ペンギン三兄弟 〜 36話 カレーを作ろう の巻
ペンギン三兄弟
チャン・・・性格は几帳面。声がいいが顔がデカい。
サングラスをかけている。つぶあんが大好き。
ドン・・・体はちっちゃいが、器用に何でもこなす。
収集癖あり。
ゴン・・・ド天然。普通のことが超不器用。
日々体を鍛えてる。ゴジラが大好き。
ペンギン三兄弟、チャン、ドン、ゴン。
今日も仲良く暮らしています。
3羽は、皆おそろいの白いエプロンをつけて、
キッチンにいました。
ドン「残暑厳しくてバテ気味だから、今日はカレーを作ろう!」
ゴン「やった、カレー大好き!」
チャン「何カレーにするの?」
ドン「今日はみんなの健康を考えて夏野菜カレー」
ゴン「へえ~、何入れるの?」
ドン「玉ねぎ、かぼちゃ、ナス、トマト、パプリカを用意したよ」
チャン「いいねえ、おれも手伝うよ」
ゴン「お、おれも手伝う」
チャン「ゴン、大丈夫かあ?」
ゴン「大丈夫、大丈夫、まかせて!」
ドン「じゃあ、ゴン、鍋で玉ねぎ炒めて」
ゴン「オッケー」
ゴンは、コンロの上の鍋に玉ねぎを一つ、
そのまんま入れました。
玉ねぎは、鍋の中で、ジューっと焼かれています。
チャンとドンは、それを見て、口をあんぐりと開けました。
チャン「ちょっと、ゴン...」
チャンが言いかけたそのときです、
頭が玉ねぎの形をした小さな生きものが
ゴンの目の前に現れました。
背中に小さな羽がついていて、パタパタと羽ばたいて空中に浮かんでいます。
ゴン「うわあ、なんだ?」
『ゴンさん、わたしは玉ねぎの精よ』
その玉ねぎの頭をした生きものが言いました。
ゴン「玉ねぎの精?!」
玉ねぎの精『玉ねぎをきざまずに料理をしてるでしょ。初めて見たわ!うれしい~」
玉ねぎの精は、うれしそうにゴンの周りを飛びまわりました。
ドン「まあ、玉ねぎをそのまま鍋に入れちゃうのは、ゴンくらいだろうな」
ゴン「え?ちがうの?」
チャン「普通はね、玉ねぎ切ってから炒めるんだよ」
ゴン「それ、先に言ってよ~」
玉ねぎの精『あら、切らない方がぜったいいいわ、ゴンさん、センスあるわ』
ゴン「そ、そう?じゃあこのままで」
ゴンは、玉ねぎを炒め続けました。
ドン「じゃあ、ほかの野菜を切るとするか」
玉ねぎの精『あら、切っちゃうなんてセンスないなあ、そのままがいいのよ』
ドン「えー?全部切らずに入れるの~?」
チャン「まあ、煮込むから、いいんじゃない?」
ドン「....よし、こちとら江戸っ子だい、ぜんぶこのまま入れちゃえー」
ドンは、威勢よく、野菜をぜーんぶそのまんま鍋にぶち込みました。
玉ねぎの精『キャー、ドンさん、カッコイイ!』
玉ねぎの精は手をたたいて喜びました。
ドンは、ほっぺを赤くしてまんざらでもなさそうです。
それから、ごろごろとまるごとの野菜たちが入った鍋は、
水やカレー粉を加えてコトコトと煮込まれました。
小一時間たった頃、
キッチンは、カレーのおいしそうな香りでいっぱいになりました。
ゴン「あーうまそー、早く食べよー」
ドンがおそるおそる鍋のフタを開けると、
カレーはいい感じに出来上がっています。
まるごとの野菜もそれぞれいい感じにくずれて
おいしそうに見えました。
チャン「失敗は成功のもとだね」
ドン「思わぬ発見だったな」
ゴン「おれのおかげ?」
ゴンはにんまりとドヤ顔をしました。
ドン「あれ?玉ねぎの精は?」
チャン「いないね」
ゴン「いっしょに食べていけばいいのにね」
チャン「それじゃ共食いになるんじゃないの?」
ゴン「あ、そうか」
そして、3羽は、仲良くカレーライスを食べたのでした。
どんな味だったのでしょうね...
おしまい