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二軍恋愛-知らない漫画のモブに転生したようです-  作者: 獅象羊
第一章「小学生編」(三年生)
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57.カオスDEプール(1)

「え?プール??」

「はい。先方から、是非今年も来てくださいと、誘いがあったので」


 最近、時間が経つのが早いですねー。

 気付けば、もう夏休み。

 地獄の猛特訓という名の拷問も継続中だから、あんまり今年は楽しみじゃないんだけど、それでも、自由時間が多いのでウキウキウォッチングだ。

 あ、古い?もしかして古い?

 …じぇ、ジェネレーションギャップか。ババァじゃないよ!

 どっちかって言うと、ウォッチングじゃねーだろってツッコミをください。


 まぁそれで、夏休みに入って数日後。

 ふとお父さんから手招きされて、見た事のあるチケットを渡された。


「えーっと、(とどろき)医院のプール、ですよね?」

「良く覚えていましたね、瑞穂(みずほ)。その通りですよ」


 枚数が明らかに前に貰った時よりも増えている。

 これはー……是非今年も、という誘い文句からして、何か裏を感じる。

 素直に受け止めれば、取引先のお子さんに良いイメージを持ってもらいたい、といった所だけど、私達は何しろ去年、問題を起こしている。


 …問題、と真っ直ぐ表現したくないところだけど、問題だ。

 (とどろき)さんちの廉太郎(れんたろう)くんと喧嘩と言う名の、意味不明な競技会を繰り広げたのだ。

 少なく見積もっても問題だろう。


 そんな子供に対して、「是非また来てくれ」とのお言葉。

 素直に受け止めたくない私を許して欲しい。

 きっと性根が腐ってるのだ。


 ああ、でも隣にいる(ほむら)も微妙な顔してるし、私だけじゃないよね。ね?


「私達、去年結構騒いじゃってたと思うんですけど、良いんですか?」

「子供は騒ぐものですよ」

「えーっと、でも、結構迷惑をかけちゃったし…」

「子供の喧嘩は財産です」

「……ソウデスカ」


 思わず片言になってしまった。

 なかった事になってる、という解釈で良いだろうか。

 それとも、もっと色々何かやり取りがあった?

 そう考えると、このチケットが急に重みのあるもののように思えてくる。

 ひと言で言えば、超怖ェ、である。


 でも、喧嘩を吹っ掛けて来たのは一応は向こう。

 最初に騒いだのはこっち…というかイケメン共だったけど、喧嘩の原因と言えば多分向こうで間違いないはず。

 そんな問題を起こした子の親が、私達を招待。

 うーん…これあげるから許して!とか??

 ちょっと、こういうやり取りの機微みたいなのは専門外だから分からないや。

 コンサルタントの人とかは分かるのかな?外交員とか。


「と言うか、あれ?ところでお父さんに喧嘩した、って言ってましたっけ?」


 ふと結構あれな問題に気付いてしまった。

 確かに私達は、騒いでしまった、と報告はした。

 したけど、内容については詳しく報告していない。

 色々あったけど、大人を巻き込むのはおかしいと思ったし。

 そもそも、問題が過剰に大きくなりそうだったから。


 騒ぎ、と言えば普通は飛びこみ禁止の場所で飛びこむとか、文字通り騒ぐとか、そういった方向を想像するだろう。

 でもお父さんは今、子供の喧嘩、と表現した。

 しかも、確信的に。


「父様は何でも知っているのですよ」


 ………。


 …………怖ぇええええ!!


