①レギュラーになりたい!
初めまして。小豆ほたると申します。以前は別のサイトにて二次創作を投稿していました。今回はオリジナル小説「ねがいごと」何かをかなえてほしい少年少女たちが願いをかなえてもらおうと都市伝説を信じ、星に祈ります。
【星に願いをかなえてもらおう】それは星に向かって心のそこから願い続ければ星が降ってくるという現象らしい
昔からネットでささやかれているこの噂。
そんなどこになる都市伝説だと思っていた
……。あの時までは
「はっ。はっ。はっ」
時間は22時。空が暗くなって来た時、僕は丘の上の展望台へ向かった。「満月の日に空に願うと、謎の生物が願いをかなえてくれる」というネットのうわさを試すためだ。
「そんなネットの噂なんてなんで信じてるのか?」だって?そんなの「噂を信じてでもかなえてほしいこと」があるからだ
そう心で誰かに向けて唱えていると丘の頂上が見えてきた。
今日は満月。そして晴天。雲一つない開かれた空。神?頼みにはピッタリのようだ
僕は念じた。とにかく何にすがってもかなえてほしい。その一心で願った
その刹那、
「ん?」
謎の光る物体に光が強くなってきた。
「ちょいちょいちょい!!!」
光はどんどん近く……いや落ちてきている
(やばい)
その瞬間、
(ドーン!)
謎の物体は僕のすぐ横に墜落した。
僕はその物体におびえた。それと同時に何が落ちてきたのかという好奇心が湧いてきた。
僕は長い(数秒)葛藤を繰り広げた結果、僕は好奇心をとった
僕は隕石?が落ちた場所へ近づいた。
落ちてから数秒たっていたが、墜落場所には砂埃が舞っていた。
私は砂埃の先にうっすら見える隕石?を見るために目を凝らした。
「ん?」
凝視していると隕石?から何かがもぞもぞしているように見えた。明らかに砂埃のせいではないと確信できるくらい変な動きをしていた。
気持ち悪く離れようとした刹那、
砂埃の中から何かが飛び出してきた。
「うぉ!!!」
僕はびっくりして、尻元をついてしまった。
視線を見上げてみると、何かが浮かんでいる
「虫か?」
「虫やないわ!!!」
僕が疑問を呟いた瞬間、
謎の生物から関西弁で鋭い突っ込みが来た?
「なんで関西弁~!!!」(しゃべったー!!!!)
「逆や!!!!」
僕は頭の整理がつかなかった。だって、なんか空飛んでるし、しゃべるし、しかも関西弁だし……。
ごほん、心の中でも動揺を隠しきれない僕はとりあえず深呼吸した。
「ところであなたは?」
「おぉ。ようやく落ち着いたな。わいか?わいはこう……、やなくてわい”ら”は”びーす”ちゅうねん。わいはあんたの願いをかなえるために来たんや」
「へぇ~。……、あっ!」
僕はここまでの経緯を一瞬で理解した。あの都市伝説は本当だったのか……。
「あんたは?」
「僕?僕の名前は薫。久我薫」
「そうか。よろしくな。それであんたの願いはなんや?」
「え?僕が願ったから来たんじゃないの?」
「まぁそうやけどそうやないんや。……、まぁここら辺は複雑なんや。」
「へぇ。なんか妖精にもいろいろあるんだね。僕の願いは……。」
~翌朝~
「pipipipi♪」
頭上で軽快なメロディーが流れてきた
「んー!!!!」
僕は開きたくない目を無理やり開き起き上がった.
僕はそのままジャージに着替え外に出た。
時刻は5時。いくら夏といえどまだ涼しい。
僕はイヤホンを耳につけ、距離計測のアプリを起動する。
僕は大きく深呼吸をして走り出した。これがいつものルーティーンだ。
「よくもこんなこと毎日続けられんなぁ」
「何かやらないと強くならないからね」
いつもと違うのは、僕の周りをぷかぷかと飛ぶびーすがいることだ。
「てかさ、お前わざと僕の視界に入るように飛んでんだろ!」
「そうやで~。ほら集中せい!」
「できるかー!ちょー気になるわ!」
なんてことを言いながらいつもより少し時間をかけてランニングを終えた。
キーンコーンカーンコーン
そこからの時間はあっという間だった。気づいたら授業は終わり、部活の時間になった。
「はぁ。」
僕は椅子から立ち上がり“道場”へ向かう。
僕はいつも通り練習をした。何も変わらない日常だった。
「はぁ~また勝てなかった。」
「なるほどなー。だからあんな願いやったんやな」
「わ!こんな人ごみで出てくるなよ!」
「大丈夫。わしはあんた以外に見えんから」
「なら大丈夫か。てか、あんなってなんだよ」
「いやだってよ……」
~~昨日~~
「僕の願いは、“レギュラーになりたい!”」
「はぁ~?なんやそれ?」
「え、」
~~
「最初はあんな願いされて意味が分かんなかったんや」
びーすがふわふわ飛びながらそう言った。
