雨の中、コンドームを届けに行ったのに、彼は別の女とキスしてた
神崎蓮司と知り合って以来、潮見市の社交界では、彼のそばに言うことを何でも聞く、自尊心さえないような女がいると知られていた。
彼がほかの女とホテルにいる時、頼まれれば豪雨の中でもコンドームを届けた。彼が不注意な運転で人を傷つけた時には、被害者の家族の前で何度も頭を下げた。幼なじみの女に輸血が必要になれば、私は自分から採血台へ横になった。
誰もが笑いながら私に尋ねた。
「瑠花、お前はどれだけ神崎蓮司を愛しているんだ?」
けれど、誰も知らなかった。
私が最初から最後まで愛していたのは、蓮司ではない。
七年前に死んだ、双子の妹だった。
1
激しい雨が潮見市を覆っていた。
潮見ベイサイドの会員制ラウンジへ着いた時には、髪からもスカートの裾からも水が滴っていた。個室の扉を開けた途端、待ち望んでいた余興でも始まったように、若い男たちが一斉に笑い声を上げた。
「本当に来たぞ」
「こんな雨の中、好きな男にコンドームを届けるなんて、水城さんくらいだろ」
別の男が、濡れた服に張りついた私の身体を上から下まで眺めた。
「そんな格好をすれば、蓮司に抱いてもらえるとでも思ったのか?」
私はわずかに眉を寄せただけで、何も言い返さなかった。
個室の奥では、神崎蓮司が白石寧々を腕の中へ抱き寄せていた。彼が首筋へ口づけると、寧々は両腕を蓮司の首へ回し、乱れたスカートの裾を膝の上へ寄せた。急に静かになった室内に、二人の湿った息遣いだけが響いていた。
寧々は神崎家と古くから付き合いのある白石家の娘で、蓮司の幼なじみでもある。身体が弱く、いつも顔色は白かったが、それがかえって人の庇護欲を誘うような女だった。
私は蓮司の前まで歩き、コンビニの袋を差し出した。
「頼まれたもの」
蓮司は顔を上げ、邪魔をされた不機嫌さを隠そうともしなかった。
寧々は笑いながら彼の襟をつかみ、再び自分の方へ引き寄せた。
「放っておけばいいじゃない」
私はそれ以上とどまらず、個室を出た。
ラウンジの外では、来た時よりも激しく雨が降っていた。濡れすぎたせいか、それとも何日もまともに眠っていなかったせいか、頭が重く、足元まで頼りなかった。
道路脇へ出た瞬間、雨の向こうから一台の車が滑るように突っ込んできた。運転手が直前でブレーキを踏んだものの、車体は私をかすめ、身体は濡れた路面へ強く投げ出された。
胸と腹に、内側から引き裂かれるような痛みが走った。雨水が目へ入り、視界が少しずつぼやけていく。
意識を失いかけた時、蓮司が私の名前を叫んだ。
「瑠花!」
私はかろうじて手を上げた。
ラウンジから駆けてきた蓮司が、その手首をつかんだ。一瞬だけ、ようやく彼が傷ついた私を見てくれたのだと思った。
けれど、彼の口から出たのは別の言葉だった。
「寧々の容体が急に悪化した。診療所に適合する血液が足りない」
「今すぐ来て、採血を受けろ」
白石寧々は重症再生不良性貧血を患い、複数の不規則抗体を持っていた。二年前、神崎家の手配で検査を受けた結果、私の血液は彼女に適合しやすいと分かった。
それ以来、私は神崎家が寧々のために用意した、臨時の血液供給源になった。
蓮司は車を飛ばした。助手席で私が身体を丸め、片手で傷ついた腹を押さえていることには気づきもしなかった。
神崎家が出資する会員制診療所へ着くと、彼は私をほとんど引きずるように採血室へ連れていった。
看護師は服に付いた血を見て、すぐに蓮司を止めた。
「神崎さん、この方は交通事故に遭ったばかりです。まず検査が必要です」
「今の状態で採血はできません」
蓮司は私を採血用の椅子へ座らせ、冷え切った声で言った。
「寧々が待っている」
「死なない程度なら、先に採れ」
看護師は顔をこわばらせたが、診療所の責任者も神崎家に逆らおうとはしなかった。針が血管へ刺さり、赤い血が透明な管を通って流れていく。
採血量が、今の私にとって安全な範囲を超えた頃、看護師は青ざめた顔を見て手を止めた。
「これ以上は無理です」
「水城さんの治療も必要です」
蓮司は冷たく言い放った。
「寧々に必要な分を優先しろ」
私はどうにか笑ってみせた。
「大丈夫です」
「まだ耐えられます」
針が抜かれた時、身体の中身をすべて抜き取られたような感覚がした。立ち上がろうとしても脚に力が入らず、壁へ手をつき、何歩もよろめいてようやく倒れずに済んだ。
蓮司に医師を呼んでもらおうと思った。
私は死ねない。
