86.楽しい体育祭!
いえーい!
あれからまたしばらくが過ぎて、またしても大好きな運動会ですよー!
ヒャッホー!!
「ちょ、瑞穂。お前テンション高過ぎ。どんだけ運動会好きなんだよ…」
焔に、何か冷たい目線で見られるけど、知ったこっちゃないね!
こう…なんて言うんだろうね。
運動会ってさ、血が滾るって言うか…燃えるんだよね!
イヤフー!!
「ったく仕方ねーなぁ。怪我だけはするなよ。落ち着いて行けよ?」
「はーい、お母さん!」
「誰が母親だ!」
「いたいっ!家庭内暴力だー!」
頭を撫でられて、子供扱いを受けてちょっとムカついたのでふざけて呼んでみたら殴られた。
ちょいちょいちょいー!
愛が痛いし重いよー!
まぁ、落ち込まれるより全然良いけどね。
あれは寂しかった。
有り得ないレベルで寂しかった。
だから忘れよう。
「で、お前今回は何に出んの?」
「んーっと、今回は自重したから、リレーくらいかな。あと全員参加の奴」
「え、そんな自重出来たのか?お前が?」
「失礼だなぁ!私だって、副委員長として他の人の活躍の場を作ったりするよ!」
何でそんなドン引きしたような目で私を見てるんだ、焔め!
私だってねぇ、中身大人として色々考えてるんですよ。
…だから何でそんな疑わしい顔してんの!?
流石の私も怒るよ!?
「信じらんないな。どうせ、全種目出るーとか言って、柊に止められたんだろ?」
「ギクリ」
「お前隠し事出来ねぇよなぁ…」
もー!
何なの、その仕方の無い子…みたいな顔は!
キーッ!もう怒った!!
「焔…貴方は私の逆鱗に触れた…」
「急にどうした。頭おかしくなったか?」
「むむっ!焔!私の永遠の相棒として相応しいのか、リレーで確かめてやる!」
「設定曖昧だなぁ…」
「何でも良いよ。勝負、受けるの?逃げるの?」
焔は、うーんと軽く唸ってから、ニッと笑った。
おい、このイケメン、イケメン度上がってるぞ。
「挑まれた勝負から逃げる謂われはないよな」
「そうこなくっちゃ!」
パン!とお互いハイタッチ。
え?勝負挑んだのに仲良し過ぎないか?
いやいや、私達はこれで良いの。
喧嘩する程仲が良いって言うでしょ。
私達はそれです。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「よっしゃ、皆ァ!死んでも勝つぞー!!」
「おー!」
「おおー!」
クラスで集合したところで、喝を入れる私。
いや、もう今年こそは負けられないでしょう!
毎年毎年、焔のクラスに良いところを持って行かれて…。
いつまでも、貴様らの下に甘んじていると思うなよ!
「…どうした、青島。やけに燃えているが」
ジッと委員長に疑わしげな目で見つめられる。
おっと、委員長に関しては、疑わしいって思ってる訳じゃないけどね。
あれだよ。
私のテンションがいつもと違うんで、心配してくれてるんだよ。
分かりにくいけど、優しい!それが委員長クオリティーだ。
「ふふふー。焔と勝負出来る貴重な機会だからねぇ」
「そう言えば、去年も元気だったか」
「うんっ」
「青島は、本当に赤河のことが好きだな」
しみじみと言わないで。
瑞穂、照れちゃう!なんつって。
「安心して!委員長のことも大好きだからっ」
「そうか、ありがとう。俺も好きだ」
「ギャー!!」
「??どうした。大丈夫か」
ノリで返したら、純真100%の回答が返ってきました。
フー!
適当に返すもんじゃないよね。
同じ意味で言ってるはずなのに、どうしてこうも綺麗に感じるのか…。
嫌だね、大人なんて。
汚れてるよ!汚れきってるよ!!
