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大好きな食べ放題

不景気の影響か…最近ではやたら食べ放題の店が多くなったように思う。


昔からこの手のお店は好きなのでよく食べに行く。

かみさんと付き合っていた時もデートは基本的に食べ放題が多かったような気がする。

よくデートにサイゼリアを使う男はちょっと…などの意見も目にするが確かにまったくもってその通り

で最初の頃はちょっと洒落たお店に行っていたのだが、かみさんもそんなにそういうことを気にする人ではなかったので、付き合い始めてからしばらくすると食べ放題に行くようになったのである。

不思議なもので、食べ放題が好きと言うと、どうしてもデブを連想してしまうが、悔しいことにかみさんはあまり太っていない。結婚する前よりは基礎代謝の関係でかなり体格がよろしくなってしまったかみさんだがそれでも『太っている』という表現までには至らない。


ただ…よく見ると…。

これ以上は恐ろしい予感がするので言わないでおこう。


さて…食べ放題のお店は独身時代にもよく行っていた。

通常のファミリーレストランなどで出される食事だと大盛にしても若い頃のボクには満足感がなかった。

おそらく男性が吉野家やココイチに行きたがるのはそういうことが大きな要因なのではないかと思う。

とにかく満足いくまで食べたいのだ。

もちろん味もそれなりに美味しくないダメなのでそこはいくらたくさん食べれることができるからと言ってもお店は選ぶのだが…。


失敗例の一つとして、茨木くんと保田くんで行ったシェーキーズの話をしたい。

そういえば最近はシェーキーズをあまり見ないがどうしたのだろうか?

そう思ってネット検索したら、ちゃんとまだ現役で存在していたので、ただ単にボクが見かけないだけだった。


何かのイベントがあったのか…その辺は良く覚えていないが、電車に乗ってボクらは出かけて横浜にいた。ちょうどお昼になったのでどこで食事をしようかという話になり、シェーキーズを選んだのだ。

今はやっているかどうか知らないが、当時はシェーキーズはピザの食べ放題だった。

『おお!これは!!』と胸をときめかしてお店をうろうろしたのを覚えている。

しかしいくら食べ放題と言ってもピザは腹にたまる食べ物である。

しかもここのピザはやたらしょっぱいのだ。

しょっぱいから美味しいという見方もある。

そこまで不味いというイメージはボクにはない。

しかし…喉が渇くのだ。

そして残念なことに…


当時のシェーキーズにはドリンクバーがついていなかった。


ドリンクは別料金だったのだ。

店内でドリンクを頼むと、高額だし、ドリンクの量も氷ばかり多くて非常に少ない。

実はこれ…最近感じたのだがマクドナルドも同じで、マックに行った後はやたら喉が渇く。

この話はまた今度しようかと思うが…子供が出来てマックに行く回数も多くなった昨今だが、若い頃ほどマックが好きではなくなっている自分がいる。


話をシェーキーズに戻そう。

店内のドリンクは量は少ないし、高額であるから、貧乏高校生だったボクらは飲み物を我慢するという苦行のようなことをしていた。

今…こうやって書いてみると、普通に水を飲めばよかったように思うのだが、記憶が正しければ水もなかったように思う。

たぶん…高額なドリンクで採算をとるという戦略だったのかもしれない。


しょっぱいピザは…ドリンクがない状態では通常ではそうそう食べられるものではない。

…と言ってもこちらは十代の高校生である。

常時、空腹なので、調子に乗ってバクバク食べる。

ドリンクバーが付いていれば、喉が渇くのでドリンクを飲んで腹が膨れていくのだが、ドリンクがない状態で腹が膨れていくということは純粋に食べ物で胃を膨らませるということだ。

高校生のボクらは、喉の渇きに耐えながら、バクバク食べ続け、ついには限界に至った。


『苦しい…。』

店を出たボクらは無口だった。

しゃべれるわけもない。

食べすぎなのだ。

そして歩けばちょっとはましになる…というのはちゃんとドリンクを飲んだ人が言うことだ。

飲んだ水分が汗になるから少しましになるのである。

残念なことにあの時のボクらの胃の中にはピザしかなかった。

ケチャップの匂いが鼻について…息をするのもしんどい。

ふと横を見ると保田くんが死にそうな顔をしていた。

いや…死にそうな顔はお互い様だろう。

『大丈夫か?』

『大丈夫なわけないだろ。』

『苦しいな。』

『ああ。』

会話だけを聞くとちょっとカッコよく響いてしまうが決してかっこいいわけではない。


何度も言うが…ただの食べ過ぎである。


そしてやたら喉が渇いているものだから、店から外に出た途端、自動販売機に行き、我慢できずに飲み物を購入してしまう。

しかも…お茶とかにしとけばいいものをコカコーラなど、飲んでしまうのだ。

ボクと茨木くんは基本性能が高い…つまりそこそこデブなので…それでもまだ平気だが、基本性能の低い保田くんはもうこの時点で青くなっていた。

『お茶にすればよかったのに…。』

『ピザにはコークだろ。』

よく分からん理論を持ち出すのも保田くんの特徴なのだが、それで彼はいつも自分の首を絞めている。


食べ放題は、心行くまで食べられるのが魅力だが、つい食べ過ぎてしまうのが欠点でもある。

言うまでもないことだが、食べ放題で身体を壊しては元も子もないのでそこには気を付ける必要があるという教訓を毎回のように頭に叩き込むのだが、次回食べ放題に行く時はそんなことは頭の中から消えてしまうのである。


人間はなんども間違いを犯すものなんだなあ…。

と失敗する度に、やけに哲学的なことを考えるわけだが…。


しつこいようだが…


ただの食べ過ぎである。


そういえば…

もしかしたら今ならシェーキーズもドリンクバーをつけているかもしれない。


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