少なくとも、今はまだ。
ちょうどその時、病室の扉が開き、医師が寧々の意識が戻ったと告げた。
蓮司はすぐに病室へ入っていった。一度も振り返らなかった。
私はついに身体を支えられなくなり、冷たい床へ倒れた。
2
次に目を覚ました時、冷水が顔へ浴びせられた。
目を開くと、御影台にある神崎邸の客室へ戻されていた。ベッドの前には蓮司が立ち、手には空になったグラスを持っていた。
「起きろ」
「寧々がお前の料理を食べたいと言っている」
私は顔の水を拭い、まだ血の跡が残っている服を着替えた。部屋を出ようとしたところで足を止め、蓮司を振り返った。
「明日は二十五歳の誕生日でしょう」
「まだ叶っていない願いはある?」
蓮司は眉をひそめた。けれど答える前に、階下から寧々の声が聞こえた。
「蓮司、お腹が空いた」
私へ向けていた苛立ちはたちまち消え、彼は早く下へ行けと私を急かした。
厨房で夕食を作っている間、居間から二人の笑い声が絶えず聞こえてきた。蓮司は寧々には甘く、何をされても許すのに、私にはいつでも捨てられる道具のように接した。
包丁を動かしながら、私は手首の赤い組紐へ触れた。
妹が編んでくれたものだった。長い間身につけていたため、鮮やかだった赤は汗と時間にくすみ、結び目には細かな毛羽立ちができている。
誰にも聞こえない声でつぶやいた。
「瑠花」
「男を見る目は、あまりよくなかったね」
夕食を終えると、蓮司は私に庭の花壇を整えるよう命じた。さらに、しばらく神崎邸で過ごす寧々の世話も、すべて私に任せると言った。
その日の午後、寧々は意外なほど静かだった。テラスで日を浴びながら、時々こちらを眺めるだけだった。
蓮司の車が庭へ入ってきた頃、彼女は突然私のそばへ来た。
「蓮司のそばに一番長くいる女は、あなたなんですって?」
私は剪定ばさみを置いた。
「二年だけです」
「六年間、彼を好きだった人がいます」
寧々は、それが誰なのか分からないようだった。しばらく私の顔を見た後、突然手首をつかみ、その腕を支えにするように自分から後ろへ倒れた。
額が石段へぶつかり、すぐに血が流れた。
「瑠花!」
蓮司が怒声を上げて駆け寄ってきた。
寧々は彼の胸へ寄りかかり、涙ぐみながら言った。
「怒らないで、蓮司」
「支えてもらった時、少し力が強かっただけ。わざと傷つけたんじゃないと思うの」
私はすぐに否定した。
「私が押したんじゃない」
「寧々さんが自分から倒れたの」
蓮司の目が、一瞬で冷たくなった。
「寧々が自分の命を使って、お前を陥れたとでも言うのか?」
「寧々がいなくなれば、自分にチャンスがあるとでも思ったのか」
「寧々がいようがいまいが、俺とお前が結ばれることは一生ない」
私は指を固く握った。
「押していない」
蓮司は冷笑した。
「それなら、認める気になるまで閉じ込めておけ」
彼は私兵同然の警備員へ命じ、私を郊外の廃倉庫へ連れていかせた。そして寧々を抱き上げ、そのまま車へ向かった。
私の横を通り過ぎる時、寧々は蓮司の胸に顔を寄せたまま、声を出さずに唇を動かした。
「見たでしょう」
「彼が一番大切なのは、やっぱり私よ」
3
倉庫は何年も使われていなかった。
窓は板で塞がれ、湿った空気には錆と埃の匂いが混ざっていた。周囲に民家はなく、どれほど叫んでも誰にも届かない場所だった。
二人の警備員は私を柱へ縛り、太い革のベルトで背中を打った。最初の一撃で思わず声が漏れ、その後は痛みが間を置かず降り続けた。私は身体を丸め、頭と腹だけでも守ろうとした。
それでも、最後まで誰も、罪を認める気があるかとは尋ねなかった。
意識が途切れかけた頃、傷口へ冷たい塩水が浴びせられた。全身を貫く痛みに身体が激しく震え、助けを求める声すら出せなくなった。
やがて鉄の扉が開き、蓮司の秘書である佐久間が入ってきた。
「認めたか?」
警備員は首を横に振った。
私は必死に伝えようとした。
認める。
彼らが望むなら、何だって認める。
けれど声はもう出なかった。
佐久間は瀕死に近い私を見つめ、しばらく黙っていた。
「縄をほどけ」
「車へ運べ」
ようやく終わったのだと思った。
けれど車が再び神崎家の診療所へ止まった時、私は理解した。
蓮司が情けをかけたのではない。
寧々がまた、血が必要だと言っただけだった。
看護師が針を持つと、私は残った力を振り絞って腕を引いた。
「蓮司に会わせて」
寧々に関わることだったから、彼はすぐに来た。
扉を開けた蓮司は、嵐の前のような顔をしていた。
