133.仲直り大作戦(4)
すみません。風邪をひきまして、区切りが悪い上に短いです。
明日、更新出来なければ体調不良だと思ってください。
コロナの症状ではないので、ご心配なくー。
――拝啓、お父様。日差しが強くなる今日この頃、如何お過ごしでしょうか。私は今……、
「まさか、俺の女まで狙おうとするたァな。良い度胸だ。お前ェとの因縁、今日ここで終わらせてやンよ!!」
「そっくりそのままその言葉、お返ししますよ。彼女はボクの番ですし、絶対譲りません。キミと顔を合わせるのも今日で御終いです」
「待ってろよ、マチコォ! さっさと終わらせっから、俺と家に帰ンぞ!」
「油断も隙もない! お嬢さん、全部終わったらボクの家に一緒に帰りましょうね!」
……やけに、モテています……。
なんて言ったら、焔から凄い目で見られそうなので、認めたくないんだけど。
いや、これモテてるよね。意味分からないけど。
私はちょっと現実逃避気味に、視線をハットリ君の方へ向けた。
すると、彼らの発言を聞いたせいか、ハットリ君が凄い目で私を見ていた。
「しゅ……いや、マチコさん」
「うん、何?」
「拙者、どうも耳が遠くなってしまったようで……。彼ら、マチコさんのことを何と呼びました?」
「……うん」
絶対聞こえてるよね!
それ、どっちかって言えば、信じたくないってニュアンスの方だよね!!
更に視線を逸らした私の両肩に手をやって全力で揺さぶり始めるハットリ君の声は、ちょっと絶望感に満ちていた。
「お、おおお、俺の女に、ボクの番!? あ、有り得ぬでござるよ! 何故あのような輩に同時に想いを寄せられるようなことが起こるのでござろうか!?」
「わ、私に言われても困るぅ!!」
別に篭絡しようとかハニートラップを仕掛けた覚えはないので、知ったこっちゃない。寧ろ、出来ればクーリングオフさせて頂きたい。
まさか、見た目に惹かれた、なんてことはまかり間違ってもないと思うので、逆に困る。
「とりあえず、落ち着こうハットリ君」
「そ、そうでござるな。それで、マチコさんは現状をどう治めるつもりでござる?」
「そもそも私、普通に逃げようとしてたんだけどね」
邪魔したのはハットリ君なんだけどね。
ちょっと恨みがましくハットリ君を見たけど、当の本人はキラキラとした目で私を見るだけだ。この忍者、あざとい。
あまりにも無垢な顔つきに、責める気持ちを削がれたので、私は溜息交じりに睨み合う両者他数名を確認する。
「どうした? 部下けしかけてこねェのかよ? この程度、俺にとっちゃどうってことねェがな」
片や、どう見てもムショ帰りの実質中学生の少年。
「ふふふ、そう急かないでくださいよ。キミとて、彼女を取り逃がしたくはないでしょう?」
片や、どう見ても場違いな雰囲気のお兄さん。
「若頭! やっちゃってくだせぇ!」
「そうだそうだ!」
「若頭の大切な番はオレらで押さえますから!」
そんな2人を取り囲む、無法者。
前提情報として、失礼ながら私は将己さんは余裕で倒せる。
ついでに言えば、周囲を囲う面々は将己さんより弱そうだから、もっと簡単だろう。
強さが分からないのが、九尾さん。何だか強さが読みづらいんだよね、あの人。
全力で逃げに徹すれば、逃げることは可能だろう。
でも、私に繋がる可能性のあるものを残したまま立ち去るのは憚られる。
私の血のついたクナイと、ゲンキ君。出来れば回収していきたい。
あと気になるのが、そうして仮に九尾さんも私より全然弱かった場合。
叩きのめしたら、変なフラグ立たないかな、ということだ。
もう既に変なフラグが立ってる気がするのは、見ない振りだ。気のせい気のせい。
「キミたちは馬鹿ですか。ボクが鬼の倅との戦闘に入れば、その隙をついて彼女は逃げる。今、彼女をこの場に縛り付けているのはこれらと……ボクの強さが彼女にとって不透明だからに他なりません」
「じゃ、じゃあどうすれば……」
「キミたちは、鬼の倅の牽制を。キミたちは、そのまま彼女の退路を断ちなさい。ボクは……彼女と忍者君の相手をしましょう」
九尾さんがそう言って、私とハットリ君の方を向いた。
これは……め、面倒なことになりそうだなぁ。
私はチラリと横を見る。真剣な顔をしているハットリ君が見えた。
……ハットリ君、自衛くらい出来るよね? ね??
「さぁ、早速……お相手願いましょうか、お嬢さん」