9.木人君大地に立つ・・・そして消し炭へ
朝だ、新しい朝だ、空腹の朝だ、朝飯が出来るまで我慢だ。晩飯食いっぱぐれたからな…ひもじい。
ま、何はともあれ昨日作っておいた紙を見に行く。俺たちが洗濯物干し場に使っている一角に、紙を並べた板が置いてあり、上には三本の竹の棒を置き、紙が飛ばないようにしてある。
これを干したのは昨晩薄暗くなってからだったが、さすがは夏場、触った感じはほぼ水分は残っていないようだった。
一応、現状では破れたり穴が空いてたり、バラバラになると言った事はなさそうだ。なにぶん初めての事なので自信は無いからね。ああ、明雄さんがいてくれたら…
この紙はこのまま夕方まで干す予定ではある。天気は見た感じ大丈夫そうだし、一応夕立とか来たら娘ちゃんに取り込んでもらえるように頼もう。
よし、着々と前に進んでるぞ。牛歩だけどさ。
その後、なぜか身体のあちこちの痛みを訴える瞬をつれて宿の食堂で多めの朝食を食い、皿を下げに来た娘ちゃんに紙の事を頼んだ。
娘ちゃんは「覚えてたら」と言ってくれた。たぶん大丈夫なはず。いつか金に余裕が出来たらプリンを作ってやろう。手抜きプリンだけどな。
そして、我々の野望の為に今日も下水道へと向かうのだった。
その日、下水道へと降りたのは普段より30分ほど遅くなった。その理由は、アリオンさんの許可をもらって設置網を改造して、枝道入り口を完全に塞げるようにするのにそれだけの時間を要した為だ。
そして、俺たちのゴーレム壁無双が始まる。
まず、1番枝道(プラントに一番近く全長が一番短い)から、片側を網で完全に塞ぎ、本道を回り、反対側から二人で並びたも網でどんどん追い込んで行く。
途中襲ってきたヤツは殺すだけ殺し、今回新規で持ってきた魚籠に放り込みとにかく追い込みを掛けていく。
そして、反対側出口付近になり、ヤツらが網に気づき反転してくる時にゴーレム壁を俺の後ろ・瞬の前に作る。
あとは、網と壁で閉鎖された空間で逃げ惑ったり襲ってくるヤツらを一網打尽にする美味しいお仕事です。ゆっくり確実に処理して行くだけ。
これを1番枝道残り三本からやっていき、5番枝道の二本目までこの日は終わらせた。
成果は625匹ですよ625匹。最低希望数、初日でクリアしちゃいました。
基本瞬はゴーレム壁の維持で動けないので全て俺が処理しなくては成らない。そして、作業性の悪い枝道だというのも有って無駄な時間を食っている気がする。何か対策を考えねば。
その後シュンは、当初ゴーレム壁を自分の後ろに作る事が出来ない関係で、ネズミ閉鎖空間の外で一人何もせずゴーレム壁の維持だけしていたのだが、さすがに寂しかったらしく、途中からは壁を作るタイミングで後ろを振り向いてから壁を作る事で自分の身をネズミ閉鎖空間内に置く事に成功していた。
と言っても、どうせ作業は何も出来ず、ネズミのアタックを時折受けていただけだったが……
その日から俺たちは冒険者教会には寄らない事になった。当座の生活資金があるおかげで、一々精算換金をするのが時間の無駄だと考え、アリオンさんとソアラさんに了解の元、四日ごとまとめて処理する事になった。
だから、その日は討伐部位の確認をしてもらいそれを記録するに留め、クズ魔石もそのまま保管してもらった。
実は、既に俺の頭の中は『符』で一杯になっていたんだよ。とりあえず一枚試したい。それが楽しみでしょうが無い。だから少しでも無駄な時間はカット。『魔獣のいななき亭』までダッシュで帰ったよ。
瞬は直ぐ後方に見えなくなった。
『魔獣のいななき亭』に着くと、まず紙を見に行く。紙は飛ばされる事も無く、綺麗に乾いていた。五枚を確認してみると、やはり素人が初めて作ったモノなりに、厚みが均一で無く更に思った以上に厚かった。
…特に『符術師読本(上)』には紙の材質によって云々は書かれていなかったと思うので、この程度なら大丈夫なはず。きっと。頼む。お願いします。
