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武装少女  作者: 荒魏 螢
2/9

目を覚ます紅の少女【後】

真永を乗せた車は

目的地へと走っていく。


真永はそんな流れてゆく景色を

目を輝かせ、食い入るように見るのだ。


勿論、ただ眺めてるだけの真永ではない。

見たことないものを見つけると

真永はブライドに聞いてくるのだ。


「あ。あれ何?」


と、真永はブライドに聞いてくる。


ブライドはそれを横目で見て答える。


「あれは第三人形像だよ」


聞きなれない。初めて見るものに

真永は感心、興味を示す。


ブライドは続けて言う。


「このイベルア大陸には多くの人形がいるだろ?

約数十年前、この大陸ではその人形を使った争いが絶えなかった。

人形は人の命令により、人も、人形も多くが消えていった。

あー、右が国の兵器。人工兵器人形(オートマーター)

左が反組織。ドゥルジ軍の兵器。殲滅兵器(アークエネミー)

そして真ん中が開発チームが作った武装少女(ゴシックガール)


真永は真ん中のそれだけを見て

ため息を吐くように言う。


武装少女(ゴシックガール).....」


「あー、ごめんよ。つまらない話だったね」


その後、車は静寂を手に入れ

その静寂は、ブリューナク家に着くまで

破られることは無かった。


真永はその像に心を奪われていた。


そして真永を乗せた車は

ブリューナク家へと到着する。

目の前に広がるこれは、豪邸と言える建物である。

真永の口が開いて塞がらず、

それを見たブライドは、笑をこぼすのだ。


「ははっ。東の国にも、ものは違うが

お屋敷があるだろう?」


真永は手と首をブンブン振り回して言う。


「私の家、大きくないし。

このお家、広い!高い!でっかい!!」


すると

扉の向こうから、車椅子に座った

老婆が出てくる。

ブライドはそれに気づいて

その老婆を呼ぶ。


「ケニー。今戻ったよ」


「あら、あなた。おかえりなさい。

それと、ようこそ真永ちゃん。待っていたわ」


ケニーは温かく真永を迎え入れる。


「さあさ、立ち話もなんだし。入りなさい。

お茶も用意してるわ」


真永はその言葉に甘え、

ブリューナク家へと入っていった。


扉を開けると、沢山のメイドが出迎える。

その中の一人が

真永の方へと歩み寄る。


「お待ちしておりました。真永様。

私、メイド長を務めるヒルデ=アーカイムでございます。

これから真永様の身の回りのお世話をさせていただきますので

宜しくお願いします」


「え、あ。は...はい」


ヒルデのメガネの奥に隠れる威圧感に

真永はたじろんでしまう。

ヒルデはそんな真永をじっと見ている。


「え、.....ぁっ、えぇ〜...」


真永は困ったように

目を泳がせていく。

そこに見かねたケニーが間に入るのだった。


「堅苦しいのはここまでにしましょう。

さ、真永ちゃんこっちよ。

ヒルデ。お茶を用意して。

....お菓子もね♪」


「かしこまりました」


深く頭を下げるヒルデ。

彼女は少し顔を上げ、真永の後ろ姿を見送っている。

その目は冷たく、人の目をしてないように思える。

そんな視線を感じとったのか

真永はヒルデの方へと首を向ける。


真永の目に映るヒルデは

どこか、違和感を覚えた。


しかし

そんな事もお菓子を目の前にすると

忘れてしまう。


真永は出される甘味に

随分とご満悦しているようだ。


食事も豪勢で、真永は歓喜している。

遠い親戚は凄い!

と、心の中で大いに喜んでる真永だった。

が。この家はあまりにも広すぎた。


それは

最初の夜の出来事。


真永は夜中にお手洗いを催し、目が覚める。


慣れてないところの夜は

全てが違って見える。

真永は彷徨い、迷い、一つの扉の前へと来てしまう。


真永はなにかに引き寄せられるようにして

その扉を開ける。


「....倉庫、じゃないっぽい」


薄暗く、近くの物しか確認出来ないが

どちらかと言うとこれは

研究室のように見えた。


壁に手を付いて

少しずつ歩くと何かにぶつかる。


「きゃっ?」


真永は転んで尻もちをついてしまう。


「イタタタタ....。もぅ~、なに〜」


真永はぶつかった方を見上げる。

するとそこには一人の少女が両手を鎖で繋げられ

眠っている。


真永はその少女に眼を奪われる。


少女は短い金髪で

赤いゴシック服を着ている。

目は深い緑色をしているのだ。


「えっ?...目が、開いてる?」


真永が驚いていると

その少女が口を開き、こう言うのだ。


「少し、アンモニア臭いな。

漏らしたか?」


その言葉で我に返った真永は

恥ずかしそうにそこを手で抑える。


そんな真永を見た少女は

鎖を外しながら話しかけてくる。


「お漏らしくらい気にするなよ。

人間の生理現象なんだろ?

私にはそう言うのは、..よいしょ。ないから....。んっ、

あれ?...すまない。これ外すの、手伝ってくれないか?」


「あっ、...うん」


真永その少女に近づき、

手首に付いている鎖を外していく。

鎖を外している真永の横で

少女は言う。


「鎖なんて、ただの飾りなんだがな...

どうやら長い間、寝ていたから定着しすぎて外し方を忘れてしまったらしい 」


「あなたは...」


真永が何かを言いかけた所で

扉が勢い良く開かれる。

その大きな音に

心臓が飛び出るくらい驚く真永に対し

平然としている少女がいる。


「真永様。こちらにいらしたのですね?」


ヒルデの表情は読めないが、

怒ってるのは確信する。

真永は青ざめた顔で、少女から一歩身を引く。

その時、外れた鎖も地面に落ちる。

重量感のある金属音が鳴り

ヒルデはその鎖を無言で睨み、

ゆっくりと、こちらに歩み寄る。


そしてヒルデは

少女の前に立つと、少しばかりの沈黙が訪れる。

いよいよダメか。

と思われたが、ヒルデは深く頭を下げ言う。


「おはようございます、モイライ様」


「あぁ、おはよう。ヒルデ。

もっとも、まだ朝ではないけどな」


真永は目が点になり

状況が理解出来ずにいる。


するとモイライは

真永に言うのだ。


「自己紹介がまだだったな。

私はモイライ。人は私を武装少女(ゴシックガール)なんて呼ぶ。

よろしくな、真永」


-----


「反応をキャッチしました!」


「ビーーーンゴーーーーっ!!!

みんな支度して!」

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