコトコ。

 ズズズッ ズズッ。

 くろい もやもやが、ついてきます。

 トコトコ トコトコ。

 ズズズッ ズッ。


「おいで、おいで」

「まって! まって!」

「こっちだよ」

「おいていかないで!」


 はしりたいのに、あしが おもくて はしれません。

 ズズズズッ。

 ズズッ。

 こえの きこえないみちに、くろい もやもやが いました。

 こえは まえから きこえます。

 うしろと みぎ。

 そして、ひだりのみちは くろい もやもやが います。

 あかりは、まえへ まえへと すすみました。


「はやく いかなきゃ。くろい もやもやに、おいつかれちゃう」

「こっちだよ」

「まってよ!」

「ほら、もうすぐ……」


 めのまえに、ゴールと かかれたドアが ありました。

 あかりは、めいろの でぐちに たどりついたのです。


「ゴールだ!」

「……」

「やっと ついた!」


 あかりは、ドアを あけようと ドアの とってを つかみました。


「あかり、あかり」

「……あれ?」


 こえが、うしろから きこえてきました。

 どうしてでしょうか。

 ポンッ。

 だれかが、あかりの かたを つかみました。

 ゆっくり うしろを みると……。


「ツカマエタ」


 くろい もやもやが いました。

 あかりは、こわくて ついに きをうしなって しまいました。


 キラキラ キラキラ。

 ヒラヒラ ヒラヒラ。

 チチチッ チチッ。

 トトトトトッ。


「あかりー! はやく おきないと、がっこうに おくれるよ」


 めをさますと、そこは あかりの へやでした。

 ふとんの なかから、へやのなかを キョロキョロと みまわします。

 さっきまで、めいろの なかに いたはずなのに……。


「もしかして、ゆめ だったのかな?」

「あかりー! まだ おきてないの?」

「あっ、おきてるよ! おはよう、おかあさん!」


 あかりは、ベッドから とびだしました。

 へやから でると、キッチンで おかあさんが ちょうしょくを つくっていました。


「おはよう、あかり。きょうは、おねぼうさんね」

「きょうは、にちようび だもん!」

「あらあら。でも、がっこうの あるひは ねぼうしちゃ だめよ」

「はーい!」


 もしかして、あの くろい もやもやは、よるの ようせいさん だったのかもしれない!

 くろい もやもやが、わたしを ねぼう させたんだ!

 そうだ そうだ!

 きっと そうだ!


「ねえ、おかあさん」

「なあに、あかり」

「あのね、ゆめのなかで ようせいさんに あったんだよ!」

「そうなの? それは、どんな ようせいさん だったの?」

「あのね! よるの ようせいさん だよ!」


 よるの ようせいさんは、みんなを ねぼうさせちゃう こまったさん なんだよ!


 あかりは、えがおで いいました。

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