「今度は何を企んでいる?」
私はどうにか顔を上げた。
「白石さんを押したのは、私です」
「採血も受けます」
「でも終わったら、きちんとした総合病院で身体を診てもらってください」
「私は死ねないの」
蓮司は初めて、私の全身に残った傷をまともに見た。
目に驚きがよぎった。自分が口にした「認めさせろ」という命令が、どのような形で実行されたのか、その時になって理解したのかもしれない。
けれど、わずかな動揺はすぐに消えた。
「分かった」
採血が終わると、私は潮見中央総合病院へ移された。医師は傷を処置し、内臓や骨の状態も調べた。
幸い致命的な損傷はなかった。失血と脳震盪、全身の打撲があり、入院して経過を見る必要があると言われた。
検査結果を見た時、胸を締めつけていたものがようやく少しだけ緩んだ。
誰もが、私は蓮司を愛するあまり、命さえ惜しくないのだと思っていた。
けれど違う。
私は彼のために、どんなことでもできる。
ただし、本当に死ぬことだけはできなかった。
この命は、私一人のものではなかったからだ。
4
夕方、寧々が病室へ入ってきた。
包帯に覆われた私の身体を見回し、楽しそうに笑った。
「よく生きているわね」
「あれだけ殴られて、血まで抜かれたのに」
私は手首の組紐へ触れ、静かに言い返した。
「長い間病気をしている寧々さんも、まだ生きているでしょう」
「私も簡単には死にません」
寧々の顔が険しくなった。
やがて私の手首へ目を止めると、外にいた二人の護衛を呼び入れ、赤い組紐を指さした。
「それを外して」
私は初めて、はっきりと動揺した。
「触らないで」
「返して!」
治療を受けたばかりの身体では、二人の男に抵抗できなかった。肩を押さえつけられ、赤い組紐のブレスレットはあっという間に寧々の手へ渡った。
彼女はライターを取り出し、擦り切れた端へ火をつけた。
炎が赤い糸をゆっくりと這っていく。
涙が一気にあふれた。
「燃やさないで」
「お願い、返して」
「何でもするから」
寧々は、初めて私を本当に傷つけられるものを見つけたようだった。窓辺へ歩き、燃える組紐を外へ突き出した。
「欲しい?」
私は何度もうなずいた。
彼女は指を離した。
「それなら、自分で拾えば?」
病室は二階にあり、窓の下には外来入口の金属製の庇があった。組紐はその端へ落ち、まだ小さな炎を上げている。
階下から回り込んでいる間に、灰になってしまうかもしれなかった。
私は考えるより先に窓を越え、外側の支柱へ足を掛けた。
背後から、慌ただしい足音が近づいた。
病室へ飛び込んできた蓮司は、身体の半分を窓の外へ出した私を見るなり、初めて完全に取り乱した。
「瑠花、死ぬつもりか!」
死にたいのか。
考えたことがないわけではない。
それでも、死ぬことはできなかった。
この命は、妹が自分の命と引き換えに残してくれたものだから。
失血と傷のせいで、指に力が入らなかった。窓枠をつかんでいた手が滑り、身体はまず金属の庇へ強く打ちつけられ、その端から下の植え込みへ落ちた。
衝撃で視界が暗くなる。
意識を失う直前、それでも私は地面を這い、焼け焦げた組紐を掌へ強く握り込んだ。
5
目を覚ますと同時に、蓮司の平手が頬へ飛んできた。
「そんな古びた紐一本のために、寧々へ死ねと言ったのか?」
「全員を振り回さなければ気が済まないのか」
古びた紐。
その言葉を聞いて、私はゆっくりと顔を上げた。
彼にとっては、私が二階から落ち、骨折し、脳震盪を起こしたことよりも、怒りに任せて寧々へ放った一言の方が重要らしい。
もう説明する気にもなれなかった。
ただ、もう一度尋ねた。
「今日は二十五歳の誕生日でしょう」
「まだ願いはある?」
蓮司は一瞬言葉を失い、すぐに嘲るように笑った。
「本当に、命を捨てるほど俺を愛しているんだな」
「そこまで知りたいなら教えてやる」
「寧々の代わりに死んでくれ」
「そして二度と、俺の前に現れるな」
私はしばらくぼんやりし、やがて小さくうなずいた。
寧々の代わりに死ぬことはできない。
けれど、二つ目なら叶えられる。
彼の願いを叶える前に、どうしても聞いておきたいことがあった。
「蓮司」
「私たち、中学生か高校生の頃に会ったことはない?」
ちょうどその時、彼の携帯電話が鳴った。
蓮司は真剣に考えようともせず、吐き捨てるように言った。
「会っていない」
「子どもの頃から、お前みたいな恥知らずな女を知っていたなんて思いたくもない」
