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6.ゴーレム式ドブ掃除

 さて、本日も一昨日同様のルーチンワーク『ドブ掃除』である。ただ本日は普段とはチョット違う。

 瞬のヤツがステータス異常(筋肉痛)に至ってないことと、異様に燃えている事だ。

 最近は朝から足を引きずって移動するようなことは無かったとはいえ、今日のようにスキップで歩くなど当然無かった。

「うっふっふ~、かっくっめい、かっくっめい、ゴーーレム革命~」

 何か変な歌を口ずさみながらスキップしてるよ、オイ。どうやら別の状態異常(ハッピー)に掛かっているようだ。

 解消には万能薬(ハリセン)精神安定剤(冷水ぶっかけ)が必要だろう。残念ながらどちらも手持ちは無い。

 まあ、周囲の目が痛いと言う以外特段に影響はなさそうなので放置しよう。どうせ長くは続かないのだから。

「はじめさぁん、今日はやりますよおぉぉ。見ててくださぁい」

 やる気があることは良いことだ。そしてやりたいことも分かってる。更にその結果も…

 いつものように依頼者宅で確認の後、作業を開始した。

 瞬はドブ板をズバババババンと一気に外して、ドブに向かって仁王立つ。

「ふあっはっはっはあ、ついに来た、革命の時、さあ、いでよマッドゴーーーレム我が名にしたがいて!!!」

 なんだか厨二病も併発しているようで、状態異常(ハッピー)と合わさってかなり痛々しい。

 そんな、かわいそうなヤツ(シュン)は両手を上げて杖なしモーゼのポーズを取っている。

 すると、ドブの中のヘドロが集まりゆっくりゴーレムが形成されていく。

 15秒ほどで完成したヘドロなマッドゴーレムは1メートルほどの身長で、ヘドロ独特の悪臭と水をしたたらせていた。

 瞬はどや顔だ。ただ昨日のようにVサインなどをしてリンクを切らすようなことは無かった。どうやら学習機能はあるようだ。

 そんな、『ワープロ以下』の死語称号を入手し損なった瞬はどや顔のまま「行け!泥人(どろじん)!」などとほざいている。

 『直接制御』なので音声入力など必要ないのだが、厨二病患者に何を言っても無駄だろう。

 瞬命名の泥人(どろじん)(たぶん一号)は、アニメや特撮なら『ズシャ、ズシャ』と効果音が入るような動きで、ドブから出て歩き出す。

 そして、荷物を下ろし空になったリヤカーもどきに乗り込み、そして崩れ落ち元のヘドロになった。

「フッ」

 鼻息荒いどや顔のあやつは、両手を突き出してダブるVサインである。

 うん、うん、よくがんばりまちたね~、すごいでちゅね~、いいこでちゅね~。そう、温かい目で見てやるのだ。誰もが一度は短期間とは言え通る道(かかる病)なのだから。

 俺さ、最近保父さんやれる気がしてきたよ。案外『ギフト』を調べ直したら『ギフト:保父』なんて記述が追加されている気がする…

 今度ソアラさんに相談してみようか。うん。結構マジで。

 どや顔で仁王立つヤツは無視して、ドブを確認すると、泥人(どろじん)が形成された所を起点に両サイド10メートル以上の泥が綺麗に無くなり、石造りの壁面が見えていた。

「ほぉー、一度で約20メートル以上か、結構使えるな」

 更に言えば、通常一人は側溝内から一度路上に上げて、そこから再度リヤカーもどきに積むと言う二段階を経なければならなかった。これが省略されるのも大きい。

 リヤカーもどきが二台有れば、二人とも一気にリヤカーもどきに積み込めるのだが、残念ながら一台しか貸しだしてもらえない為一人はいつも二度手間を掛けていた。

「でしょ、でしょ!、ど~デスか、僕のゴーレム革命!、はっはっはあ!、あがめ(たてまつ)ってもよろしくてよ、オオッホッホッホー」

 どんな縦ロールキャラだよ。どんどん壊れていく厨二病患者(シュン)の進行を止めるべく冷や水を掛け(爆弾を投下し)てやろう。

「で、魔力残量はどんなもんよ? あと何回いける?」

 厨二病患者(シュン)からの縦ロール笑いが止まり、漫画ならバックに『ガガンー』とかドデカい書き文字を背負い顔には縦線が入ったような表情で固まったよ。

 現実という名の爆弾の効果は絶大だったようだ。そして、「で?」と押すと、「あと一回…ギリ…」と消え入るような声で答えてくれた。

 まあ、ある程度経てば魔力も回復するだろうし、1~2分で40メートル範囲が終わるなら大きな効果なんけどね。でもさっきはウザかったので言わないでおく。保父さんモード終~了~。

