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「話あるなら聞くけど?」
腕を組んだパティシエが見下ろしてくる。
なぜ見下ろしているのかというと、イオリは今床に正座させられているからである。ついさっきまではミナーヴァがやっていたことなのだが、訳あって彼女は今埋まっている。土に。
「あのさ、クレイア……」
「言い訳しないで」
どうしろというのだ。
そう抗議したかったけど、言ったが最後叱咤されそうだったので黙っておく。
「どうしてユッカさんに話しようとしたの?」
「それは……」
「それに関してはあたしが説明しましょう!」
意気揚々とやってきたのはサキュバスだった。
「ミナーヴァ!?」
「嘘でしょ!? 念入りに地中深くに埋めたのに⁉︎」
「闘技場の演目でゾンビの演技を学んでたおかげで助かったよ」
よく見ると全身土まみれだし、息も荒い。
底なし沼から命からがら抜け出したような出立ちであった。
そんな彼女は、主犯たるパティシエに訴える。
涙目で。
「クレイア痛いよ……」
「あんたはイタいのよ。何やってんの」
「査定してんの。クレイアに相応しいかどうか」
「私の好きを他人が測るな!」
クレイアの怒りに対して、イオリとミナーヴァの反応は実に冷静なものだった。
(好きって言ったなこの人……)
「ほら、絆を深めるのって大切じゃん?」
「溝も深まるわ!」
ミナーヴァとイオリは息を揃えて言った。
「「二号店はいつできるの?」」
やめて、とクレイアは呻く。悩みすぎて知恵熱が出るかもしれない。
「それ以上言ったら、展示エリアの茶畑に埋めるからね」
ミナーヴァはハッとする。その姿は己が罪を悔いる死刑囚のようであった。
「そっか! 先にできるのはベイビー……」
それは、とある展示エリアのお話。
「パパー。ここのお茶おいしいね。何でかな?」
「栄養のあるものが埋まってるのかもしれないね」
「そっかー。あはははは」
「あっはっはっはっは」