彼は電話を取り、足早に病室を出た。
だから、私の目が赤くなったことにも、焼け焦げた組紐を握る指が白くなるほど力を込めていたことにも気づかなかった。
私は心の中で繰り返した。
水城瑠花は、この世界で一番優しい子だった。
蓮司が言うような女ではない。
病室が再び静かになると、私はバッグから一冊の古びた日記を取り出した。
表紙は擦れ、角は丸く折れている。神崎蓮司への思いが何ページにもわたって書かれていたが、そこに私の字は一つもなかった。
『中学校の入学式の日、階段で具合が悪くなった私に、神崎蓮司が声をかけてくれた。保健室の先生も呼んで、スポーツドリンクまで置いていってくれた。本人は、きっともう覚えていない』
『もうすぐ高校受験。蓮司と同じ高校へ行きたい』
『潮見高校に合格した。願いが叶った』
『高校二年生の体育祭。蓮司に初めて会ってから、もう五年が過ぎた』
『お姉ちゃんが潮見高校へ転校してくる。大学受験まで百日もないから、あまり無理をしないでほしい』
『受験が終わったら、蓮司に告白したい』
『二十五歳になるまで、彼のそばにいたい』
『蓮司の願いが、全部叶いますように』
日記はそこで終わっていた。
瑠花は大学受験が終わる日を迎えられなかった。ささやかな願いを一つも叶えられなかった。
十八歳で死んだからだ。
私を救うために。
6
私の本当の名前は、柳瀬円香という。
水城瑠花は、私の双子の妹だった。
両親が離婚した後、私は父について柳瀬姓になり、瑠花は母と暮らして水城姓を名乗った。私たちはほとんど同じ顔をしていたが、離れて暮らしていたため、会える日は多くなかった。それでも、姉妹の絆が薄れたことは一度もない。
高校三年の時、私は瑠花が通う潮見高校へ転校した。
転校して間もなく、私たちはささいなことで喧嘩をした。腹を立てた私は、祖母の忠告も聞かず、人の住んでいない古い路地へ一人で入り、二人の男に目をつけられた。
瑠花が私を見つけた時、私はどうにか男たちの手から逃げ出したところだった。
背後から追ってくる足音が近づいた。分かれ道へ着くと、瑠花は別々に逃げようと言った。
先に外へ出られた方が、必ず人を呼んで戻る。
私たちはそう約束した。
私は路地から出られた。
瑠花は出てこなかった。
警察が見つけた時、妹はごみ集積所のそばへ捨てられていた。服は引き裂かれ、身体はすでに冷たくなっていた。
最初にあの路地へ入ったのは私だった。
それなのに、死んだのは妹だった。
瑠花が死んだ後、私は長い間治療を受けた。裁判、両親の責める声、祖母の崩壊、そして自分ではどうしても消せない罪悪感が、私の生活をすべて壊した。
父も母も、私の顔を見ようとしなくなった。
祖母は悲しみに耐えられず、多くの人の前で、円香が瑠花を殺したのだと言った。その言葉は、私たちが生まれた月浦集落へ広まった。すべての責任を私へ押しつければ、瑠花の死に納得できる理由を与えられるかのように。
五年後、蓮司は海外生活を終え、潮見市へ戻って神崎グループへ入った。
私は二十三歳だった。
瑠花の日記を持ち、「水城瑠花」と名乗って彼の前へ現れた。
妹の戸籍や身分証を使ったことはない。病院や銀行などの正式な手続きでは、ずっと柳瀬円香という本名を使っていた。
ただ、蓮司は私に関心がなかった。書類はすべて佐久間や担当者が処理し、彼自身が受付に立ったことも、私の緊急連絡先を書いたこともない。
二年もの間、彼は私の身分証を一度も見なかった。
私が瑠花だと名乗ったから、その名で呼び続けただけだった。
その二年間、私は妹が日記に残した願いを代わりに叶えた。
蓮司のそばにいること。
彼を世話すること。
二十五歳になる日まで、離れないこと。
私は日記の最後の行をなぞった。涙が古い紙の上へ落ちた。
「瑠花」
「お姉ちゃんが、代わりに願いを叶えたよ」
「見ていてくれた?」
7
蓮司から電話がかかってきた時、私は白波岬の崖に立っていた。
二年前、神崎財団がここで海辺のパーティーを開き、私は初めて瑠花の名で彼の視界へ入った。あの夜、蓮司は酒を飲みすぎ、記者からかばった女が薬と水を持ってきたことしか覚えていなかった。
その後、私は自分から彼の前へ現れた。
なぜ私が彼の習慣を知っているのか、なぜ何をされても耐えるのか、蓮司は一度も尋ねなかった。
電話がつながると、彼は苛立った声を出した。
「どこにいる?」
「何の音だ?」
私は足元で荒れる海を見下ろした。
