普段の味わい
焼きそばって美味しい。
最近すごくそう思う。
でも焼きそばっていちいち外食してまで食べるものではないとも思う。
まあ、富士宮焼きそばとか……そういうご当地の名産的な焼きそばなら話は別なのだけど。
ごく普通の焼きそばって外食してまで食べない。
屋台の焼きそばもあるけど、あれはたまたまそこに売ってるから買っちゃうだけで、それ目的で屋台を探したりはしない。
だけども、屋台で買って食べる焼きそばってこれまた美味しい。
なんだろ。
外食で探すほどではないのだけど美味しいのだ。
地味に美味しい。
屋台で見つけたら買っちゃうぐらいに美味しい。
自宅で作って食べても美味しい。
で……
焼きそばのすごい所って酒のつまみになるところ。
ビールのお供に焼きそばって最高。
日本酒とか焼酎はきついけどライトなお酒、つまりハイボールとかチューハイなら焼きそばと相性がいい。
何がすごいってここから。
焼きそばって普通に食事としても美味しいのだ。
これ、すごいことだと思う。
美味しいのだけど、ものすごく美味しいわけではない。
お米は美味しいけど、ものすごく美味しいわけではないから飽きずに毎日食べることができるんだけど、それってこの焼きそばにも言えていることかもしれない。
あ……言いすぎか。
さすがに毎日焼きそばはきついか……。
ただ、食事としてもアリで、お酒のお供としてもアリであるオールラウンダーな焼きそば。
こんなメニューは案外探してもないような気がする。
似て非なるものとして焼きうどんがある。
これまたすごく美味しい。
結局、焼きそばと焼うどんの違いって麺だけのような気がするのだけど、麺を変えるだけで基本的な味付けはすべて変わってきてしまうところが面白い。
焼きそばが味付けのベースがソースであるところに対して、焼うどんの味付けのベースは塩と鰹節である。
ソースを入れる場合もあるのだけど、暴力的なまでにソースの味付けが強い焼きそばに対して、焼きうどんは鰹節の香りが生きるように少なめにソースを入れる。
ボクが作る時は、基本的にはソースは使わないか、もしくはウスターソースを愛用している。
ウスターソースがなければ塩しか入れない。
これで十分に美味しいのだ。
でも焼きうどんはお酒のお供というよりは〆に食べることが多い。
二つのメニューに共通しているのは、二つとも極端に美味しいものではなく、普段の味がするということ。
ああ。
なんとなくだけど日常を書いているボクの小説に似てる。
特別美味しいわけではないのだけど、寄り添ってくれるようなそんな普段の味。
そんな味わいを持つ焼きそばや焼うどんのような小説をいつまでも書いていきたいものである。