「だって、僕はちっちゃい頃から剣道しているのに晩年補欠。いつまでたってもAチームになれないんだ。部活でも後輩に負けちゃうし、みんなはどんどん強くなっていく……、。なのに……、」
僕は自分で話しておきながら泣きそうになった。心がきゅ~っとなった。
「そうか。だからわしなんか。」
びーすがボソッとそう言った。
「え?なんかいった?」
僕はつらい気持ちをこらえ、びーすに向かってそう言った。
「いいや。なんでもあらへん。」
「ふーん。まぁいいけど。」
「これから楽しくなりそうだ。」
「なんだよそれ。」
僕たちはそんなことを言いながら、家へと向かっていた。心なしかびーすはなんか楽しそうだった。
~~夜~~
僕たちは風呂に入ったあと、家族でご飯を食べた。今日は唐揚げらしい。
テレビのニュースをBGMに僕らはご飯を食べた。
僕、母さん、父さん、それに姉ちゃんだ。びーすは僕の部屋でおやつを食べている。(僕のお小遣いで買わされた)
姉ちゃんは剣道強豪校である「星衆学院」で主将をしている選手だ。うちの県の剣道界では有名人だ。僕も剣道を始めたきっかけもそんな姉ちゃんにあこがれたからだ。
話の話題は流しているニュースの話題になっていた。
「怖いわねぇ。原因不明の行方不明だって。今月何回目?」
「ほんとだなぁ。二人とも気を付けろよ。」
「大丈夫よ。そんなこと起きやしないわ。」
「姉ちゃん。それフラグになるかもよ」
そんな他愛のない話をしている。何も変わらない久我家の日常だった。
「あ、そうだ。お母さん。これ」
そう言って姉ちゃんは母さんにプリントを渡した。
「あら。国体?今年もこの時期が来たわねぇ」
「今年も選ばれたか。今年はどこなんだ?」
「東海じゃないっけ。私もよくわからなーい」
渡したのは姉ちゃんが国体メンバーに選ばれたという通知だった。県の剣道連盟から学校に届いたらしい。姉ちゃんは高校一年生の時からメンバーに選ばれているため、驚く人間はこの家にいなかった。
「姫乃はさすがね。今年も頑張ってね!薫はどうなの?次の大会もう少しでしょうか?メンバーには入ったの?」
来るとは思っていた質問。けど一番聞いてほしくない質問。そんな問いかけが僕に投げられた。
「まぁ。いつも通りかな……。」
「はぁ~。なんで薫はこうなのかしら。姫乃を見守ってほしいわ」
その言葉は僕の心の壁を貫通するほどグサッときた。
(僕が一番わかってるよ!!!!)
そんな気持ちをぐっとこらえ僕は箸を進めた。
~~自室~~
「はぁ。」
僕は自室に戻った瞬間、大きく溜息を吐いた。
「なんだ。重い溜息だなぁ。」
僕の部屋でお菓子を食べていたびーすがぷかぷかと僕のほうに近づいてきた。
彼が食べていたポテチの空き袋は丁寧にごみ箱へ捨てられていた。
「だって仕方ないだろう。何をしても姉ちゃん姉ちゃんって……僕だって頑張ってるのに……」
「まぁわからなくもない」
部屋の中に沈黙が広がる
「明日からちょっとワイにやらせてくれへんか?」
~~次の日~~
僕はいつも通りにジャージに着替えて
外へ飛び出した
いつも通り準備を整え、走りだそうとしたその時、
「ストーップッ!!」
ピピーっと笛の音が聞こえたと思ったら、びーすがそう言ってきた。
「どうしたんだろ。これは日課なんだよ」
「だからだよ。お前日課って言ってどれくらい走ってんねん」
「え?ざっと10㎞?」
「あほか。そんなことしてたら体壊すぞ。今日は公園で走り込みやるぞ。」
そう言い僕たちは公園に移動した。僕は毎日の日課を邪魔されてあまりいい気はしなかった。
移動中に、
「お前昨日何かしないと強くなれないっていうたな。」
「うん。努力しないと上にはいけないよ。」
「その気持ちは間違っとらん。けど、自分に合った努力をしないと意味あらへん。」
そうびーすは言い放った。僕には、その言葉の意味がよくわからなかった。この時は、
僕たちは公園につき走り込みを行った。びーすはスタートダッシュの動きを何回も指摘しなおしていった。軽く走り込み?というかスタートダッシュを20~30本ほどした。
その後直ぐに家に戻った。ゆっくり歩いて。
「しっかりクールダウンしないと体壊すぞ。」
そういい家に戻ったら時間をかけてストレッチを行った。
その後学校の準備を整え、学校へ向かった。
その時びーすは部活でこういうことを意識しろとか素振りはああしろとか詳しくアドバイスをくれた。
~~放課後~~
僕はびーすのアドバイスを意識しながら部活に臨んだ。
しかし、いつもと何か変わることはなかった。
僕はいつも通りため息をつきながら帰宅した。
「どうや。なんかわかったか?」
「あ、びーす。全然あれって何の意味があるの?」
びーすの問いかけに僕は疑問で返した。
「まぁ、最初はそうだよな。いずれ分かる。」
「ふーん。」
