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「ここにいましたか」
男たちが声をかける。
イオリは振り返り、脅威を見やる。
スタッフも振り返り、相手と目を合わせていた。
ついに見つかった。イオリは臍を噛む。
状況は最悪だ。
相手の数は六人。みな分厚いコートに袖を通している。
なぜか一人は手押し車を使っていて、大きな箱を載せていたが目的はわからない。けれどスタッフと同じ服装で擬態しているので、誰も怪しまなかった。
彼らは人攫いをしている悪徳業者で、今のところ上手く身を隠している。
対してこちらは戦えそうなのはイオリ一人。多少なりとも体術には自信はあれど、暴力に慣れた男を多数相手にできるほどではない。
つまり。
勝てる要素が何一つないのだ。
百パーセントを超えた勝率。
いったいどう覆せというのか。
幸い、一人の顔は見覚えがあった。
スタッフに柔和な笑みを浮かべている男。
彼の右腕は鉄でできていた。
肩から先が義手になっていて、歯車仕掛けでカタカタと気味悪く動いている。
自分たちをデスゲームに閉じ込めた男の一人だ。
ちなみにユータスは覚えていない。
興味ないから。
「……誰ですか?」
怪訝な声でスタッフが問う。もっともな判断だ。
しかし男の柔和な態度は崩れない。
「この人たちが迷っていたらしくて、センターに連れて行こうと思ってたんです」
嘘だ。
彼らはイオリたちを攫おうとしているのだ。
だけどスタッフはそんなこと知る由もない。
協力的であるとはいえ、散々ユータスとイオリに絡まれているのだ。
このままでは説得されて、これ幸いと引き渡されてもおかしくない。
ひどく危ない状況だった。
なんとしてでも危険だと伝えて、助けを呼んでもらわなければ。
だけどスタッフはイオリが思っていた以上に冷静だった。
「パスを見せてもらえますか?」