 お父さん怖い。

 改めて怖い。

 何だ、この出来る男!って感じは。

 私も将来的にこうなれってか。無理だろ。


 …そうだ、忘れてた。

 SP的な人が私達には付いてるんだっけ。

 きっとその人が報告したんだな。

 今もいるのか、そもそも本当にいるのか謎だけど。

 そうでなければ、私と(ほむら)、もしくは私か(ほむら)には盗聴器か何かが仕込まれている。

 どっちにしろ怖い事に変わりないんだけどね……。


 私は、思考をやめた。

 これ以上考えても仕方がない。

 赤河(あこう)家と青島(あおしま)家の闇を覗き込むにはまだ早い。


「えーっと、(ほむら)!今年はプールどうする?」

「アイツらがいないなら行きたい。けど、どうせいるんだろ?俺とお前が揃って、そう言うイベントの宝庫に行って、何もないはずがない」

「やめろ、フラグを立てるな」

「敢えて立てていくスタイル」

(ほむら)がボケるの珍しいね!?」


 とりあえず、プール行きは決定だ。

 お父さんにお礼を言うと、私と(ほむら)は、日程を調整すべく部屋へと戻るのだった。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「わーい、プールだー!!」

「プールプール!!」

「ははは。転ぶなよ、子供達」

「お前も子供だろ。何様のつもりだ、瑞穂(みずほ)

「お父様」

「せめてお母様にしとけ!!何で性別まで変わってるんだ!?」


 やってまいりました、一年ぶりです。

 (とどろき)医院経営のプール。

 そうやって意識してみると、確かに看板の隅とかに小さく書いてあった。

 何で細かい所を確認しなかったのか、去年の私。


「あの…瑞穂(みずほ)ちゃん。本当に私も良かったのかしら…?」

「本当ですよ。お嬢の迷惑も考えないで誘われたからってノコノコついて来るなんて最悪でしょ」

「ご、ごめんなさい…」

「あーあー、聞こえないー。謝罪とか超不快ー」

「おい、晴臣(はるおみ)。大人げないぞ」


 そして今年の私。

 何故双子が一緒だと分かっていながら麻子(あさこ)ちゃん誘ったし。

 いや、だって気晴らしに良いと思ってさ!!

 春は気落ちしてる事が多かったしさ。

 断じて、混ぜたら危険な事を忘れてたワケじゃないよ!?


「おーい、赤河(あこう)ー」

「は?ちょ、待て。この声は…」

「?(ほむら)の知り合い?」


 ふと、聞き覚えのない声が(ほむら)を呼んだ。

 あれ、おかしいな。

 (ほむら)は別に誘いたい程仲の良い友達がいないから、誰も誘わないなんて、ぼっち的な発言をしてたと思ったんだけど。

 それとも、私の知らない所で友達を作っていた!

 素晴らしいじゃないか、(ほむら)

 ハーレムより友達の方がよっぽど良いよ。


 …なんて気軽な事思ってたけど、(ほむら)の顔色は良くない。

 あれー?

 首を傾げていると、声のした方から、私の見知った顔が歩いて来た。


「あれ、委員長だ」

「…おはよう」

「うん。おはよう!隣の人が委員長の友達?」

「……そう。一緒に来たいって言うから」

「ああ、あんたが青島(あおしま)さんか。よろしくね」


 美術部に加わってから、結構距離の縮んだ委員長。

 相変わらず無口で無表情で眼光は鋭いけど、普通に遊びに誘える程仲良くなっていた。

 そんな委員長は、今回プールに行こう、と誘うと幼馴染も一緒に連れて行っても良いか、と尋ねて来た。

 委員長の友達ってヤツだ!と嬉しくなった私は、チケットの枚数を確認して、勿論大丈夫だ、と返した。


 そうして今、委員長の隣には眼鏡に三つ編みの、インテリ系少女がいる。

 因みに、委員長と友達、というか幼馴染というのが一発で分かるくらい、彼女も鋭い眼光をしている。

 眼鏡に三つ編みでも、田舎娘というよりは、マッドサイエンティストだ。

 この二人が連れ立って歩いていたら、多分誰も話しかけられない。


「よーすけと仲良くなるなんて、どんなヤツかと思ったけど、案外普通じゃん」

「えっと、どうも?」

「ん。アタシは木原(きはら)明佳(さやか)だよ」

「よろしくお願いします!」

「同い年だから、敬語とかイイよ。めんどーだしね」

「わかった!」


 サッパリしていて、明るくて良い子だ。

 アクティブ眼鏡だ。

 私は、ニコニコしながら差し出された手を握る。

 すると、グニュッと変な感触がした。


 ……グニュッ?


