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コーヒーが醒めるまで

気が付けばいつもコーヒーは醒めている。

特にパソコンの前にいるときに一息入れようと思って入れた熱いコーヒーは気が付けば醒めていることが多い。


パソコンの前で長く作業をしていると熱い飲み物が飲みたくなることがある。

普段の生活の中ではそんなに飲まないのだがパソコンの前にいると熱いものが飲みたいと思うのだ。

これに関してはもう条件反射かもしれない。

作業を始める前に一口、熱いものを口にしたい。

これは冬に限った話ではない。

夏の暑い時期でも同じように熱いものを飲む。

そして飲むのが一番多いのがコーヒーである。


コーヒーはアイスよりホットの方が好きだ。

豆もいろんな豆で飲んだけど、値段がお手頃で美味しいのはやはりモカだと思う。

キリマンジャロも美味しいのだけど、個人的には少し酸味が強いのでモカの方が好きである。

この辺はたぶん個人差があると思う。

ただとにかく、コーヒーという飲み物はお酒と同じぐらいに面白い飲み物である。


というのも、豆によって香りも味わいも随分変わるからだ。


マンデリンという豆がある。

これはアイスで飲んだ方が美味しい。

この豆をホットで出す店もあるけど、苦みの強いこの豆はアイスの方が断然、美味しい。

飲み慣れるとホットでも美味しいのだが、苦みが強い豆はやはりアイスの方が合っているとボクは思う。

最初にマンデリンをホットで飲んだ時は『美味しくない…。』という感想だったが、その美味しくないマンデリンをアイスで飲むと味がすっきりして苦みもさわやかに感じ、とても美味しかった。

こうやって入れ方や飲み方によって味が大幅に変わるので、コーヒーは面白いのである。


こんなことを熱く語っているボクだが実は大人になるまであまりコーヒーを好んで飲むという習慣がなかった。

小学校を卒業し、中学に入ると思春期になるので、周りのみんなは急に大人を意識しだす。

ボクは別に背伸びして大人になどなりたくもなかったから、意識して何かをするということはなかったが周りと違うことをするのは怖かった。というのも、周りと違うことをすると『あいつは変な奴』と思われ誰にも相手にされなくなってしまうからだ。

それで周りに合わせて無理をしていろんなことを変えていった。

好きだったアニメは見なくなったし、ミニ四駆も辞めた。


周りに合わせて、自分を変えたものの一つがコーヒーである。

苦くて美味しくもないコーヒーを無理くり飲むようになったのは中学の頃からだったが、美味しくもないので好き好んで飲むということはなかった。

それは中学を卒業し、高校に入った後も一緒だった。

暖かい飲み物の定番はボクの中ではコーンスープだったが、よほど寒くない限り、若かったボクがホットの飲み物を選択することなど皆無だった。

外で飲むのは基本的に冷たい炭酸飲料だった。

ボクの記憶が正しければ、コーヒーを飲むようになったのは23歳ぐらいの時に実家近くに美味しいコーヒー豆の店ができてからだった。

実はその店は今でも存在する。

様々なコーヒー豆が用意されているお店で、豆も注文してすぐにその場で炒ってくれるのだ。

最初は親のおつかいでコーヒーを買いに行っていたのだが、様々なコーヒー豆の味の違いに興味を持ったボクは次から次へとストレートで豆を注文して、その違いを楽しんだ。

上記のマンデリンの話はこのコーヒー豆屋で購入した豆を飲んだ時の話である。


よく考えてみればコーヒーという飲み物はそんなに美味しいものではない。

香りはとても香ばしいが、味は苦いし酸っぱい。

冷静に考えるとなんであんなものが美味しいのかが分からない。

しかし、なんだろうか…

若い頃は味も分からず、大人ぶりたくて飲んでいただけのコーヒーだったが、年を追うごとにあの苦みが美味いと感じるようになってきた。

コーヒー豆屋でコーヒーの面白さを発見した当時よりも今の方がコーヒーが好きだとはっきり言える。


コーヒーには砂糖やミルクを入れる人もいるが、個人的には何も入れずにコーヒーの香りを楽しんでほしい。

苦いのが苦手なら甘いものを添えて飲むと実に美味い。

苦味や辛味という味は実際にはあまり美味しいと感じるものではないから、その良さが分かるには時間がかかるのかもしれない。


さて…醒めたコーヒーを飲み干してもう一杯。

次は甘いものでも食べようか。



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― 新着の感想 ―
[一言] コーヒーを飲み始めるきっかけは、大抵の場合背伸びした気持ちからだと思います。 子どもの頃はコーヒー牛乳が好きで、やがて甘めのロング缶コーヒー、ショート缶コーヒー……この辺りで「甘くないのも…
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