いやいや、私はまだまだ子供ですがね。
4年生ですから。
「いやー、私もすっかり汚れきったなーと思って」
「?まだ走っていないのに、どうして汚れるんだ」
「うん、ごめん。何でもない忘れて…」
「ああ」
幾ら委員長が大人っぽいって言っても、中身4年生だから。
私と違って、完全なる子供ですから。
分かってるはずなのに、墓穴を掘る私。アホ過ぎる…。
まぁ、焔と話しててもそう感じることはあるんだけどね。
焔も中身中学生だし。
…ん?その状態で数年過ごしてるからもう大人?
うーん、分かんないけど、その計算しちゃうと、私結構な年になっちゃうから、考えるのやめとこう。
「とにかく!今日は頑張って走るんだよ!」
「ああ、頑張ろう」
私の変なテンションを目の当たりにしてなお、この真っ直ぐさ。
誰だ、委員長が怖いなんて言ったのは!
この可愛さを見よ!!
寧ろ誰よりも可愛いよ、うちの委員長は。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
競技も色々と進んで、今度は借り物競走だ。
えーっと、出場してる中に知り合いはー…おお!すっごい集まってる!
ちーちゃんとゆーちゃんと、うちのクラスからは委員長でしょ。
おおー、なんか感動する。
っていうか、誰を応援したら良いんだろう。
おばさん迷っちゃう!
皆友達だしなぁ。
ニヤニヤしながら見守っていると、スタートの合図が鳴り響いて、一斉に駆け出す可愛い友達たち。
やっぱり全員応援しよう!
そう思ったら、紙を引いた皆が、何故だか真っ直ぐ私へ向かって来た。
一応もう一度言うけど、皆が。
ん?私、そんなに物持ってたっけ。
「「瑞穂ちゃん!!」」
「青島」
必死な形相で私ににじり寄るちーちゃんに、縋りつくような表情のゆーちゃん。
委員長は、相変わらず淡々としている。
おーっと、これはどうしたことだ。
「え、ごめん。皆何引いたの?」
「シュシュ!」
「あ、これか。ハイ」
ちーちゃんが紙を見せてくれる。
そう言えば、動きやすいようにと、髪の毛を結んでいたシュシュがあった。
私はサッと外して手渡す。
ちーちゃん、どうしてガッカリした顔するの。
「ゆーちゃんは?」
「あ、青い物!」
「青島だから?青島だから??」
赤い物を引いて、焔を連れてった私が言うことじゃないけど、それで良いの?
他に何かなかったかと考えて、私はポケットから青い色のハンカチを発見し、それをゆーちゃんに手渡した。
いや、だからどうしてガッカリした顔するの。
「で、委員長は?」
「友達」
「さぁ、行こうか!ゴールは近い!!!」
「えぇー!?何で瑞穂ちゃん陽介くんとは一緒に行くのー!?」
「仕方ないだろ、千歳。諦めて行こう?」
「むーっ。悠馬のクセに生意気!」
「えっ、何で!?」
いや、ゴメン二人共。
だって、委員長のお題が一番嬉しかったんだもんよ!!
嬉しいでしょ、そりゃ。
友情はプライスレスだよ。
何物にも代えがたい貴重品だよ。
「よっしゃ、行こう委員長!」
「ああ」
そして、私たちは猛然と駆けて行く。
やっぱり私の方が足は速いんだけど、委員長も去年より速くなってる。
あれだよ。
比較対象がおかしいだけで、委員長は十分足が速い。
もう私のこれは、全部大体刀柳館のせいだから。
と言う訳で、ブッちぎりだったよね。
元気に抱きしめ合うと、委員長も嬉しそうだったので、満足です。まるっ!
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「……」
「あれ、ゴメン焔。何でちょっと不機嫌そうなの?」
「別に?」
「えー!何だかんだ焔のクラスのが勝ってるクセにー!厭味な野郎だぜ!」
「はぁ…」
またまた色々競技も進んで、いよいよラストだ。
男女混合リレー。
花形と言っても良いよね。
ここで私が勝ったところで、焔のクラスには多分勝てない計算になってるのが、これまた悔しいところだけど、それとこれとは話が別だ。
サシで戦えるこの場を、全力で楽しんでやろう!
