太ってしまうのは分かるのだがご飯が美味しい
秋である。
この文章を書いている時点では秋なのである。
秋は寂しい季節……夏の暑さが影を潜め、夕方には冷たい風が吹く。
あんなに長かった夕暮れは嘘のように短くなり、気が付けば外は真っ暗になる。
本当に寂しい。
……てなことをいろんなところで書いているので少し感傷的になりすぎている嫌いがあるが結局ここで書きたいのは食べ物の話であり、おっさんが感傷的になったところで絵面的には美しくともなんともない。
ただこの時期は暑さが和らぎ、寒くもなくちょうどいい感じの気候である。
身体は夏の疲れが出る時期ではあるが、季節は比較的安定しており、春の三寒四温とは違い夏の疲れが毎日の生活の中で少しずつ癒されていく。
寂しい季節だがいい季節だ。
何かを始めるのには一番いい季節だから『……の秋』なんて言葉があるのかもしれない。
読書の秋
スポーツの秋
そして……食欲の秋である。
夏の疲れが癒えてきて……夏バテのためになくなっていた食欲も戻り、体力をつけるためにもたくさん食べることができる季節。それが秋だ。
もっともボクの場合は夏バテとは無縁だし、夏に食欲がなくなることもない。
1回で良いから食欲がなくなるようなことになってみたいものである。
まったくもって食欲がなくなるような感じは微塵もない。
つまりは……ボクの場合は秋とかそういうこととはあまり関係なくご飯が美味しいということだ。
太ってしまうことは分かっていてもご飯が美味しくてつい食べ過ぎてしまう。
太っている人間すべての悩みではないだろうか。
痩せなければ……という気持ちはあるのだが、気が付けばなぜか『おかわり』と言ってしまう自分がいるのだ。
運動すればいいではないか。
スポーツの秋でしょ。
という意見もあるだろう。
それができれば太ってなんかいない。
それができないから太っているのだ。
こんなに食べてしまうのはどうしてなのか……。
おかずが美味しすぎるのかな?
ご飯単体ではそんなに食べられないのかな?
と考える。
そんなこともない。
具の入っていないおにぎりなんかでもすごく美味しい。
お腹が空いている時は特にご飯が恋しくなる。
おかずよりご飯である。
通常、ご飯をセットで食べない食事にもご飯をつけるとボリューム感が増すし美味しい。
例えばよほど食べる人でなければラーメンにはご飯はつけないだろう。
しかし、ラーメンとご飯というのはとても合うし、美味しいのだ。
ラーメンが出たので丼についても話しておきたいと思う。
ボクはラーメン屋でメニューになっている丼が好きだ。
特にチャーシュー丼など最高である。
ラーメンのお供にはもってこいである。
これ……いつも思うのだが少し量が多いのだ。
ラーメン屋としてはミニチャーシュー丼などを出して量を調整しているようだが、あまり食べられない人にはすでにラーメンのみで十分なのだから、ラーメンの量を少なくするべきではないかと個人的には思う。
ボク自身は、ラーメンにチャーシュー丼をつけてちょうどいいぐらいなので、そんな心配はする必要はないのだが……こんなことを思うようになったのは『隣の二階堂さん』という小説の中で主人公の二階堂さんが酔った勢いでラーメンとミニチャーシュー丼を食べてしまうというシーンを書いたせいである。
ラーメンにミニチャーシュー丼……二階堂さんのような女子はたぶんそんなに食べられないかな……と思ったのがきっかけである。
チャーシュー丼も美味しいし、ラーメンも食べたい。
でも量が多すぎて食べきれない。
そんな女子がいるかもしれない……そう思ったわけだ。
実際、女子のためのミニラーメン、ミニ丼の『ミニミニセット』があってもいいではないかと思う。
こういうものがあればボクのようなおっさんでもダイエットをしなければならない時など助かるのだ。
つまりは需要は女子だけではないということだ。
そもそもラーメンにご飯をつけるようなボクのような人間はすでの健康を損なっており、食べ過ぎてはいけないと言われていることが多いのだ。
多い量を食べられるのも嬉しいが、少ない量をチョイスできるともっとありがたい。
ただ少ない量をチョイスする勇気があるかどうかは別だ。
うむ。
あとは勇気だけだ。
さて……話を変えよう。
ご飯を食べない人がいるらしい。
『ご飯、あんまり好きじゃないんです』
ん?
ちょっと何言ってるのかわからない。
好きじゃないってなんで??
好きじゃないではなく好きだけど我慢するというのは分かる。
炭水化物をとらないダイエットには効果があり、ご飯を食べない人はそういうことを気にしている人が少なくはないからだ。
ここで言いたいのはそういうことではない。
我慢云々ではなく、好んで食べない人がいるという事実である。
ご飯が好きでないって……。
何言ってんの?
ご飯、美味しいじゃん。
其処は彼と無いあの味がたまらなく美味しくないですか??
ご飯の良さというのは、癖がなくはっきりした味もないところにある。薄いうま味がどんなおかずも受け止める。
もうこれに尽きる。
だから食べ過ぎてしまうのである。
ご飯をどうやって食べたら美味しいかということを話し始めると実にいろんな意見がでそうである。
食通ぶっている人なら『おにぎり』というだろうし、その意見に関しては否定しない。海苔の香りがするおにぎりは本当に美味しい。
新潟の越後湯沢に行くと南魚沼産のコシヒカリでソフトボールぐらいにおおきなおにぎりを作ってくれるお店がある。その名も『爆弾おにぎり』
本当に美味しい。
思い出すとあの味がくっきりと思い出される。
いや、もうね。この美味さをどうやって書き表したらいいか分からないんですわ。
とにかく美味しいとしか言いようがない。
このおにぎりは越後湯沢に行かないと食べることはできないのだけど、ボクはこれを食べに行くだけに越後湯沢まで行ってもかまわないと思っている。
おにぎりの他にも美味しいものはたくさんある。
たくさんあるけど書くときりがないからこれぐらいにしよう。
え?
食べ過ぎ??
そんなことは分かってるんですよ。
ご飯を食べすぎると太ってしまうことは。
太ってしまうと健康にも良くないことは。
言われるまでもなく、よ――く分かってるんです。
でもね。
美味しいんですよ。
食べちゃうんですよ。
『秋だからいいんだ。食欲の秋だし』……とか言い訳しながら。