はやる気持ちを抑え、まずは少し早いが飯を食う。もー食いっぱぐれるのは嫌だ。
俺が食い終わる頃瞬がやっと帰ってきた。途中で走るのは止めたようだ。
そして、紋章書きの為の準備を開始だ。以前ヴォルツさん達に採ってきてもらったクズ魔石をすり鉢で粉砕する。
このすり鉢は、時代劇等で医者が漢方薬っぽいモノを調合するシーンで使っている、船型のすり鉢に円盤の真ん中に棒を通したヤツで、ゴーリゴーリやってるアレだ。
中古で棒が壊れていたくせに15ダリもしやがったヤツだ。元は取ってやる。
30分ほど掛けじっくりと粉々になるまでゴーリゴーリやる。粉が息を吹きかけると舞い上がるくらいになったら終了。これを小瓶(陶器)に移しておく。
そして、おもむろにナイフを取り出し、左腕にぶっ刺します。痛てーよ。出てくる血を皿に溜めます。ある程度溜まったところで、先ほどの魔石粉末を少々加え均一になるまでかき混ぜます。
更に、紫カブ(野菜)の汁を2~3滴加え更に混ぜます。はい、赤い絵の具の完成です。痛てーよー。
……5ミリ位の傷だけど普通に痛い。ヒールとか補意味とかの回復呪文がほしい今日この頃。ああ、痛てーよー。ぺろぺろ…血は止まったみたい。
あとは、ノートと見比べながら紋章を紙に筆でこの絵の具を使って書いていくだけだ。…この書くだけがムチャクチャ大変なんだけどね。
シャーペンで書いた時ですら大変だったってのに、筆で間違わずにって…… トレース台があればなぁ……
符を回しながら書きやすい位置で書く。まず外郭の小判型をゆっくりと正確に。これが歪だと全てが終わる。
…………
限界まで暗くなる寸前にやっと、この赤絵の具での線を全て書き終えた。本日ここまで。寝る。
そして、翌日明るくなってから、昨晩書き込んだ符が間違いが無いか徹底的に確認し、問題ない事が分かった。
そして、俺が肩の力を抜いて脱力していると、瞬が前に来てVサインをしてきた。
お? ここまでの成功を祝ってくれてるのか、良いやつじゃん。うん。
「ふぅあぁっはっはっはぁ! 我はムーラーダーラよりスワーディシュターナに至り、ついに第二の力に目覚めた。偉大なる我を崇めるが良い、ふぅあぁっはっはっはぁ!」
Vサインポーズから、両手を腰に当てて、両足を開き胸を張ってなにやらほざきだした。久々の状態異常らしい。
正直ほぼ意味不明である。面倒なので、引き倒してテキサス・クローバー・ホールドを掛ける。
「いだぃ、いだぃ、いだぃです、やめれくだはぃー」
泣きが入ったので解いてやる。テリーをなめるなよ。
「で、どうした」
「ひどいですよ、うーー、…えっとですね、ふふふふふ、ついに、ついに、ついにですよ、新たなゴーレム伝説開幕の時です。ふぅあぁっはっはっはぁ!、あ、いでっ、ご、ごめんなさい、いえ、あの、つまりですね、ウッドゴーレム作成に成功したんです」
途中でまた病気が出かかったので、はたいて止めさせた。全く、なんで普通に言えんのか。
「ウッドゴーレム? 木人君か」
「あーっなんで先に言うんですかぁ、大事なとこですよそれぇ」
……いや、別にそんなでもない気がするんだが、ってデフォだろ、昭和のカンフー映画以前からのさ。
そのまま、ぶちぶち言いつつ、側にある薪を持ってきて足下に置いた。そしてまた例のごとく
「ゴーレムマスターたる我、時野瞬が請い願う、とくと来たりて今ここに顕現せよ!、ウッドゴーレム:木人君おいでませ~~」
…まあ、言うまでも無いと思うが、この呪文て言うか前口上、ゴーレム作成には全く必要ない。全然、ちっとも。
瞬の呪文(?)が終わると、40センチ×10センチ程の割られた薪がゆっくり変形し、人型を形作った。そして、俺の前まで、とっとことことこと歩いてくると立ち止まり、仁王立っていつものガオーのポーズ。
微妙に可愛らしいんだが、動きはサンドゴーレムより機敏に思える。小さいせいか?