「あなたが初めて瑠花を見た場所」
「誕生日の願いを叶えに来たの」
電話の向こうが突然静かになった。
すぐに慌ただしい足音と、乱れた呼吸が聞こえた。
「俺に殴られたからか?」
「倉庫や採血のことを恨んでいるのか?」
「瑠花、お前はあれほど俺を愛しているんだ。本当に死ねるのか?」
彼がこちらへ向かっていることは分かっていた。
私はすぐには飛ばなかった。
蓮司に、この瞬間を自分の目で見てほしかった。そして水城瑠花の名を、一生忘れられないものにしたかった。
彼は思っていたより早く崖へ現れた。
いつもの余裕は失われ、海風に髪を乱され、顔には隠しようのない焦りが浮かんでいた。数メートル離れた場所で足を止め、私を刺激しないよう、声まで低くした。
「瑠花、こっちへ来い」
「来てくれたら、お前と付き合う」
「それをずっと望んでいたんだろう?」
「約束する」
なんて魅力的な条件だろう。
本当の瑠花が生きていたら、きっと彼の方へ歩いていった。
けれど、私は妹ではない。
「神崎蓮司、もう一歩でも近づいたら飛び降りる」
彼はすぐに足を止め、両手を上げた。
「分かった。近づかない」
「寧々を押していないと言いたいのか?」
「組紐のことも、今なら話を聞く」
私は小さく笑った。
「蓮司」
「本当に、私があなたを愛していると思っていたの?」
彼の顔色が変わった。
「どういう意味だ」
「私が愛していたのは、最初からあなたじゃない」
「嘘だ」
「本当に愛していたら、ほかの女を抱く姿なんて耐えられなかった。でも私は、あなたが誰と寝ても、誰を愛していても平気だった」
「あなたの心も身体も、私には何の関係もなかったから」
「黙れ!」
蓮司は我を忘れたように一歩踏み出した。
私はそれ以上近づく時間を与えなかった。
身体を後ろへ倒すと、海風が耳元を激しく通り抜けた。
海へ落ちる直前、彼が喉を裂くような声で叫ぶのが聞こえた。
「水城瑠花!」
けれど、それも私の名前ではなかった。
8
円香が白波岬から姿を消して、十日が過ぎた。捜索隊は、まだ彼女を見つけられずにいた。
神崎蓮司は崖のそばへ座り込み、十日間ほとんどそこを離れなかった。海風で唇は裂け、高価なシャツも皺だらけになっていた。それでも、円香が落ちた場所から目をそらさなかった。
見続けていれば、彼女が海から戻ってくるとでも信じているようだった。
寧々も何度か彼を説得しに来た。
あの女は死を使って脅しただけで、どこかに逃げる準備をしていたのだと言った。蓮司は何も答えなかった。
寧々が風の中で倒れたため、ようやく立ち上がり、彼女を病院へ運んだ。
病床の横で血液製剤が流れていく管を見た時、蓮司の頭に円香の声がよみがえった。
彼女は寧々を押していない。
自分を愛したこともない。
蓮司は佐久間へ命じ、神崎邸と病院の防犯映像を取り寄せた。さらに、その日寧々についていた二人の護衛を呼び出した。
最初、二人は円香が先に手を出したと言い張った。
蓮司は冷たい目を向けた。
「映像はもう取り寄せている」
「まだ嘘をつくなら、その後どうなるか考えてからにしろ」
一人が耐えきれず、床へ膝をつき、深く頭を下げた。
「白石さんが、自分から石段へ倒れました」
「病室でも、私たちに赤い組紐を奪わせ、火をつけて窓から捨てました」
「水城さんは自分から飛び降りようとしたのではありません」
「組紐を取り戻そうとしただけです」
映像は、その言葉をすべて裏づけた。
円香は最初から寧々へ触れていなかった。寧々が自分から彼女の手首をつかみ、身体を倒したのだ。
病室でも、寧々は護衛に組紐を奪わせ、円香が泣いて頼んでも火を消さなかった。
蓮司は初めて知った。
どれほど傷つけられても弁解しなかった女が、床へ膝をつき、誰かにすがることもあるのだと。
ただし、彼女が求めたものは蓮司ではなかった。
彼が「古びた紐」と呼んだ、一本の組紐だった。
蓮司は寧々の病室へ戻った。
「神崎邸で、どうやって転んだ?」
寧々の目が揺れた。それでも以前と同じ答えを口にした。
「支えてもらった時、わざと強い力をかけられたの」
蓮司は冷笑した。
「お前は本当に、毎回あれほどの血を必要としていたのか?」
寧々の顔から血の気が引いた。
「私が昔から身体が弱いことは知っているでしょう」
「円香がいなかった頃と同じ治療を受けろ。神崎家はもう、違法な指定採血に手を貸さない」
寧々は慌てて彼の服をつかんだ。
「白石家には追い出されたの。蓮司がいなければ、私には何もない」