 儚くもあっけなく彼のゴーレム革命()はヘドロのつゆと消えた。

 そんな夢敗れたヤツ(シュン)は「こ、これが現実というヤツの真の力だというのか」とか「これが、若さゆえの過ちと…」などとブツブツ言っていた。病気はそのままのようだ。

 俺は保父さんモードは絶賛OFFなので、容赦なく作業を強いてやる。

「ほら、とっとと作業するぞ、あっち行ってもう一回ゴーレムな、んで、その後は人力。ま、頑張れ。後は、魔力回復まって、ゴーレム、人力のルーチンな、よろ」

 ヤツは「ふぁーい…」と力なくつぶやきつつ、歩いて行った。うん頑張れ。

 その後分かったのだが、瞬の魔力回復時間は約1時間。30分の半タン状態で1回ゴーレムが作れた。

 と言うことで、30分ごとにゴーレムを使い、トータルとして1時間半以上短縮することに成功した。

 ちなみに一度、30分立ったか立たないかのギリの時間でゴーレムを作ったら、作成は出来たがその後一歩歩いた時点で操作分の魔力が無くなり、その場で崩れ去ると言う愚行をしてくれたよ。

 慌てるなんとかはってやつだね。壁に向かって某猿の『反省ポーズ』をしていた辺り、反省はしてなさそうだ。


 それから7日間同じ手法で『ドブ掃除」を続ける。

 瞬の魔力は少しずつ増えてきているようで、7日目には以前同様の1メートル泥人(どろじん)ならば3回連続で作成使役可能となっていた。

 更に、魔力回復速度も上がっていて、最終的には1体分の作成使役魔力は25分で回復できた。成長しているのがハッキリ分かるのは良い。

 自信になるし、やる気にも繋がる。実際、魔力量が増えていることに気づいてから、一気に表情が変わったしね。

 あと、泥人(どろじん)の大きさも最大で1メートル30センチまで大きくすることが出来るようになっていた。

 しかし、魔力量確認の為の定数とするべく1メートルで統一させていた。基準点は定めないとね、訳分からんようになるから。

 ゴーレム素材に関しては、相変わらず『砂』のみで、一応『石』『木』『水』を随時試してはいるようだが成功していない。まだまだクンフー(レベル)が足りないらしい。

 この間、俺にも一つの出来事があった。

 それは、この7日間の3日目のことで、いつも通り起き抜けのストレッチと筋トレをしていた時に、この宿の常客である20代カップルとおぼしき槍使いの兄ちゃんと魔法使いのお嬢さんとの会話から始まった。

 この二人とは、ほぼ毎日顔を合わせてはいたが挨拶以上の会話はしていなかった。

 その日もいつも通り目が合った時点で「おはようございます」と挨拶を交わしたのだが、その日は槍使いの兄ちゃんがそのまま近づいてきて話しかけてきた。

「よお、おまえらドブ掃除ばっかりしてるんだって? 何で外行かねーんだよ」

 いきなりで驚いたんだが、悪意のある語調でも無かったし、顔もイケメンではないがそこらにたむろしている凶悪顔でも無かったので、すんなり会話に入った。

 まあ、別段隠すようなことも無いので、低レベル初心者であること、『ギフト』が二人とも不遇職の上俺に至っては全く手つかずで有ること、鮮血ムカデに襲われて命からがら逃げ出した事等々…装備とギフト能力をある程度使えるようになるまで安全第一で行くつもりと話した。

