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二軍恋愛-知らない漫画のモブに転生したようです-  作者: 獅象羊
第一章「小学生編」(二年生)
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32.幽霊と私

普段と違い、日記形式です。

 【幽霊観察日記】


 桜の木の下にいた幽霊の少女。

 何としても正体を看破しなければ、私の心の平穏は無い。


 と、言う訳で観察日記をつけようと思う。

 (ほむら)に言ったら馬鹿にされそうなので、秘密裏に行う。


 桜祭りの翌日、つまり本日より観察を開始する。


 出来れば、普通の人間だとすぐに分かるか、もう二度と姿を見かけなければ良いなと思う。

 なら探すな、と言う突っ込みは受け付けない。


 以上。


 【1日目】


 いた。


 昨日と同じように、公園の木の下にいた。

 親しみを感じる為にも、木下(きのした)さんと呼ぼう。

 少しだけ親近感を覚える。


 木下(きのした)さんは、今日も現実味のない真っ白なワンピースを着ている。

 カバンも持っていない。


 一応、足はある。


 やっぱり人間だよな、と思ったけど、気付いたら消えていた。


 怖い。


 【2日目】


 今日もいた。


 やっぱりボーッと周りを見ているだけ。

 動こうとしない。

 生きてるんだろうか。


 不安になったら、瞬きをした。

 生きてるんだろうか。


 でも、妖怪漫画で、幽霊が瞬きをするのを見た事がある。

 最悪、そう言った現象かもしれない。


 まだ怖い。


 【3日目】


 やっぱりいた。


 それにしても、木下(きのした)さんは美人だ。

 だから、余計に怖いのかもしれない。


 遠くから見てるだけだから、良く見えないけど。

 ぱっちりお目目は大きいし。

 サラサラな黒髪は、輝いてるし。

 線が細いし。


 でも、羨ましくない細さだ。

 病的って言うか。


 怖いと言うより、心配になって来た。


 【4日目】


 学校が始まったけど、観察は続けようと思う。

 何か、やっぱりいるし。


 木下(きのした)さんは、どうしてあそこにいるんだろう。


 幽霊なら、何だっけ?

 ええと、背後霊…違う。


 地縛霊!


 そうそう、地縛霊なのかなーと思う。

 でも、人間にせよ幽霊にせよ、あそこにいる理由はあるはず。


 どうしてあそこにいるんだろう。


 しかも、あんなに寂しそうに。


 何だかとても心配だ。


 【5日目】


 今日は、ゆーちゃんと帰る約束をしてたので、観察は無理。


 と、思ってたんだけど、何となく公園に寄る事になった。

 やっぱりいた。


 ゆーちゃんに、あの人が気になるんだーと木下(きのした)さんの事を言った。

 そしたら、ゆーちゃんは颯爽と木下(きのした)さんに声をかけた。


 ちょっ、怖ェ!とビビる私にはお構いなしだ。

 子供つおいよ。


 でも、木下(きのした)さんはビクッと驚いて、逃げてしまった。

 逃げたって事は、幽霊じゃないって事だ。


 予想外の結末だけど、何だか釈然としない。

 幽霊じゃないって分かっても、観察は続けようと思う。


 【木下(きのした)さん観察日記6日目】


 昨日は怯えさせてしまったので、今日はそろりと近づいてみた。


 木下(きのした)さんは逃げてしまった。


 悔しい。


 【木下(きのした)さん捕獲日記7日目】


 今度は待ち伏せを敢行。失敗。


 木下(きのした)さんは、私に気付くとすぐに逃げてしまった。


 悔しい。


 【8日目】


 遠くから声をかける作戦を実行。


 一緒に来てたちーちゃんが突撃して失敗。

 子供でも、急に来られると怖いのだろうか?

 要検証である。


 何か、少し面白くなって来た。


 【9日目】


 紙ヒコーキを飛ばす作戦を実行。


 一緒に来てた(ほむら)から怒られて回収された。

 ゴミじゃないよって反発してたら、木下(きのした)さんが笑ったのが聞こえた。


 驚いて木下(きのした)さんを見たら、一瞬吃驚したような顔をして、また逃げてしまった。


 これは、かなり進展していると言えるのではないだろうか。


 【10日目】


 今日は雨だから、木下(きのした)さんはいないかなーと思った。

 でも、行ってみたらいた。

 しかも、傘をさしていない。


 私は、ジリジリと近付いて、傘を置いてすぐさま距離を取った。


 気持ちは、某となりの何とかにおける少年である。


 遠くから見ていたら、木下(きのした)さんは私の方を見た。

 最初は遠慮してる風だった。

 けど、遠慮しないでと言い続けてたら、やがてそれをさして帰って行った。


 良い事した。


 【11日目】


 今日は晴れ!

 でも、木下(きのした)さんがいなかった。


 流石に傘は鬱陶しかったのかな?

 残念。


 【12日目】


 今日も木下(きのした)さんがいなかった。

 普通に公園で遊んで帰った。


 【13日目】


 諦めた方が良いだろうか。


 【14日目】


 未練たらしく公園に行った。

 やっぱり木下(きのした)さんはいなかった。


 でも、傘と、お礼の手紙を発見する。


 外見とピッタリな、丁寧な字の手紙だった。

 嬉しい。


 ところで、宛名の「桜の妖精さんへ」って、私の事だろうか。

 照れる。


 【15日目】


 今日も会えなかったけど、何か気配はした。

 何処かで見ているのかもしれない。


 ところで、あの手紙を(ほむら)に勝手に読まれた。

 爆笑された。


 今度学校で、変なあだ名を付けて呼んでやろうと思う。

 何が良いかな…。


 【16日目】


 やっぱり、木下(きのした)さんは何処かで私を見ている。

 気配がする。


 私のシックスセンスからは逃れられんよ!

