表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二軍恋愛-知らない漫画のモブに転生したようです-  作者: 獅象羊
第一章「小学生編」(二年生)
49/152

46.三年生に向けて

 そろそろ、また春がやって来る。

 冬はどうしたとか聞かないの!

 細々(こまごま)とはあったけど、大きなイベントは何もなかったんだよ。


 では、その細々(こまごま)としたイベントについて振り返ってみよう。


 まずその一。

 麻子(あさこ)ちゃんが、高校に合格しました。


 夏ごろまでは、私達と遊ぶ事の方が多かったような気がする麻子(あさこ)ちゃんだけど、両親の期待に応える程までとは行かなくても、勉強を頑張りたい、と言ってしばらく公園に来ないで、勉強していた。


 その結果が、受験合格!

 いやぁ、見事でしたな。

 しかも、この辺りで一番頭が良い高校に受かったらしい。


 麻子(あさこ)ちゃん曰く、まだ将来を決める事は出来ないけど、少し教師に興味がある、と言う事だった。

 全然そんな予兆はないんだけど、これからヤンキー先生になるんだろうか。

 グレるイベントなかったし、大丈夫だと思うんだけど…。

 そんな麻子(あさこ)ちゃんも見てみたい、と思う私はヒドイだろうか。


 とりあえず、まだちょいちょいマイナス思考な所はあるけど、麻子(あさこ)ちゃんは概ね元気だし、順調だ。

 伯父さんに誑かされる心配もないし、オールオッケー!


 それでは次に、その二。

 お父さんから、使用人訓練を受けるように、との指示を頂きました。


 これは、今までも何となく察する所があったけど、やっぱり私は、将来(ほむら)にお仕えする為に、色々と訓練を受けなければならないらしい。

 一般的に言う、執事とか秘書とか、そう言う人達の仕事を一手に引き受けても全然平気、みたいな完璧超人を育成するプログラムに参加するのだ。

 何それ怖い。


 転生したからと言って、何かしらかのチートを貰った覚えもないのに、これからチート級になる訓練を受ける私。


 …ちょっとワクワクする。


 ファンタジー世界と違って、ここは現代日本。

 バトル物でもないから、命の危険は、まぁ殆どない。

 そんな中、あらゆる能力に長けた人になる訓練をするのは、リスクも少ないし、大歓迎だ。


 (ほむら)が命の危険に晒された時には、身体を張る必要はあるだろうけど、いかに金持ちと言えど、早々命を張る機会なんて訪れないだろう。

 その辺りは、気楽に考えておく。


 つまり、命の危険無くして、無双が実現できる、と言う事に他ならない。


 その代わり、血反吐を吐くレベルでヤバい訓練らしい。

 ちょっと戦慄した。


 だけど、私も青島(あおしま)の娘ですからね。

 そりゃもー頑張りますぜ。


 とは言え、そんな訓練は、三年生に上がってからだ。

 まだ少しだけ猶予がある。

 その時間は、のんびり能天気な子供ライフを送ろうではないか。

 そう思って、このしばらくは生活していたりします。


 …と、まぁ細々(こまごま)としたイベントはそんな所かな?


 確認終わり!

 それじゃあ、お菓子を持って(ほむら)の部屋に行こう。

 来年度の注意事項も確認しておかないとね。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



瑞穂(みずほ)とー」

(ほむら)のー」

「三年生対策会議ー!ワーッパフパフパフパフーッ!!」


「…やっぱ今年もやるんだな」

「あたぼーよ!」


 お菓子を持って、(ほむら)の部屋に突入する。

 突然の流れでもちゃんと付き合ってくれる(ほむら)、マジイケメン。

 拝んでおこう。


「確認が必要なのは分かるからな。…って、何で拝んでんだ!?」

「痛いっ!(ほむら)の愛のツッコミが痛い!」

「はぁ!?愛なんて入ってないから!」

「大丈夫、分かってるよ。(ほむら)は実はツンデレじゃなくて、ボコデレなんだよね!」

「何もかも分かってねぇ!!」


 ボコデレ。

 即ち、照れ隠しで殴っちゃう!と言う可愛い属性。


 まぁ、否定されたので、違うと言う事にしておこう。

 まったく、素直じゃないんだから。


「で、来年度分のイベントを言えば良いんだよな?」

「うん。オナシャース!」

「えーっと、」


 (ほむら)は、番茶を飲みながら思考を巡らせて行く。

 それを見ながら、私も番茶を飲みつつお菓子をつつく。

 この辺り、私は力になれないからね。

 何しろ、ハレハレ見た事ないし。

 あー、お茶美味ー。


「来年度は、子役の子と知り合うイベントだな。で、婚約」


 しばらくして、まとめ終えたらしい(ほむら)がそう言った。

 過去編、おざなり過ぎない?

 毎年ヒロインと知り合うとか。やべぇ。


 まぁ、そうは言いつつ、飽きないし、それはそれで良いんだけどね。

 (ほむら)の様子からして、かぐちゃんみたいに、何て言うか、地雷な子ではないんだろう、と言う所からも、落ち着いて聞いてられるし。


「おお、新たなヒロインちゃんか。可愛い?」

「子役だしな。と言うか、お前も知ってると思うぞ」

「ああ、子役ならテレビに出てるよね」


 子役と言う事は、そう言う事だろう。

 ピンと来た私は手を軽く叩いて頷く。

 でも、子役かー。

 誰だろう?