「符術士と直接制御ゴーレムか…そりゃあーあれだったなー。つうか、鮮血ムカデに会って良く逃げ延びたな? ありゃ足も普通の人間より速えーし、初心者はまずやられるぞ」

「そうね、運が良かったのね、いえ、アレに会ったって事は運が悪かったって事かしら」

 そんな感じで話し始め、色々とこちらの事、二人の事と10分以上話した。そしてね話もそろそろ終わる頃、槍使いの兄ちゃんヴォルツさんがいきなり切り出した。

「白蕩木ってあれだろ、真っ白なやつで、木のくせにフニャフニャで中スッカスカのやつ。取ってきてやろうか」

 白蕩木は紙の原料になる木で、元の世界で言うパルプとか和紙で使うコウゾだっけ?とかに当たる。何でも木の幹自体が全て材料に使えるらしく、この世界の紙普及の一端をになっているらしい。

「えっ、でも依頼できるような金無いですよまだ」

 慌てて貧乏だから宣言をする、結構依頼料って高いんだよね、ソアラさんに相談したらチョット厳しい価格で、しばらく無理と判断していた。

「ばーか、んな金取らねーよ。今行ってる北西の『海』の側に結構あるしよ、シルビアのやつが風の刃でほぼ毎日切り倒してんだぜ、あれ他の木と違って草みてーに簡単に切れるからよ、魔獣狙ったついでにバッサリな。それ帰りに担いで来るだけよ。軽りーし、気にすんな。クズ魔石と一緒に10ダリでどうだ」

「お願いします」

 速攻で頼んじゃったよ。しかも若干かぶり気味で。だって冒険者協会に依頼出すと最低でも50ダリって言われたんだぞ~ 五分の一で更に絵の具(血液)添加用のクズ魔石付き、頼まいでかぁ。

 魔法使いのお嬢さんシルビアさんも別に問題は無いようで、ただ「別に毎日切り倒してるわけじゃ無いのよ」となんただか魔法使いとしての矜持(プライド)に関わる事なのかそこだけは強く否定していた。

 更に、通りがかりにでも有ったらと、青葉草・枝垂れ草も取ってきてくれることとなった。結果、終始お礼を言いまくって米つきバッタ状態だった。

 そして、当日夕方には、白蕩木2メートル、クズ魔石2個、枝垂れ草一束を取ってきてくれ、翌日には青葉草一束を取ってきてくれた。

 何度も10ダリだけで良いのか?と確認したが、ついでだ、と笑って10ダリだけを受け取った。いい人や、漢や───!。

 二人には何度も何度も礼を言って米つきバッタリターンである。こっちに来てから、結構色んな人にお世話になってる気がするな~。いつかその恩に報いられるようにならねば。

 どこぞの国の人のように『恩』じゃ無くて『怨』で返す人には絶対に成っちゃいけない。うん。

 この時点で俺の符作成の原料は『銅の粉末』以外全てそろったことに成る。たた、道具は全くなく、そちらの問題が残ってはいた。

 必要な最低限の道具は紙すきだけで、それなりの大きさの桶、手頃な堅さ長さの棒、白蕩木が切れる刃物、紙をすき取る箱状のやつ、となる。

 更に紋章書き込み用に、筆、皿×4、鉱物や植物を粉にすりつぶすやつ、が必要となる。どんだけ不遇なんだよって話し。はぁ。

 普通、まともにやろうとすれば一軒家持ってないと無理だよな。流れの冒険者には向かない職業だね。

 瞬の直接制御ゴーレムマスターは他との比較による低評価だけど、符術士は問答無用だよこりゃぁ。

 結局、この7日間に中古のナイフと桶だけ入手手出来た。あと、紙をすき取る箱は木ぎれをもらって道具も借りて現在鋭意制作中です、はい。



 一週間ぶりの雨が降り仕事(クエスト)が出来ないので、厩の手伝いが終わった後、俺はひたすら白蕩木を切りまくっていた。

 刃渡り15センチほどのナイフで、直径25センチ長さ2メートルの木を切るのよ。『削る』じゃなくて『切る』なのよ。マジで。

 この白蕩木ってヤツは中がスポンジ状で、繊維は縦に走っている。そしてその材質自体草レベルでサクッと切れるので、ナイフで縦に簡単に切れる。

 2メートルの白蕩木を四等分に切って、それをひたすら縦に切って切って切りまくってますよ。最終的には5ミリ角程度にはする予定。

 まあ、竹を裂くより簡単なんだけどね。

 一応、この世界の紙すきを一通り書いとくと、以下になる。

 

