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二軍恋愛-知らない漫画のモブに転生したようです-  作者: 獅象羊
第一章「小学生編」(四年生)
78/152

73.映画に行こう(前)

諸事情により非常に短いです。

申し訳ありません。

(ほむら)、一緒に買い物行かない?」

「あー、悪い。ちょっとピアノの課題がさ…」


(ほむら)、ちーちゃんゆーちゃんと遊びに行くんだけど一緒にどう?」

「宿題まだ終わってないんだ。悪いな」


(ほむら)麻子(あさこ)ちゃんが映画のチケット貰ったんだって誘ってくれたんだけど…」

「そうか。楽しんで来いよ」


 ………どうも、瑞穂(みずほ)です。


 (ほむら)のつれなさが増していて、辛いです。

 私の手の中のチケットも、こころなしかグニャリとして来た気がする。

 流石に気のせいだとは思うけど。


 私は、深く溜息をつくと、麻子(あさこ)ちゃんから貰ったチケットを眺める。

 アニメだけど、オタクじゃなくても楽しめそうな青春映画だったんだけどな。

 …まぁ、(ほむら)も私もどっちかって言えばオタクだから気にしなくて良いんだけど!


「見守ると決めたは良いけど、私のメンタルが先にぺしゃりそうだな…」

「ぺしゃるって…どうしたんですか、お嬢?」

「体調が悪いのでしょうか。病院は必要ですか?」

「あ、二人共…」


 思わず呟いた独り言に反応があって、思わず吃驚してしまった。

 今日はお父さんの方についてるとばかり思ってた。

 これは油断していたな。

 二人に心配させまいと、結構ちゃんとやれてるつもりだったんだけど。


「熱は無いようですが…確かに、顔色があまり良くありませんね」

「ナチュラルにおでこに手とか…流石(まさ)君やでぇ…」

「ふふ。見た目よりは元気があるようですね」


 イケメン行動ハンパねぇ。

 キュンッてしちゃうよ、もっと余裕があったら。


「でも、本当にお嬢が一人でボーッとしてるの珍しいよね。何かあったんです?」

「えーっと」


 心配そうに眉を下げる(おみ)君。

 でも、その目の光は鋭い。

 うーん、言い訳は許さないよ!って感じですね分かります。


 心配してくれるのは嬉しいけど、内容が内容なだけあって、非常に言い辛い。

 だって、(ほむら)の元気がないから私も元気がない、とか。

 本当の姉弟だったら、それなんてブラコン?って感じだし。


 まぁ私はブラコンですがね!

 瑞貴(みずき)の可愛さは世界一ィィ!!

 勿論お腹の子も世界一ィィ!!

 あっ、まだ性別分からないからシスコンの可能性も…?


「そう詰め寄るな。お嬢様にはお嬢様の事情があるんだ」

「マサは心配じゃないのか?」

「当然心配している。が、気落ちの原因は察しが付いているからな」

「本当か……?」


 ジトーッと(まさ)君を見る(おみ)君。

 対する(まさ)君は余裕の表情だ。

 なんか珍しい。

 (おみ)君が余裕を感じる笑みを浮かべるのはいつもの事だけど、クールな(まさ)君は、どちらかと言えば堅苦しい笑みだもんね。


(ほむら)様の元気がない事を心配して、一緒に落ち込んでらっしゃるんですよね?」

「うおお…」


 (まさ)君が、ちょっとイタズラっ子っぽく笑いながら耳元で囁く。

 吃驚するレベルで正解だ。

 私は思わず半笑いしてしまう。


「私、そんな分かりやすかった?」

「いえ。一般的な小学生に比べて、非常に分かりにくいですね」

「じゃあどうして?」

「それは勿論、それだけ僕が貴女を見ているからですよ」


 その法則が適用されるなら、(おみ)君にもバレてておかしくなくない?

 チラリと見ると、(おみ)君は拗ねた様に口を尖らせている。

 うん。あれは分かってないね。


「冗談です」

「ですよねー」

晴臣(はるおみ)より僕の方が、(ほむら)様と会話をする機会が多いからですかね」

「ああ、なるほど」


 どうやら、私の反応云々というよりは、(ほむら)の様子の変化とのタイミングとかから考えてその結論に至った様だ。

 私の空元気も効果があるんだと分かって、ちょっと安心する。


「ところで、その手にあるチケットはどうされたんですか?」

「あー、それ俺も気になってました!」


 (まさ)君が話題転換を行うと、嬉々として乗って来る(おみ)君。

 こういうところが可愛いよね、(おみ)君は。

 …と、まぁそれは置いとくとして、私としても話題転換は有りがたいので、とりあえず乗っておく。

 (ほむら)は来てくれないらしいし。


「貰ったんだよ」

「へぇ…太っ腹ですねぇ、その人。三枚もあるじゃないですか」

「寧ろ恐縮しきってたけどね。三枚じゃ中途半端だって」

「普段ならそうですが、(ほむら)様は行くつもりはないのでしょう?」

「なら、丁度良いな。俺達で行きましょうよ、お嬢!」


 (おみ)君が、ヒョイと私の手にあるチケットを二枚取ると、一枚を(まさ)君に手渡す。

 なんというマイペースな。

 元々誘うつもりではあったし、別に良いんだけどね。


「用事は平気なの?」

「そりゃもう。折角のお嬢の休日を、俺達だけ働いて過ごすなんて、とてもじゃないけど耐えられませんからねぇ」

「それに、僕達がいたら寂しくないですよね?」


 (まさ)君のは、(ほむら)の付き合いが最近悪い事に対する気配りだろう。

 出来る男、晴雅(はるまさ)。イケメン度合いは天井知らずだ。


「ふーん、駅前でこんなのやってたんだ…」

(おみ)君CM見ないの?好評放映中!って良くやってるよ」

「いやぁ、こう見えても受験生ですからね」

「…ああ、そうだっけ」

「あれ、お嬢忘れてたの?酷くないですかぁ?」


 そう言えば二人ももう高校三年生か。

 そう考えて見てみると、確かに大きくなったなぁ、って実感する。

 自慢のお兄ちゃんだよ。

 …べ、別に誤魔化そうなんてしてないんだからね!


「さ、さぁそうと決まったらレッツゴーだよ、二人共!!」

「あー、お嬢誤魔化した!」

「偶には良いじゃないか。行くぞ、晴臣(はるおみ)

「まったく…マサはお嬢に甘いよなー」

「お前に言われたくはない」


 そんな事を言いつつ、私はお母さんに出かける事を告げると、サクッと準備してすぐに家を出た。

 何か重要な事を忘れてる気がするんだけど……気のせいだよね!!


「こんにちは、瑞穂(みずほ)ちゃん。今日は(ほむら)くんは一緒じゃ……え?」

「お嬢ー?何でこいつが此処にいるのー?」

「あれぇー?」


 私は、チケットを麻子(あさこ)ちゃんから貰いました。

 で、今日一緒に見に行く予定でした。


 アウトッ!!


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