 って言ったら、(ほむら)に叩かれた。

 幾ら学校で姫って呼んだからって、そこまで怒らなくても良いと思う。

 ケチンボ。


 それはともかく、明日からはかくれんぼだ。

 頑張ろう!


 【木下(きのした)さんとかくれんぼ日記17日目】


 足跡しか捕捉出来なかった。

 悔しい!


 途中からちーちゃんゆーちゃんとの鬼ごっこになったのがマズかったか。

 明日は一人で行こうかな。


 【18日目】


 一人とか言ってたけど、双子が付いて来た。


 それどころか、(おみ)君が木下(きのした)さんを捕まえた。

 く、悔しい…私の方が付き合い長いのに!


 そう言ったら、木下(きのした)さんが泣き出した。


 (ほむら)の時にも思ったけど、もしかして私、意外と空気読めないのだろうか。

 そんなつもりはなかったけど、傷付けたのだろうか。

 うーむ、悩む。


 何で泣くんだろうって、双子と相談してる内に、木下(きのした)さんは逃走してしまった。


 何と言うシャイガール。

 とりあえず、決着は持ち越しのようだ。


 【19日目】


 コツを掴んだと言う超人・(おみ)君に捕獲を依頼。

 物の数分で捕獲に成功して来る。

 比喩じゃなくて超人かもしれない。


 とりあえず、早速どうしてこんな所に一人で来るのか聞いてみた。


 何でも、家庭内不和が原因で、家に居づらいらしい。

 予想よりヘビーなので、詳細は割愛する。

 プライバシーに関わるしね。


 何で私達から逃げてたかって言うと、怖かったかららしい。

 家庭内不和で、他人が皆恐怖の対象になるとか、心病むわ。


 ここ最近、私の様子を隠れて見てたのは、踏ん切りが付かなかったかららしい。

 しゃべってみたいけど、こんな私で良いのかしらー的な。


 マイナス思考な話をどんどん聞いてたら、どんどん(おみ)君の機嫌が悪化。

 もしかして、相性が悪いのかもしれない。

 ここで空気の読めない私とはオサラバするよ!

 そう思って、私はまた明日から愚痴を聞くから、あんまり重く受け止め過ぎないでね、とフォロー。


 木下(きのした)さんは頷いて、帰って行った。

 満足げだったし、大丈夫だよね?失敗してないよね?


 それから、イライラしっぱなしの(おみ)君のフォローに奔走したよ。

 最終的に、いつもは静かな(まさ)君がキレてボコる、と言うアグレッシブな終結を迎えたけど、これ、私のせいじゃないよね…?


 私は一つ学んだ。

 (おみ)君と木下(きのした)さんは、決して会わせてはならないと…。


 明日からは(おみ)君以外の人とか、一人で行こう。


 【××日目】


 最初よりも、かなり明るくなって来た。


 木下(きのした)さん美人なんだから、笑ってる方が断然良い。

 そう言ったら、花が綻ぶような笑みを見せてくれた。


 家庭の事情に首なんて突っ込めないけど、私との会話で、少しでも元気になってくれたら、嬉しい。

 なんだか、昔にも同じ事を思った気がするけど、どうしてだろう。


 もう二度と失敗しない。


 頭の中でグルグル回ってる言葉。

 私は、失敗した事でもあるのだろうか。


 なんて、木下(きのした)さんに関係ない事を書いてどうするんだ私。

 これは、消しておこう。


 【××日目】


 今日も木下(きのした)さんは笑顔だ。

 私だけじゃなくて、ちーちゃんやゆーちゃんとも遊べるようになった。


 いい加減、(ほむら)も来れば良いのに。

 意外と人見知りなんだから、あの子ってば。


 とにもかくにも、こうして毎日は上手く行っている。

 木下(きのした)さん観察日記は、この辺りで筆を置こうと思う。


 幽霊じゃなくて人間だったし。

 心配さも減って来たし。


 後は、何の問題もない。

 こんな日記は、もう不要だ。


 (ほむら)に見つかる前に、焼却処分してしまおう。

 そうしよう。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「お前…一ヶ月近くこんな事してたのか?」

「うわー!?何で(ほむら)の手に機密日記が!?」


「間違えてゴミに出したノート回収しに行ったら、変な装丁のノート見つけたから興味本位で読んでた」


「そう言ってる間にも読み進めてる!?ちょっ、やめてー!!」

「何回もタイトル書き直すとか、微妙な所マメだなーお前って」

「いやだなー。そんな褒めないでよー」


「褒めてねーけど。…まぁ、ここまで書く位だし、付き合ってやっても良いけど」

「えっ、来てくれるの?」

「ああ。まぁ一種、人助けみたいなものなんだろ?」


「うん!いやー、流石は(ほむら)お坊ちゃま!心が広い!」

「坊ちゃまはヤメロ!」


「じゃあ、早速明日行こうか!るんるーん、楽しみだなーっと」

「ったく…」


「…にしても、木下(きのした)さん、なぁ。…何か引っかかるんだけど…」

(ほむら)?どうかした?」

「いや、別に。……ま、いっか」


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