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武装少女  作者: 荒魏 螢
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星空の下の紅の武装【後】

モイライはそれを睨みつける。


それらは銃火器型であることがわかる。

そんな中、一人の男がモイライに歩み寄ってくる。


「やあやあ!!ひっっさしぶりだねえぇ~!!

彼の姫君様!」


「性懲りも無く生きていたか」


「どうだいっ!?

あれから数十年!僕はまた新たな力を見つけた!!」


モイライは男の後ろにいるそれをほんの少しだけ見て言う。


「ただの複製兵器(レプリカドール)だろ?」


男は頭を抱え、喜びながら

語るのだ。


「確かに....、確かにっ!!

これは複製兵器だ!!

だが、この数十年間、僕はただオチオチ逃げてただけではない!

試作品ではあるが、これは僕にとって

大きな、偉大な進化!進歩!文明!改革を巻き起こし、

更にはこの国を滅ぼすことが可能なのだっ!!!」


男は天高く両手を広げ、

声を大にして言うのだった。


男は深く深呼吸をすると

モイライ達を見て言う。


「おかしいと思わないか?

何故、この大陸の人間は人間同士で争わない?

何故、人形を使うのか。と?

何故!自ら手を汚すことをやめたのかと!?」


モイライは言う。


「戦闘狂め...」


構えようとするモイライを後目に、

男はそれの方へと行き、歪んだ笑みで言うのだ。


「おっと...、君たちの相手は僕じゃない。

複製兵器(これら)だ」


そう言うやいなや、

大きな破裂音が一つして

弾はモイライの頬を掠める。


モイライは右手を前に突き出す。


「...お前も人形を使ってる。

..ははっ、本当に下らないな。

実に下らない人形戦争だよっ!」


前に出されてるモイライの手は

空を掴む。

モイライは眼を大きく開き叫ぶ。


「来い、アトロポス!!」


空を掴んでた筈のその右手に

少しばかり大きい紅の剣が握られている。


ヒルデはスカートの中から

P-90を取り出す。


モイライが一歩前に踏み出すと

それは一斉に攻撃を仕掛ける。

モイライはその手に持つ剣を軽々と振り回し

全ての弾頭を防いでみせる。


それを後方で見ている男は

実に喜んでいる。


モイライがヒルデに言う。


「ヒルデ、援護を頼むよ。

すぐに終わらせよう。こんな下らない事」


それを聞いたヒルデは

モイライに従う。


「かしこまりました。モイライ」


それだけ言うと

ヒルデは銃器を構える。


「弾は60発です。

見事、ワンショットワンキルさせてみせましょう」


それらは

次の攻撃態勢をとる。


銃器の乾いたガチャリ...。

と言う音が辺りに谺響(こだま)する。


モイライの身体は

何かに押されたかのように

フワッと前へと出る。


刹那、発砲音が数多く

辺りに響き渡る。


弾頭の速度よりも

モイライの足の方が速く

モイライはそれらを華麗に躱してゆく。


ヒルデはその一瞬の隙も見逃さず

相手を確実に撃ち抜いてゆく。


「残り、47発でございます」


男は満足そうにしている。


モイライは

ガラ空きになった所へ向かい、

それを壊していく。

モイライの後を追うヒルデの銃口は

確実にモイライに攻撃のチャンスを与えていった。


壊し捨てていく中で

モイライは一つの複製兵器に嵌る。


剣を振るっていたモイライだが

突然、ガンッ!という

鈍い金属音に気を取られてしまう。


その音のなる方を見て

モイライは悔しそうに叫ぶ。


「ガンブレードかっ!?」


避けるのは間に合わず

モイライはそれを近距離で受けてしまう。


勢い良く飛ばされるモイライに

ヒルデはモイライの名を叫ぶ。

モイライは、ハッと目を開き

空中で後転すると

綺麗に着地を果たす。

よく見ると

モイライの右腕は吹き飛んでいる。


「まだ右腕を失ったくらいだ。

私はまだ戦える!」


モイライは繋がっている左手で

アトロポスを持ち直す。


人形()達は痛覚が鈍い事が

一番の欠点であり、利点かな」


そう言うとモイライは地を蹴り

それを一振りで粉砕する。


程なくして

モイライ達はその戦いに勝利を残す。


ヒルデの持つP-90は残弾1発を残し

そこら中に転がるのが複製兵器達だった。


男は拍手をしながらモイライ達を褒め称える。


「いやぁ~、やっぱりすごいねえ!

試作品と言えど、この数を負かしちゃうんだから!」


ヒルデは銃を構える。


「あっはは~。それはなんだい?

僕を撃つのかい?」


ヒルデは暫し沈黙をした後

銃を下ろす。


モイライは

首を少しヒルデの方に向ける。


「残念ですが、

もう残弾は残っておりません」


ヒルデは感じるのだ。

この男には隙が全くと言っていいほど無い。


「じゃあ僕は今日はもう帰るよ。

今日は挨拶を兼ねて、試作品の起動テストだからね。

じゃ、また会おう!!」


男は背を向けて帰っていく。

ヒルデは再び構え、引き金を引く。


乾いた発砲音がし、男に命中する。

しかし、男は黒い笑みを浮かべて言うのだ。


「きひひひ...。知ってたよ。」


それだけ言うと、男は狭間の中へと消える。


それにヒルデはショックを隠せていない。

そんなヒルデにモイライは言う。


「ヒルデ、帰るぞ。

もう、夜も開けた。星はもう見えない」


辺りは明るさを取り戻しつつあり、

また賑やかさを取り戻そうとする。

モイライ達はそれを後に

真永のいる家へと帰るのだった。

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