 ① 白蕩木の皮を剥ぎ、幹を細かく縦に裂く。

 ② 裂かれた白蕩木を繊維が細かくなるまで木の棒で叩きく。

 ③ 細かくなった繊維を水を入れた容器に入れ、攪拌(かくはん)し、繊維をバラバラにする。

 ④ 紙すき用の船で均一になるよう③をすくう。

 ⑤ ④の濾し布を外し形を崩さないように紙を取り外す。

 ⑥ ⑤を天日乾燥させる。

 

 某ダッシュなヤツで見たモノより工程が少ない。

 その番組の記憶と、本の記述から類推すると

  皮では無く幹が使えるので皮剥工程が短略化されている(蒸し、煮、(さら)し、乾燥の省略)

  白蕩木じたいが白色なので、脱色やゴミ取りの工程が必要ない

  白蕩木じたいに粘着性が有るので、和紙で言うところの『とろとろあおい』などを加える必要が無い

 と言うことだと思う。

 特に、蒸し、煮、(さら)し、乾燥の工程が無いのはありがたい。これが入るだけで時間は何倍も掛かるし、薪や灰などの材料も別途増える。

 異世界万歳、白蕩木ありがとー。

 俺は、この雨の日一日掛けて全ての木を切り終えることが出来た。厩の隅に邪魔にならないように山になってる。

 残った時間は紙すき用船の作成に勤しんだが、強度が足りず失敗した。だってさ、釘が無いんだぞ───。釘が有ればとっくの昔に出来てるっつーの!

 自分不器用じゃないですから。……ドリルとか有れば木釘とか竹釘とかって手も有るよ、でも、んなのは無いんだよ。ノミもカンナも無い、ノコいっちょだよ。

 ダテに某ダッシュな番組毎回見てないぞ──、やり方は知っとるっつぅーねん。もらえた板もボロっちーのばっかりで厚みも堅さも違うし、真っ直ぐじゃ無いヤツの方が多いんだぞ。

 火であぶって延ばしたりとかやってんだぞ、な、な、頑張ってるよね、俺、俺結構頑張ってるよね。ねえ…

 …ちなみに瞬のヤツはこの日一日中、魔力の有る限りゴーレムを作り、それに色々なモノを持たせて動かしたりと戦闘使用を考慮しての動作訓練に励んでいた。

 瞬のヤツも先のことを考えて、色々頑張っている。魔力量も増やす為、寝るギリギリまで使い切るようにしているし。

 意外にと言ったら悪いけど、頑張り屋ではあるんだよな。

「ゴーレムの性能の違いが、戦力の決定的差ではないということを…教えてやる!」

「僕が一番、ゴーレムをうまく使えるんだ」

「必殺!ゴーレム斬り!」

「いい夢を…見させてもらったぜ」

 …時折聞こえる戯言を無視すればね。

 あれは、一生治らん……

 いかん、俺も毒されてる、違う、違うぞ、俺はあんな病気には掛かってない、絶対、うん、それにメジャーじゃないから問題ない、はず。きっと。それに声には出してないし、思っただけだし、セーフ。せーーフ。

 色々内なる葛藤があったが、無事打ち勝った。勝ったったら勝った。

 まあ、そんなこんなで、瞬のヤツも病気を出しつつ視界が効かなくなる寸前まで訓練に励んでいた。

 頭をナデナデしてやろうかと思っていたら、俺が作っていた紙すき用船が壊れた瞬間「ププッ」と笑ったので、オクトパス・ホールドを掛けてやった。


 翌日いつものよう出かけた冒険者協会で、ソアラさんから衝撃の発言を受けた。

「この調子でしたら、ドブ掃除の依頼は明後日には全て完了しますね。ずっと溜まっていて街の方々からも苦情が来ていたので、本当に助かりました」

 …なんですとぉぉぉ、ど、ドブ掃除のクエストがもう無いですとぉぉぉ?

