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武装少女  作者: 荒魏 螢
5/9

少女の心はそこに在らず

少女は列車の揺れに

目を覚ます。


目を開け、景色を見ると

そこはアニーシュ高原を少し過ぎたところだった。


イスオール歴26年。


このイベルアは、

また人形を使う戦争の真っ只中である。


「お目覚めですか。モイライ」


声がする方を向くと

そこには第5武装少女アプサラスがいる。


モイライはアプサラスに言う。


「人形は夢は見ないんだがな...。

懐かしい記憶を思い出していた。」


「記憶...、ですか?」


アプサラスはそう言いながら

椅子に腰掛ける。


モイライは流れていく風景を

見ているフリをする。

静かな時が流れる。

アプサラスは目を閉じ、静かに待っていた。

モイライは目を再び閉じると

また記憶を巡る。


ギムリアム歴14年。


モイライとヒルデは

朝日を浴びながら家路を歩いていた。

ふと、モイライの目に第三人形像が入る。

モイライはゆっくりと歩くのを止め、

その像を見ている。


ヒルデはモイライに声をかけようとするが

その横顔は寂しそうに見えたため、

ヒルデはモイライに声をかけるのを止めるのだった。


「ヒルデ...」


と、名を呼ばれたヒルデは

ハッと前を見る。

そこには苦痛や悲しみが入り交じった表情をする人形(モイライ)がいるのだった。


...。

モイライは静かに目を開ける。

そして、アプサラスに聞くのだった。


「なあ、アプサラス...」


「はい...」


人形()達には、

感情があるのに、何故、泣けないんだろうな?」


モイライの言葉に

アプサラスは考える。

そして言う。


「必要じゃなかったのではないでしょうか?」


モイライは眉を歪める。

続けてモイライは聞く。


「何故、人形()達は生きているんだろうな?」


「人間が必要だと思ったからでしょうか?」


モイライから小さな舌打ちが聞こえた。


モイライは勢いよく立ち上がと

アプサラスに聞くのだ。


「ならっ!...なら何故、

(人形)達は兵器なんだ...」


最初は大きな声だったが

その大きさは段々と萎んでいき、

最後には力をなくす。


そんなモイライにアプサラスは優しく、静かに言うのだ。


「モイライ。貴女が求めていた答えが

これじゃない事は知っています。

でもね、私達は結局、

人の真似事をしている兵器なのです...」


モイライは両手で頭を抱えながら

椅子に座り、アプサラスに詫びる。


「いや、すまない。アプサラス...。

分かっているんだ...。

わかっている」


列車はヴィーオに着いた。

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