やっぱり僕には腑に落ちなかった。
「それより。家帰ったらちょいとパソコン貸してくれんか?」
「え?パソコン?別にいいけど」
「おぉ~まじか~。恩に着るわ~」
そんなことを言って家に向かっていた。
~~自室~~
夕食や入浴を終えて、僕は部屋に戻った。
僕がごろごろしようとしたら
「おい、ちょっと待て」
そういい、びーすは僕に対してストレッチを教えてくれた。
終えた後
「ちょいこれ見てくれんか。」
びーすは僕にパソコンの画面を見せてきた。
画面に映るのは某動画投稿サイトの動画だった。
映っているのはどこかの剣道の試合。
「この赤の選手の動きよく見とけよ。」
そういい、びーすは動画を再生した。赤の選手というのは、たすきの色の話だ。剣道の試合では試合の際背中に赤か白の目印を付ける。僕は背中に赤のたすきを付けている選手の動きを観察した。
その試合は”いい試合”だった。
赤の選手の試合の仕方にはどこか統一感があった。すべての動きが自分が一本を取るためにつながっていると感じた。
「わかったか。」
「分からない。けど、すごいこの人の剣道って感じがしたよ。」
「そうやろ。お前には”自分の剣道”がないんや。」
その言葉を理解はできた。けど、納得はできなかった。
「確かにそうかも。けど、それってだんだんに見つけていくんじゃないの?」
「あほか。そんな神様の贈り物みたいなことあるわけないやろ。自分である程度は見つけていくんや」
「え、そうなの?」
僕は新事実に気づいた。
「そうや。お前この動画の選手を一回真似てみろ。完コピはしなくていい。”こういう感じ”でやってみろ。」
僕はその動画を脳裏に焼き付けた。
~~
次の日また次の日僕とびーすは僕の願いを叶えるために努力を重ねた。そうしていく形に僕は自分の剣道がしっくりくるようになった。
「最近、剣道をしていて自分がどういう動きをするべきかわかってきたんだ。走り込みで付けた瞬発力も飛び道具としていきてるよ!」
実際、部活仲間やコーチや顧問の先生に変わったといわれるようになった。僕も自然と溜息が減ってきた。
「そうか。なら、もう道は見つかったな。」
「うん。いずれ分かるってこういうことなんだね。前までの僕はゴールが分からずガムシャラに努力してた。けど、しっかり意味のある努力をしなきゃ意味がなかったんだね。」
「そうや。間違った努力をすると体を壊すことにもなる。そうなったら本当に意味がなくなっちまうんや。」
「うん。今の自分なら強くなれる気がする!」
「そうか。なら、もうちょいか。」
びーずがぼそっと言った。
「え?何か言った。」
僕にはびーすの言葉が聞こえなかった
「いいや。なんでもあらへん。」
びーすに元気がないように感じた。
僕たちはいつものように家へ向かった。いつまでのびーすとの時間が続けばなんて幻想をこの時は持っていた。
~~
別れは突然だった。
今日は次の大会の選手を決めるための部内戦があった。いつもはこの日は憂鬱だった。けど、今日は違う。いろいろ試してみたいことがたくさんあって燃えていた。
「今日は部内戦だったな。頑張って来いよ。いい知らせをここで待ってるは」
びーすの応援で僕はさらに燃えた。
「うん!ありがと」
僕は勢いよく、家を飛び出した。
部内戦の結果は過去最高だった。結果としては4位
この前の僕では考えられないくらい勝てた。そして、剣道の奥深さを知ることができた。
(「僕はまだ強くなれるかもしれない」)
そう思う結果だった。
そして、部活終わり。顧問の先生から、
「それでは、次の県予選のオーダーを発表します。
先鋒 栗田。」
オーダー発表が始まった。僕はいつものようにドキドキしていた。
「次鋒 久我……」
呼ばれた。呼ばれた。嬉しさで跳ね上がりそうだった。正直、顧問の先生がその後何を話していたか覚えていなかった。詳しい内容は話の後貰ったプリントで知った。
僕は嬉しかった。この喜びを真っ先にびーすに伝えたかった。僕は解散後急いで帰宅した。
~~自宅~~
「ただいま!」
「あら。薫お帰り。部内戦はどうだったn……」
「ごめん。今はあと。」
母の呼びかけを振り切り自室へと急いだ。
「ねぇ聞いてよ。びーす!」
そこには何もいなかった。おいてあるのは見覚えのない手紙が一つ。
そこには、
『俺がいないってことはかなったんだな。おめでとう!そして、もっと強くなれ!』
そう書いてあった。僕はこの瞬間、都市伝説の文言を思い出した。願い叶ったら妖精が消えて二度と会えないそう書いてあった。そういうことだったのか。
僕はびーすに感謝を言えなかった後悔でその手紙を握りしめて泣いた。
ーレギュラーになりたい〈完〉ー
どうでしたか?これから不定期ですが更新させていただきます。