「あれ。青島(あおしま)さんも結構なお嬢様って聞いたんだけど…こういうの平気なの?」

「…おい、明佳(さやか)

「いーじゃん、よーすけ。あいさつだよ、あいさつ」

「大丈夫か、瑞穂(みずほ)!?何された?」

「何って言うか…古典的なイタズラかな」


 私の手の中には、カエルの玩具。

 結構リアルで、感触も本物に近い。

 だけど、お尻の辺りからヒモが伸びているし、冷静に見ればすぐに玩具だと分かるような作りだ。


 …あー悲鳴上げなくて良かったー。

 爬虫類、別に嫌いではないんだけど、急にやられるとビビるよね。

 あれ、カエルは両生類だったか。

 まぁ同じようなものか。


「何で(ほむら)が慌ててるの?」

「何でって言うか……」

赤河(あこう)はクラス分け初日でアタシのあいさつに参ってて、トラウマになったみたいなんだよね。だから、ビビっちゃったんでしょ?」

「び、ビビってねーし!」

「ああ、もしかして(ほむら)のクラスの副委員長?」

「大当たり!…あれ、何だ。人にしゃべったの?意外だったなぁ」

「話してねーから!言える訳ないだろ!?」


 そう言えばと、クラス分け直後、(ほむら)がしょぼくれてたのを思い出す。

 あの時、確か「副委員長がキャラ濃いって言うか、毒舌って言うか」みたいな事を言ってヘコんでいた。

 この子に何か言われたのか。

 ……そりゃヘコむわ。どんまい!


「おー嬢!これで全員ですよね?早く入りましょう!」

「わっ、(おみ)君!」


 ガバッと後ろから抱きつかれた。

 その言葉に、私はキョロキョロと見回して、確かに全員いる事を確認した。

 そして頷く。


「そうだね。じゃあ入ろうか」

「軽っ!お前、大の男に抱きつかれながら言う事じゃないだろ!」


 即座に(ほむら)からツッコミが入る。

 まぁ、確かにまっとうな言い分だ。

 だが、私にも言い分くらいある。キリッ。


「いや、だって私ツッコミじゃないし…」

「そういう問題じゃないからな!?」

「若、心せまーい。そんなんじゃモテませんよ?」

「そういう問題でもないからな!?」

「ずるーい!わたしもわたしもーっ」

「ボクもくっつくー!」

「あああ!落ち着け、お前等!またプールの迷惑になるだろ!?」


 あ、ごめんなさい。

 大人数で集まると、必然的にツッコミが不足するんだね。

 だって(ほむら)しかいないもんね。

 遊びに来たのにストレスがたまるとか…それどんな拷問?


「折角みんな集まったんだもの。早くプールに行きましょう?プールに入って遊ぶ方が、きっと楽しいわよ?」

「うんっ、わたしも早く入るー!」

「早く行こう行こうっ」


 麻子(あさこ)ちゃんが、穏やかにフォローしてくれて、ちびっ子二人がサクッとプールへ向かってくれる。

 流石は将来の職業、教師である。

 いや、まぁ未来がどうなるかは分からないんだけど。

 とりあえず、誘導が結構上手いぞ。


 (おみ)君も、嫌そうだったけど、ちゃんと離れてくれた。

 私達は、こうして、去年の受け付けと同じお兄さんからリストバンドをもらってそれぞれ更衣室へ向かった。


「あ」

「あ。有香(ありか)ちゃ…さん」


 …えー、若干引き気味に。

 次回に続くー!


次回は、高校生にしてダイナマイトウルトラボディーの麻子先輩の魅惑の水着姿が…!!

登場はしますが、多分それより周りの奴らがうるさくなります。多分。

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