第二話
「はじめまして。ナメリです。お世話になります、みなかわまぴこ。……さん。」
そう言ったナメリは照れているのか、俯いている。意味不明な格好をして何を照れているのだろう、さっぱり理解できない。取り敢えず質問してみることにした。
「あの、あなたどこから来たんですか?」
「マシュシル星です、まぴこさん。」
いやどこだよ。と思わずツッコみそうになる。危ない危ない。
「女の子……ですよね?いくつなの?」
「たぶん女子です。確か、150歳のはずです。」
そうなの150歳なのねー、ってケタがおかしい。140㎝もないだろうに、信じられない。マシュシル星の人は皆そうなのだろうか。
「そういえば、一緒に居た女の人は?」
「ああ、ヒメですね。ヒメは私のボス、というか皆のボスですね。」
やはりお姫様だったのか。しかしその後については意味不明だ。
「みんなのボス?」
聞き返すと、ナメリは少し早口で話し始めた。
「また今度話します。」
「ウチが地球に来た目的は、いわゆるスパイです。それと救済。救済っていうのは地球の人を理不尽すぎる死から救うことなのです!この辺はヒメの気まぐれにかかってるのですが……。」
「……?」
「これもまた説明できればと思います。とりあえずまぴこさんと一緒の高校に通います。周りには帰国子女の転校生ってことにする予定で、親御さんもそういう認識にしておきますから大丈夫ですよ!」
グッと親指を立て、胸を張るナメリ。日本語が流暢で少し驚く。
「ふうん。わかんないけどわかった!えっと私の名前舞子だからね?まぴこと違うからね?」
「わざとじゃないんですが、すみません。ヒメに教育されてる時にその単語は無くて。ウチら……あっ私たちはア行が言えないそうなんです。」
なるほど、元から話せるわけではないようだ。それにしてもヒメさんは、すごい力を持っているようである。わざわざ地球のこの日本の中の小さい町に来たのには何か理由があるのだろうか?聞きたかったが、これ以上一度に聞いたら頭がパンクどころか爆発しそうだったので止めておいた。ただ、ナメリへの興味で三日後の試験のことなど完璧に忘れていた私であった。