と、息まいていた訳ですが。
何でちょっと焔のテンション低いの?
私の顔見る度に溜息つくとか。
ちょ、失礼過ぎるでしょ。
「私何かした?」
「いやぁ…したっつーか、してないっつーか…はぁぁ」
「暗い!!」
段々と前の走者が近付いて来る。
私たちは、軽く構える。
うーん同着くらいなら、私が勝つかなぁ。
ま、勝負とは時に非情なものさ。
焔が本調子じゃなくても、私は全力を出しますよ!
「なぁ、瑞穂」
「ん?」
「俺が勝ったら、ハグしてくんない?」
「…はぁ?」
思わず焔の方を見る。
何で至って真面目な顔してるんですかね。
駄目だ、お願いの意味が分かんない。
大丈夫か、焔。
「それくらいならお安い御用だけど…どうしたの?いつも嫌がる癖に」
「いや、ま、俺ちょっと疲れてるのかもな。…じゃ、お先!」
「えっ!?あっ、ズリィ!!」
会話が終わらない内に駆け出す焔。
これはもしや…油断させる作戦か!?
そういうことか!
ならば、全力で叩き潰してくれよう!!
「うおおおお!!」
「ぷっ…女子の叫び声じゃないよなぁ」
「笑うな貴様ァァァ!!」
…あれ。
何でだろう。
全然、全然。
……距離が縮まらないんですけどぉ!?
「足速っ!!」
「俺もいつまでも…負けてられないからな!お前には!!」
「ああー!」
一歩先に、焔の足がゴールを超えた。
僅差とすら言えない。
結構開いた距離。
ううう…何でぇぇ?
「く、悔しいぃぃぃ……」
「俺だって毎日怠けてる訳じゃないからなー」
こいつ…テニス部でどんな拷問受けてるんだ!
刀柳館に通ってる私を降すとは…。
流石は主人公。
とんだチート野郎だ。くぅっ。
「はぁ…約束は約束だからね。さぁ、おいで焔っ!!」
「何かそう構えられるとやりにくいんだけど…ん」
両手を広げてカモン!ってポーズでいたら、何か優しく抱きしめられた。
あれ、おかしいな。
私の思ってるハグじゃないな。
うん、これハグっていうより、もっと優しい何かだ。
「あのー…焔?」
「んー…俺もすぐ不安になって、情けないなぁ」
「何が?」
「俺さ、お前の相棒に相応しいか?ちゃんと」
「?うん。勿論。焔以外に考えられないよ」
「…そっか」
耳元で嬉しそうな声が聞こえる。
いやいや、本当にどうしたの、焔。
最近情緒不安定すぎやしませんかねぇ。
え、私のせい?
誰だ、そんなこと言うのは。
グラウンドの土ぶつけるぞ。
「柊に嫉妬するとか…いや、嫉妬じゃないよな。多分、別の何かのような…」
「ブツブツ言ってどうしたの、焔?」
「いんや。何でもない。ほら、さっさと戻るぞ」
「???へーい」
しばらくすると開放されて、クラスの元に戻った私達。
うーん。
どうしたのかな、焔。
……思春期ってヤツかな!!
思ったより続いているので、別連載の宣伝をば。
異世界転生ファンタジー「異世界×転生×etc.」が第二章に突入しました。
第二章は、乙女ゲームの悪役令嬢になった男の人が、マイペースに冒険者ギルドを設立する感じのお話で、テンションが結構「二軍恋愛」の瑞穂さんに似ているので、もしかするとこの連載を気に入って頂けている方には、読みやすいかもしれません。
お暇な方は、是非一度ご覧頂けると嬉しいです。