「名前はー…」


 そう言いかける(ほむら)を、私は反射的に止める。


「あっ、ちょっと待って!当てる!!」

「別に良いけど」


 私も知ってるのなら、折角だし当てたい。

 私は、腕を組んで唸り始める。

 予想外に、面白いゲームが始まった。


「うーんとねー…」


 私は、それからしばらく、思いつく限りの名前を上げた。

 二時間のサスペンスドラマに出ていた男の子とか。

 時代劇のヒロインの幼少期を演じていた女の子とか。


 でも、妙に当たらない。


「えー、何で当たらないのー?」

「寧ろ、お前何でそんなマイナーどころばっか上げて来るんだよ?」

「いやいや、マイナーじゃないよ!王道だよ!」

「そう思ってんのお前だけだろ」

「ひでぇ!!」


 (ほむら)がそう言うって事は、もっと有名な子か。

 誰だろう。

 言い訳じゃないけど、私は本当に有名っぽい子を上げてた。

 それで当たらないとなると、もっと有名と言う事になる。


 うええ…バラエティーとかに出てるのかな?

 そうなると困る。

 意外とバラエティー見ないんだよなー。


「ヒント!ヒント頂戴!」

「ヒント言ったら絶対当たるしなぁ」

「じゃあ分かりにくい所で、年齢とか」

「年か。俺らより年下」

「うわぁ、微妙なヒント!」


 私は更に頭を悩ませる結果となってしまった。

 うおお、(ほむら)ってば、実はドSか!?

 私が頭を抱えてるの見てニヤニヤしてるし。腹立たしい!


「もっとヒントやろうか?」

「ぐぬぬ…そんなニヤニヤした奴から施しを受けるなどぉ…」

「でもこのままじゃ分からないだろ?」

「分かる!絶対分かる!と言うか当てる!!」

「じゃあ、せいぜい頑張れー」


 最早棒読みである。畜生め。

 お前なんて淹れたての番茶飲んで、舌を火傷でもすれば良いんだ。

 そう思っておかわりを注いであげる。


「サンキュー。…ん、美味いな」


 …ちぇっ、普通に飲んでる。


 よし、気を取り直して考えよう。

 伯父さんが気に入りそうな子かー。


「はっ!まさか、赤ちゃんモデル…」

「子役だっつってんだろ」

「ですよねー」


 ガチで怒られた。

 いや、でも今赤ん坊って事は、十歳差まではいかないんだから、将来的には別に問題ないんじゃないかな?

 って言ったらもっと怒られるから黙ってよーっと。


「何か今の答えムカついたから、もう時間切れな」

「ええ!?そんな殺生な!!」

「反論は受け付けません」

「ぐおおおっ」


 何と言う事だ。

 全然答えが出ていないと言うのに!

 床を軽く叩く私に、無情にも答えを振らせる(ほむら)


渋谷(しぶや)美鶴(みつる)。聞いた事あるだろ?」

「あの、双子タレントの?」

「そうそう」

「えぇー、意外!」


 流石に私でも知っている。

 それどころか、最近双子とか(おみ)(まさ)君と一緒だねー、なんて話をした。


 お人形さんみたいに可愛らしい顔立ちと、性別が違うとは思えない位そっくりな二人は、お茶の間の人気者だ。

 どうして思い出せなかったかと言えば、何と言うか、あの子は二人セット、と言う印象が強かったからだろう。


 渋谷(しぶや)美鶴(みつる)と言えば、兄の美生(みお)

 渋谷(しぶや)美生(みお)と言えば、妹の美鶴(みつる)


 その位、彼らは常に一緒なのだ。

 お陰様で思い出せなかった。うう、悔しい。


「で、因みにどんなイベントなの?」

「テレビ見てて美鶴(みつる)を気に入った親父が、テレビ局見学。で、更に気に入ったせいで、婚約騒ぎになる」

「意味分かんねぇ」


 流石漫画の伯父さん。

 現実でも突拍子もないけど、漫画の方は余計に凄い。

 現実は、一応(ほむら)に婚約者云々、とか騒ぎを起こしてない分マシだ。


「今回はどうする?何か私、どうせ避けられないような気がして来たんだけど」

「奇遇だな、俺もだ」

(ほむら)としては避けたい?」

「どっちかって言うと、親父が他人に迷惑かけるのを避けたい」

「納得」


 だとすると、テレビ局見学とか、迷惑この上ないし、それだけでも避けられるように行動するべきかな。

 そうすると、どうせ街中とかで出会うんだろうけど。

 もうそれはスル―だ。

 寧ろ楽しんで行こう。


(ほむら)はさ、何処で知り合うと思う?双子ちゃんと」

「んー…どうだろうな。学校が撮影現場になる、とか?」

「ありそうありそう!あっ、例えば、赤河(あこう)グループのCMキャラクターに起用されるとかは?」

「それなら仕事だし、迷惑かけなくて済みそうだなぁ」


 しばらく二人で、ああでもないこうでもない、と話をする。

 結局結論としては、伯父さんが双子ちゃんに迷惑かけないように、出来る限り頑張ろう、と言う所か。


 よーし、三年生も楽しんで行こう!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