「大きさはどーなんだ」
さすがにこれが限界とは思わないが、現在のサンドゴーレムの190センチと比べどれ位かは知りたい。
「えっとですね、分かんないです。いえ、試してないって言うか、試すとマズいですから、家の柱を材料にするわけにいきませんからね。えへぇ、僕だって考えてるんですからね」
いや、どや顔されたってな…それ普通の事だし。まあ、良いか、自由に出来る木が手に入るまでは確認できそうに無いかな。しょうがない。
しかし、瞬は着実に進んでるな。良い事だと思ってる、でも、自分の符術師と比べちょっと黒い念いが頭をもたげそうにもなる。自分、小さな男です…
とりあえず褒めておく。実際努力してるしな。でも、目の前のどや顔を見ると…ふっ、負の暗黒面に落ちないように気をつけよう。この世界カルマ値チェッカーなんてのが有るし。
そして、その日の下水道は、昨日同様の形で続きの5番枝道よりはじめ8番枝道まで完了させ、682匹の成果で幕を閉じた。
特に新たな工夫も無かった為、大きな変化は無かった。瞬のウッドゴーレムも使えなかったしね。
枝道の長さがどんどん長くなる関係で、少しずつ枝道一本ごとの攻略時間が延びている。その上、最終的な『ネズミ閉鎖空間』も広くなってきているので、地味に大変だったりする。俺が、ね。
ま、何はともあれ今は『符』だ、昨日同様ダッシュで『魔獣のいななき亭』へ帰り食堂でかなり早めの夕食をかっ喰らう。
あんまり急いで食べたせいで、色々テーブルに飛び散らかしたのを、娘ちゃんにしかられチョット反省。
で、水浴び以外全てのやるべき事を終え、『符』作成に入る。
昨日魔石を粉砕したすりこぎに『青葉草』を乾燥させたモノを入れ全て粉にしていく、できたモノは少量を小皿に入れ残りを小瓶(陶器)へと入れる。すりこぎは綺麗に洗い、布で拭き、まだ日が残る所に干す。
小皿に入れた青葉草粉末に、昨日粉砕した魔石粉を10:1目安で加え、水を加えつつ均一に溶けるまでかき回す。はい、青色絵の具の完成。
あとは、昨日の赤絵の具同様に、ノートとひたすら見比べつつ筆で書き込んでいく。ただ、この青線は赤線をなぞる形や繋ぐ形が大半で、場所さえ間違わなければかなり楽だった。
今回作成している『火炎符』は赤:青:緑のライン比率は 8:1:1なので、赤が完成すればほぼ完成と言って良い。油断したら全てが終わるけどね…
青線書き込みは10分ほどで終わり、その後20分掛けて青線部はもちろん赤線部も再チェックした。問題ない。
次に、乾かしていたすりこぎに、枝垂れ草を乾燥させたモノを入れこれも粉砕。一部を小皿に残りは小瓶(陶器)へと。各小瓶に名前書いとかんといかんな。
そして、また、こちらも魔石粉を青葉草の際と同比率で加え、水を加えてまーじぇまじぇ。完成。
先ほど書いた青線が乾いているのを確認して、念のため青線と重ならない場所から書いていく。ゆっくり、慎重に、何度も確認してから書いていく。
こちらも10分ほどで書き終え、更に30分ほど掛けて全確認も終える。一応、見た範囲では間違いは無いはず。ノートの写しが間違ってなければ、これで問題ないはず…
唯一、不安に思っているのは、材料採取すら、『自分で作成した』と言う条件に含まれてはいないか?と言う事だ。
もしそれすら自分でしなくてはならないとしたら、『火炎符』はまだしも、『凸符』や『凹符』などは『銅粉末』を使用しているわけで、銅の鉱石採取→高炉で抽出が必要な事になる…無理、絶対、無、理!
