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どうしても憎いあなたへ  作者: 佐藤つかさ
第一章
43/104

2-33

 イオリは呆気に取られる。

 予想だにしない展開に。

 

 スタッフが男たちを血祭りにあげている。それも素手で。

 六人もどうやって相手しようと思っていたけれど、すでに半数が行動不能。

 残りは今一斉にスタッフに殴りかかっている。動きのおぼつかなさからおそらく下っ端。

 今までは荒事は全部上司に全部押し付けてきていたのだろう。

 そのツケが今回ってきた形になる。

 確約された無慈悲である。

 

 スタッフが暴力にものを言わせて、男の顔面を殴り飛ばす!

 ストライク! とか叫んでいた気がするが聞かなかったことにする。

 男は糸が切れたように倒れて動かなくなった。気を失ったのだ。

 

 良く芝居などでスパイが敵を殴って気絶させる場面があったりするが、現実にはかなり難しい。

 そもそも一般人は相手を気絶させる破壊力を出せない。力が弱すぎるからだ。

 格闘家は上手く急所に当てると人を殺すことができる。力が強すぎるからだ。

 

 弱ければ気絶させられないし、強すぎると即死する。

 つまり程よい力で殴る必要があるということである。

 それができるということは、限りなく人を殴り慣れているということだ。

 だから確信できる。


 ――この人ぜったいカタギじゃない!

 


 その後ろで「やっぱりキレたか」とユータスが天を仰いでいる。

「ユータ、何か知ってるの?」

「ん? まぁそうだな。あの人、権力とか上から目線が嫌いな性分だから」

 ユータスはつらつらと説明してくれる。

「オレが助けてって頼んで、イオリが報酬(リンゴ)を渡した。それをあの人が食った。契約は成立だ。ああなったら金でも梃子でも動かない。そういう性格キャラなんだよ」

 彼の話通りなら、買収しようという舐めた態度にプッツンしたということになる。

「ねえ待って。状況飲み込めてないんだけど!」

「だったら覚悟しといた方がいいな。胃もたれするから」

 

 こうしている間にも、スタッフは素手で男たちを締め上げていた。

 目にもとまらぬスピードで踏み込んでからの胃袋の強打。不幸な相手は晩飯を口から吐き散らしながら尻もちをついていた。グロい。

 もはや阿鼻叫喚の地獄である。


「あの人誰なの……」

 イオリの言葉に、ユータスは「何言ってんだ」と言いたげな顔になる。

 そして、実際に口にしていた。

「何言ってんだ?」

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