「え、終わりなんですか?」

「はい、出ている依頼は明後日分で終わりですね」

 普段の静かな微笑みでは無く、満面の笑顔で言い切りやがりましたよ。この人…。

 マジかー、どうする、どうする、え、えーと、…あ。

「まだ依頼じたい来てないところが確かあるはずですよね、それってくる予定無いんですか?」

 そうだよ、街全てのドブを掃除したわけじゃ無いんだよ。半分にもまだ満たないはず。だから…

「あ、他のエリアですね、あのエリアの方々は、もう依頼すること自体あきらめて自分たちでやるか、スラムの人を使ってやってるんですよ」

 俺は半分固まったまま「じゃあ、俺たち仕事無くなるんですね」と言うと、彼女はあっと言う感じで目を一瞬見開いた。

「あ、ごめんなさい、でも他の仕事もありますよ。配達とか畑仕事とか…若干依頼料は落ちますけど」

 後半気持ち声が小さくなった気がした。俺たちもこれまでの間、色々他のクエストも見てはいたんだよね。でも、最初の日に聞いたように、ドブ掃除は結構高い方だったんだよ。

 もちろん、他に同額程度や高い仕事も有ったけど、それらは単発の仕事で、一回こっきりな上に直ぐ取られるので受けられる可能性と安定性が無かった。

 ゆえの『ドブ掃除』だったんだが…

「えっと、こちらの方でも他に良さそうな仕事が無いか探しておきましょうか?」

 ソアラさんがすまなそうな顔で言うので、「お願いします」とだけ言って、本日の仕事を受けた。

 協会を出て、待っていた瞬に今の話をすると、瞬も「まじですかぁ────!!」と声を上げ、周囲から視線を集めてしまった。


 結局4日以降の事はこれと言った案も無く、心の奥に不安を残したまま、残り3日間のクエストを終えた。

 最後の『ドブ掃除』クエストを終わらせ、腕時計時間で午後3時ちょうど頃に冒険者会館へと着き、二人でソアラさんのカウンターへと行く。

 ここのところの瞬の魔力量増加や、ゴーレムの新たな使い方の発見等で作業効率が良くなり、冒険者がほとんどいない時間に帰ってこれるようになった。だから、二人で窓口へ行っても迷惑には成らない。

 ちなみに、ゴーレムの新たな使い方とは、単純に『ゴーレムにスコップを持たせドブを(さら)わせる』と言うだけだったりする。

 魔力の回復量がゴーレムの使役維持量を上まった事で可能となった。まあ、単に瞬じたいの作業効率より、瞬が操作したゴーレムの作業効率の方が遙かに上だったから取れた選択では有る。

 これが、俺が対象であれば、俺の方が微妙に作業効率は良いので意味が無くなる。それだけ瞬が肉体労働に向いてないと言うことなんだけどね。

 なんせ、159.5センチの身長で、部活動経験無し、その他運動してない、趣味読書(ラノベ)と言う身体だからね。

 文句言わずにず~っとドブ掃除しているのが凄いよ。怠けず遅いなりにずっとやるからね。

 余談だが、身長を聞いた時、「160」と答えたのだが、微妙に口元に違和感を感じたので、更に三回続けて問い詰めると、「159.5」とゲロった。

「159.5と160は変わんないじゃ無いですか、160で良いでしょぉぉぉ」と切れて来たので、

「うん、変わらないね、だから159.5でも良いんだよね」と突っ込んでやとプーたれて

「160って言うのと150代じゃ響きが全然違うんですぅぅ」とさっきと真逆のことを言ってきたので、分かった分かったと流しておいた。

 げっ歯目っぽく、ほほ袋を膨らます顔が結構愛らしいので時々いじめるのも良いかもしれない。

 そして、最後の『ドブ掃除』の報告を終え、依頼料と冒険者標章を受け取ると、ソアラさんから翌日以降のクエストに関する提案が成された。

「下水道のネズミ駆除をしませんか?」

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