蓮司はその手を外した。
「人を陥れる時、自分が代償を払うとは考えなかったのか?」
捜索は半月続いた。
蓮司は円香が入院していた病室へ戻り、昼夜を問わず酒を飲んだ。ある日、戸棚の中から一枚の検査報告書を見つけた。
患者氏名の欄には、はっきりと書かれていた。
柳瀬円香。
佐久間が調べたところ、水城瑠花は七年前、潮見市で起きた刑事事件によって死亡していた。古い新聞記事、裁判記録、学校の卒業アルバム、寺の墓地台帳、そのすべてが同じ事実を示していた。
二年間、蓮司のそばにいた女は瑠花ではなかった。
瑠花の双子の姉、柳瀬円香だった。
ほとんど同じ顔をした二人の写真を見つめながら、蓮司は彼女に聞かれた言葉を思い出した。
「私たち、中学生か高校生の頃に会ったことはない?」
彼は、会っていないと答えた。
本当に蓮司と会っていたのは、すでに死んでいた瑠花だった。
恥知らずな女だと罵られたのは、妹の願いを代わりに叶えていた円香だった。
9
私は見知らぬ診療所で目を覚ました。
海流で浅羽湾まで流され、夜に帰港する途中の漁船に救われたらしい。白波岬の捜索では「水城瑠花」という名が使われ、診療所には本名の「柳瀬円香」で記録されたため、すぐには同一人物だと分からなかった。
身体が少し回復すると、私は潮見市へ戻らなかった。
青凪県白波町の月浦集落へ帰った。
月浦では過疎化が進み、若い人のほとんどが街へ出ていた。残っている老人たちは七年前の事件を覚えていたし、祖母が、円香が妹を殺したのだと言ったことも忘れていなかった。
荷物を引いて集落へ入る私を見ると、すぐに戸を閉める人がいた。腐った野菜を投げつける人もいた。
「妹を死なせておいて、よく戻ってこられたな」
「月浦から出ていけ」
私は何も言い返さなかった。
あの日、私が路地へ入らなければ、瑠花は死ななかった。
ある意味では、彼らの言うことも間違っていない。
何年も放置されていた古い家へ戻り、一日かけて掃除をした。屋根からは雨が漏れ、畳には黴の匂いが染みつき、庭の草は膝の高さまで伸びていた。
それでも、ここは私と瑠花が暮らした家だった。
物置の隅で、埃に埋もれた家族写真を見つけた。
端に写っていた私の顔だけが、鋏で丁寧に切り抜かれていた。
「本当に、そんなに嫌いだったんだ」
二年間、蓮司にどれほど傷つけられても、ほとんど泣かなかった。
けれど、その写真を見ただけで、涙が止まらなくなった。
翌朝、瑠花の墓へ行こうとして玄関を開けると、そこにいるはずのない男が立っていた。
神崎蓮司だった。
私を見た瞬間、その目に光が戻った。次の瞬間には駆け寄り、私を強く抱き締めた。
「生きていると思っていた」
「やっと見つけた」
私は一歩下がり、腕の中から抜けた。
「神崎さん、離してください」
蓮司の身体が固まった。
「今、何と呼んだ?」
「神崎さん」
「ここまで来たなら、もう知っているでしょう。私は水城瑠花ではありません」
「柳瀬円香です」
蓮司は首を横に振った。
「名前が違っても、どうでもいい」
「俺は気にしない」
「私は気にします」
「あなたへ近づいたことも、二年間そばにいたことも、全部瑠花のためでした」
「私は一度も、あなたを愛していません」
蓮司の顔が白くなった。
「信じない」
「信じるかどうかは、あなたの問題です」
「そこをどいてください。妹に会いに行きます」
蓮司は邪魔をしなかった。
けれど古い家から月照寺まで、ずっと私の後ろをついてきた。
私は彼を追い返さなかった。
瑠花も、蓮司に一度くらい会いに来てほしかったかもしれない。死ぬ前まで彼との未来を思い描いていたのに、告白することさえできなかったのだから。
墓前で線香に火をつけ、その半分を蓮司へ差し出した。
彼は受け取り、私の真似をするように墓石へ頭を下げた。私が妹へ語りかける間は、少し離れた場所で黙っていた。
瑠花の日記は、月照寺でお焚き上げをしてもらうつもりだった。
住職へ渡そうとした時、一枚の紙が足元へ落ちた。
そこには、今まで気づかなかった一文があった。
『お姉ちゃんにも、幸せになってほしい』
私は長い間、その文字を見つめた。
瑠花が最後に残した願いは、蓮司のことだけではなかった。
その一枚だけは日記へ戻さず、丁寧に折ってポケットへしまった。
10
山を下りた後も、蓮司は私の後ろを歩いていた。
私は家へ入ると、そのまま戸を閉め、彼を外へ残した。
