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どうしても憎いあなたへ  作者: 佐藤つかさ
第一章
17/104

2-7

 猿は執念の生き物だ。

 ある日手を使えばもっと面白くなることを知った。


 石を投げれば高く飛ぶ。

 石を使えば硬い果実も食べられる。

 石を石で削れば武器になる。もっと強くなれる。


 どれもこの手でできたこと。


 他に何ができる?

 石と石をぶつけると火花が出る。

 火花をもっと大きくすることはできる?

 石を積んだら家ができたよ?

 石で木を切ったら薪ができたよ?

 石を削って自分そっくりにしてみたよ?

 他にどんなことができるの?

 知りたい知りたい。


 とめどなく溢れる執念に取り憑かれ。

 ある日猿は、猿であることを辞めた。


 四足歩行をやめてもっと手を動かせるように。

 執念という名の服を着て。

 彼らはもっと賢くなった。

 だってずっと楽しいから。


 生きることを楽しいと感じられるのは、人間の特権だ。

 イオリは、思う。

 自分はユータスのような――突き動かされる衝動を持っているのだろうか、と。

 倒れても、腕に管をつながれてもなお、自分であることをやめられない衝動を。


 イオリは、思う。

 私は本当に人間なのだろうか、と。

 

 自分の胸に宿っているだろうか。

 彼のような執念が。


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