その廃村は
モイライ達は、ひたすらグム草原を歩き続ける。
平気な二体の人形の後ろを
疲れきってる真永がヘロヘロと歩いてついてきてる。
それを見かねたモイライは
声をかけるのだった。
「...へちょい」
その言葉に真永はコメディアンの様に突っ込もうとする
が、それよりも早くヒルデが言う。
「モイライ様。へちょいとは?」
それに簡単に説明をするモイライ。
そして二体はそれについての話を広げていく。
一人置いていかれた真永。
その目は点になり、行き場を失くした右手はそのままそこに留まっている。
それから程なくして
1人と二体は廃村へルシェンへと着いたのだ。
「水は乾き、草木も枯れ、ありとあらゆる生物が絶滅した」
真永は何故かナレーターっぽく言う。
そこにモイライが続く。
「しかし人形は絶滅していなかった!」
そう言い、目の前を指さす。
そこにはゆらゆらと揺れる人影が見える。
「ぎゃあぁぁあぁぁっ!!!?」
真永は叫ぶ。
そしてその場で失神するのだった。
「...仕方ない。こいつ失神したし、別のところに行くか」
モイライはそう言うと、
真永を背負いその場を離れてゆく。
モイライは後ろを振り返り、その影を見る。
「モイライ様。どうかなさいましたか?」
しばらくその影を睨みつけるモイライに
ヒルデは尋ねる。
「...いや、なんでもない」
モイライは歩く足を少し早くしてその場を去った。
モイライ達が去ったあとも、
その影はゆっくりと歩いている。
「ア゛ァ゛〜....」
へルシェンを出たモイライ達は
家へと戻っていた。
「...これでいいだろう」
気を失ってる真永をベッドへと運び終えたモイライは
両腕を腰に当てそう言うのだった。
外を見ると夕方を少しすぎている。
モイライは真永をヒルデに任せ、
自室へと戻って行った。
そして...。
「逃げろ、真永!」
「えっ?」
歪な手が真永へと伸びてくる。
それをモイライは阻止しようと駆け寄る。
「ちぃっ!!」
真永を庇ったモイライに
その手は襲いかかり、モイライの腕は破壊されてゆく。
「モイライ!!」
真永の叫びは虚しく
モイライの頭だけが真永の足元に転がってきた。
「うわあああああああっ!!?」
大きな声を上げながら
真永はガバッと勢い良く起き上がる。
真永の額には汗が滴り、
後ろを振り向くと
シーツが汗で濡れている。
心臓の鼓動が早く、
真永は胸を手で押さえつけるようにうずくまっていった。
声を聞きつけ、ヒルデが扉を開けやってくる。
「真永様、どうしましたか!?」
真永は少し震えた声でヒルデに言う。
「ううん。なんでもないの...。少し、怖い夢を見ただけだから」
扉の向こう側に少女が一人
腕を組み、聞いていた。
その目は冷たくも悲しい目をしているように思える。