夕方になると、十数人の住民が古い家の前へ集まった。鍬を持つ者もいれば、バケツの水や腐った野菜を持つ者もいた。
外へ出た途端、冷たい水を頭から浴びせられた。
「お前が戻ってきた途端、山道で事故が起きた」
「妹を不幸にしただけでは足りないのか」
「月浦から出ていけ!」
生卵と腐った野菜が次々に飛んできた。
私はその場に立ったまま、避けようとしなかった。
彼らには、七年前の苦しみを背負わせる相手が必要だった。私自身も、自分は罰を受けるべき人間なのだと、ずっと思い続けていた。
最後に蓮司が傘を広げ、私の前へ立った。
携帯電話を取り出し、住民たちへ向けた。
「今していることは暴行と不法侵入だ」
「続けるなら、警察へ正式に被害届を出す」
住民たちは互いの顔を見た後、少しずつ離れていった。
彼らが去ると、蓮司は苛立った声を私へぶつけた。
「物を投げられているのに、なぜ避けない?」
私は彼を見上げた。
「以前のあなたも、同じことをしていたでしょう」
その言葉は、彼の一番痛い場所へ刺さったらしい。
その後、数日間は姿を見せなかった。
ある夜、戸を叩く音がして開けると、酒に酔った蓮司が私の方へ倒れ込んできた。
私は酒が嫌いだったし、目の前の男も好きではなかった。ほとんど反射的に押し返すと、蓮司は古い煉瓦壁へ身体をぶつけ、低くうめいた。
帰る気はないらしい。
さすがに寒い外へ放置するわけにもいかず、居間の古いソファへ寝かせ、毛布を投げかけた。それ以上の世話はしなかった。
翌朝、部屋を出ると、台所から料理の匂いがした。
蓮司が簡単な朝食を作っていた。
食べ物を無駄にする理由もなく、私は黙って食べた。食事を終えてから告げた。
「片づけたら帰ってください」
「白石さんが待っているでしょう」
蓮司の手が止まった。
「寧々とはもう何の関係もない」
「今、俺が大切なのはお前だけだ」
「私はあなたを大切だと思っていません」
「一人でここに残って、静かに暮らしたいだけです」
蓮司は月浦から離れなかった。
町の旅館へ泊まる日もあれば、古い家の近くで一日中待っている日もあった。もう勝手に家へ入らず、私へ命令することもなかった。
かつての私と同じように、振り向くはずのない相手を静かに待ち続けた。
その間、潮見警察は神崎邸、廃倉庫、会員制診療所の記録を調べていた。二人の警備員は監禁と傷害を認め、診療所の責任者も神崎家の圧力を受け、安全基準を超えた採血を繰り返したと証言した。
蓮司は神崎グループの役職をすべて解かれ、次期社長候補からも外された。
過去の行為に対する代償が、ようやく彼へ返り始めた。
けれど、それも私には関係のないことだった。
その状態は、寧々が月浦へ現れるまで続いた。
その朝、私はいつものように畑へ野菜を取りに出た。
帰り道で、小型車が曲がり角から勢いよく飛び出し、まっすぐ私へ向かってきた。
その瞬間、あの雨の夜へ戻ったような気がした。同時に、七年前、助けを呼んで路地へ戻り、瑠花の遺体を見た日も重なった。
父も母も、もう私へ会おうとはしない。
妹もいない。
このまま死んでもいいのではないかと、一瞬だけ思った。
けれど、すぐに別の声が響いた。
あなたの命は、瑠花が救ったもの。
死んではいけない。
我に返り、避けようとした。
もう間に合わなかった。
覚悟して目を閉じたが、予想していた衝撃は来なかった。代わりに強い力で横へ突き飛ばされ、地面へ倒れた痛みが走った。
車が止まり、周囲が静まり返る。
顔を上げると、車の前に倒れていたのは蓮司だった。
口元から血が流れていた。
彼が私へ手を伸ばした。
あの雨の夜、車にぶつけられた私が、彼へ手を伸ばした時と同じように。
私は慌てて這い寄り、その手を握りながら救急へ電話をかけた。自分の声が震えていることにも気づかなかった。
「青凪県白波町、月浦集落の入口です」
「交通事故です。重傷者がいます。すぐに救急車をお願いします」
電話を終えると、蓮司がかすかな声を出した。
「まど……円香」
「ここにいる」
私はその手を強く握った。
「神崎蓮司、死なないで」
「聞こえているでしょう?」
「死んでは駄目!」
返事はなかった。
握っていた手からも力が抜け、そのまま地面へ落ちた。
11
車を運転していたのは白石寧々だった。
蓮司が神崎グループの役職を失い、月浦へ居続けていると知り、すべて私のせいだと思い込んだらしい。彼女は私を車ではねるつもりだったが、蓮司が飛び出してくるとは考えていなかった。
寧々は殺人未遂容疑で逮捕された。