そこまで行けば、某名前の後ろにやたらと『リー』が付くシリーズの錬金術師レベルの家と設備が無いと無理だろう。
とにかく今は祈るのみ。祈りながら符が乾くのを待つ。念のために斜陽とは言え日の当たる所に20分ほど干した。
途中、瞬もウッドゴーレムの訓練をしながら、何度となく覗きに来ていたが、こちらに余裕が無いのが分かっているので話しかけたりはせず、遠目に眺めるだけにしてくれた。多謝。
符を乾かしている間に、器具の洗浄、小瓶のフタ(木栓)に中身の名前を書くなど雑事を終わらせた。
そして、運命の実験となる。ただ、『符を使う』のは初めてで、この『符を使う』と言う事は、魔術を使う事に他ならない。
やり方は本を読んで理解している、だが、瞬はこの初めの部分に何日も掛かっていた。俺はどれだけ掛かるだろうか…
更に問題なのが、『符』の作成に失敗していた場合、魔術のパスが通らない訳だが、これと『符』は良くてもパスを通せない状態が同じだと言う事だ。
つまり、うまく魔術が使えないのか、『符』作成に失敗しているのか分からない事になる。もし、『符』に問題があるなら、いくらトライしても延々魔術のとっかかりすら掴めないまま全くの無駄を繰り返す事になる。
これって、本来は、どちらかが確実であるって条件じゃ無いと成り立たない事だよな…変数が二つある単一方程式みたいなモノか?
だから、俺は『符』を書くのに何倍も時間を掛けチェックを繰り返した。無論ノートへの書き移しも徹底的に確認し、駄目を押すように図をひっくり返して違う目線から再度確認までした。
ついでに、『符』の中でも比較的紋章が簡単な『火炎符』にして、とにかく『符』側の問題が無いようにしたつもりだ。
あとは、成功している事を祈りつつ、パスを通す訓練をするだけだ。
色々思いつつ、乾かした『火炎符』を右手に取り、意識を向ける……あれ?…うん?…これって…
それは、あくまでも感覚的なモノで、言葉にするのは『手をどうやって動かしてる』を説明するのと同じように出来そうに無いんだが、しかし、『手応え』がある。
どんな?と言われても困るが、今まで感じた事の無い『手応え』を感じていた。
……成功してる?ってかこれが『パス』? いやいやいやいや、初回でいきなり魔術成功なんて有り得ないから。うん、たぶん願望から来る錯覚。間違いない。うん。
なにぶん、感覚の問題なので、自信が無い。人間て、思い込みで幻聴が聞こえたり、目の錯覚も普通に起こす生き物だからね。ましてや感覚的なモノ…
俺は、『火炎符』を地面に置き、ゆっくり手を離す…するとあの『手応え』が、すぅーっと消える。ぱっと消えるのでは無く、ゆっくり消えた。
再度手に持って、その『手応え』を感じたままもう一度地面に置く、今度は『手応え』に意識を強く向けながらゆっくり手を離し、距離を取っていく。
今度は、その『手応え』は1メートルほどの距離まで残った。…これって『パス』か?『パス』が通ってる?
