表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

なろうラジオ大賞

混ぜすぎないホットケーキ

作者: 地野千塩

「えー、こんなクリスマスケーキって高かったけ?」


 白澤楓子はため息をつく。コンビニでクリスマスケーキのチラシをもらったが、数年前より確実に値上がりしていた。


「まあ、どうせクリスマスも一人だけど……」


 ため息をつきながら、チラシを丸めて捨てる。現在、過労と適応障害で休職中だった。私立の中学校で数学の先生をしていたが、想像以上の激務、派閥争いにも巻き込まれ、休職に至った。若い女だからというだけでも、仕事を押し付けられることも多かった。それでも一生懸命仕事していたら、身体も心も悲鳴をあげていたらしい。


「まあ、クリスマスケーキなんてホットケーキとかでいいか……」


 なぜか仕事のことも思い出し、表情が暗くなった楓子は、スーパーに向かい、ホットケーキの材料をかう。平日の午前中のスーパー、老人や主婦しかいなく空いてる。セルフレジも全く待たずにすんだ。仕事していたら、こんな快適なスーパー、なかなか行けなかったかも。


 こうして家に帰り、ホットケーキを作ってみたが、なんか美味しくない。見た目は何の変哲もないホットケーキに見えたが、どうも生地がふんわりしていない。食感が悪い。


「あれ?」


 作り方、間違えた気がする。そうか、生地を作る時、混ぜすぎた。一生懸命、シリコンスプーンで何回も混ぜてた。


 本当はホットケーキの生地、混ぜすぎないのがいいのだ。ちょっとダマになるぐらいがちょうどいいのだが、なぜか一生懸命混ぜてしまった。それが一番だと思い込んでいたらしい。仕事も同じ。一生懸命だったら、いつか報われると思い込んでいたが、美味しいものはできなかったらしい。


「そっかぁ……」


 気が抜ける。そうだ、何でもかんでも一生懸命やればいいってもんじゃない。肝心なのは適切な方法。


 これに気づいた楓子、年始にまたホットケーキを作ってみた。適切な方法で、混ぜすぎない生地を作る。美味しくホットケーキを作ることだけを目的にして。


「わ、うまくできたかも?」


 出来上がったホットケーキ、ふわふわで見た目も美味しそう。はちみつもたっぷりかけて食べると、口の中は甘やかだ。一生懸命、ホットケーキを作らなくて良かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