逮捕後、精神状態が急激に悪化し、蓮司が私をかばうはずがないと繰り返した。現在は司法機関の指定する医療施設で精神鑑定と治療を受けているが、鑑定結果にかかわらず事件の捜査と刑事手続きは続くことになった。
蓮司による監禁、傷害、強制的な採血についても警察の捜査が入った。
神崎グループは彼をすべての役職から外し、次期社長候補からも正式に除外した。神崎家の弁護士は私に示談を持ちかけたが、私は応じず、倉庫と診療所に関する証拠を警察へ提出した。
私を一度救ったからといって、それまでの行為が消えるわけではない。
蓮司は潮見中央総合病院へ搬送された。
処置が早かったため命は助かったが、長い間意識を取り戻さなかった。
過去に何があったとしても、彼は私を救うために傷ついた。すぐに背を向けることはできず、病室には私か佐久間のどちらかが付き添っていた。
目を覚ました時、蓮司が最初に見たのは私だった。
まだ身体にはいくつもの機器がつながっていた。それでも彼はすぐに私の手を握り、弱々しく笑った。
「やっぱり」
「お前は俺を愛している」
「円香、今度こそ一緒にやり直そう」
私はゆっくりと手を抜いた。
「あなたに恋愛感情はありません」
「誰かを愛しているように振る舞うことはできます」
「あの二年間、私は瑠花の願いを叶えていただけです」
「あなたのそばにいたのは、瑠花の代わりを演じていた私でした」
「今ここにいるのは、柳瀬円香です」
蓮司は何度も首を横に振った。
「俺を恨んでいるだけだ」
「事故の時、お前はあれほど取り乱した」
「ずっと病院にもいたじゃないか」
私は少し考えてから答えた。
「死んでほしくないとは思いました」
彼の目に、また希望が灯った。
「でも、それは愛しているからではありません」
「瑠花は私を救って死にました。この七年間、私は一日も自分を許せなかった」
「あなたまで私を救って死んだら、私はもう一人分の命まで背負うことになります」
「それに瑠花は優しい子でした。どれだけあなたがひどい人でも、自分が好きだった人に死んでほしいとは願いません」
「私がここにいたのは、妹を悲しませたくなかったからです」
病室に長い沈黙が落ちた。
私は荷物をまとめ、帰ろうとした。
蓮司は点滴の針を自分で抜き、よろめきながらベッドを下りると、私の手首をつかんだ。
「信じない」
「俺たちには、まだ可能性がある」
私はすぐには手を振りほどかなかった。
「瑠花がどうやって死んだか、知っているでしょう?」
蓮司は青ざめた顔でうなずいた。
「だから私は、女を物のように扱う男が怖い」
「力があれば、誰を傷つけても許されると思っている男も怖い」
「以前の私は、瑠花の代わりに、あなたがどれほど多くの女と関係を持っても気にしないふりができました」
「でも今の私は、柳瀬円香です」
私は手首をつかむ彼の指へ目を落とした。
「蓮司」
「あなたは、もう心まで汚れてしまっている」
「あなたに触れられると、あの日のことを思い出す」
「だから私は、あなたを愛することができない」
「これから先も、絶対に」
蓮司の指から力が抜けた。
私は病室を出た。
一度も振り返らなかった。
12
潮見中央総合病院を出ると、灰色の空を見上げた。
私はもともと、人を深く傷つける言葉を口にするのが好きではない。今言ったことは、蓮司の心に一生消えない傷を残すかもしれない。
それでも、瑠花のために耐え続ける時間は、もう終わっていた。
彼が妹の生涯でただ一人好きになった男性だったから、どれほど侮辱され、利用され、傷つけられても、私は何度も我慢した。
本当に言いたかったことを口にした今、身体は驚くほど軽かった。
ただ一つ悲しいのは、瑠花が生涯で唯一愛した男性が、あれほど自分勝手で残酷な人だったことだ。
何の前触れもなく雨が降り始めた。
私は軒下へ逃げず、手を差し出し、掌へ落ちる雨粒を見つめた。
「泣いているの、瑠花?」
答える人はいない。
私は顔を上げ、雨に打たれるまま目を閉じた。
ポケットの中には、日記から残した一枚の紙が大切にしまわれている。
そこには、こう書かれていた。
『お姉ちゃんにも、幸せになってほしい』
今度こそ、私は自分のために生きることを覚えなければならないのだと思った。
瑠花。
生まれ変わっても、また私の妹になって。
今度は私が、あなたを守るから。
今度こそ、本当にあなたを大切にしてくれる人を見つけるから。
だから、絶対にもう一度、私のところへ来てね。