浮き立つ気持ちを無理におさえ、錯覚の可能性も言い聞かせて心の予防線をはる。勘違いだった時のダメージ対策だ。
そして、俺は、同じ事を繰り返す。すると、『手応え』は徐々に伸び、10分後には2メートルほどとなった。
俺は心の予防線を解いた。これををパスであると決めた。
そして、瞬を呼ぶ。
「シューン、こっちこっち、悪り、木人君貸して』
瞬を呼び、その前をとっとこ歩く木人君を捕まえる。じたばたもがく木人君を井戸の側まで持って行き、地面に立たせた。地面に置いた『火炎符』の上に。
瞬も何をしようとしているのか分かった様で、何度か口を開き掛けるが我慢して見ている。
そして俺は『パス(仮定)』を繋いだまま2メートルほど下がる。『パス(仮定)』をしっかり認識しているのを強く感じつつ、『パス(仮定)』に向かって『燃えろ』と命じた。
その瞬間、幅50センチ程、高さ1メートル30センチ程の炎が木人君を包んで吹き上がった。
「うをぉーーー」
瞬のが呻いていたが、俺も似たような声を出していた。実際、成功に対する喜びより、目の前で起こっている現象に対する驚きの方が大きかった。
炎は15秒ほど続き、消えた。あとには、燃えながら真っ黒になっている倒れた木人君だけだった。
俺と瞬は顔を合わせ、どちらからと無くハイタッチをしようとした。しかし、それは、木製お玉を持った娘ちゃんのお玉攻撃によって阻止された。
「なにやってんの、ばかぁー! 火事になっちゃうでしょ!!」
娘ちゃんのお玉攻撃はその後10発以上にもなり、瞬の「僕無関係です、はじめさんです、はじめさん」の裏切りもむなしく、「同罪」の言葉と共に折檻は続けられた。反省。
ぷりぷり怒る娘ちゃんにとにかく謝り倒し、炭化した木人君の火も消した。瞬は「はじめさんのせいでー」とか言ってたが「悪り」と一言誠心誠意謝っておいた。
娘ちゃんは神出鬼没だ、気をつけねば。8歳児とは思えない早さで、ぴゅーー、と走ってくる。ひょっとして『ギフト:忍者』を持ってるかもしれない。
その晩、俺たちは干し草に寝転がったまま話をした。
「俺もやっと、スタートラインだな、長かったよ(笑)」
「ですね(笑) でもおかげでひどい目にあったんですからねぇ、反省してますぅ?」
「悪り」
「うぅー、軽いですよ、軽すぎです! もお」
「(笑) まあ、お祝いって事で」
「なんで笑うんですかぁ! お祝いでお玉で叩かれるなんてやですよぉー」
「アレ痛かったな、身長瞬と変わらない位なのに、ジャンプして俺の頭叩いてくるんだよな、バドミントンやれば結構良いとこいくんじゃね?」
「いやいやいやいやいや、身長全然違いますって、あの子120位でしょ、僕160ですよ、全然違いますってぇ」
「159.5な、159.5(笑)」
「160で良いじゃ無いですか四捨五入ですよ5ミリ5ミリなんです。たぶん今は5ミリは伸びて160になってるはずなんですぅぅ」
…………
「明日から他の御札ですか?」
「いや、とりあえずまず紙を作れるだけ作っておこうと思う。白蕩木の山じゃまだからさ、あのままだとまた娘ちゃんに怒られる(笑)」
「ですね(笑)、あ、もし怒られても僕は無関係ですからね。今度こそ」
「娘ちゃんしだいじゃね? ま、良いだろ、一蓮托生って事で」
「そんな一蓮托生なんてやですよぉ」
「あきらめろ、あ、そうだ、今日下水道でやってる時思ったんだけどさ、チョット思う事があるんだよ、あのな……」
俺は、下水道の今後の予想と、更に先の郊外へ出る事を見越した上での、下水道で今後行うべきだと思う事を瞬と話し合い、一通りを決めた。
その日は普段以上の満足感で、目を閉じると直ぐに夢の中へと入っていた。