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07

 入学が決まったあとも相変わらずジャニスやテレジアはクレアを苛めるが、もうぶったり、蹴ったりすることはなくなった。父のラッセルが、体にあざを作ると困るからと、ここにきて初めて厳しく禁じたのだ。

 

「でも、クレアは言ってもわからないのですよ。どうやって躾けるのです」


テレジアが必死に食い下がったが却下される。


 クレアはこの家の令嬢として扱われた。毎日のように食卓に彼女がいるので、テレジアとジャニスはいらだっている。ラッセルはその様子を見てクレアを王立魔法学院の寮に入れることに決めた。本当は家からも十分通わせられるが、彼女たちがクレアに何かをして縁談が壊れると困るからだ。


 三か月後ジャニスは家から通える貴族学院に、クレアは王立魔法学院に通う事となった。

 クレアを学校に通わせる予定の無かったラッセルにしたら予定外の出費だが、相手方の要求が、最低限魔法学院を出ていることだったので、仕方がなかった。


 その分伯爵家の貴族のパイプをフルに活用し稼ぐつもりだ。もう足掛かりは出来ている。あとは数年かけて商売を軌道に乗せるだけだ。その間は何としても破談や離縁は避けたかった。


 いずれにしてもレイノールの財力を考えれば、学費はそれほど大きな出費ではなかった。それよりジャニスやテレジアのドレス代や宝石、社交にかける金のほうがよっぽど手痛い出費だ。





 クレアの寮生活が始まった。建物は綺麗で日当たりがよく、清潔だ。食事は学舎にあるカフェテラスでとることになる。


 休みの日や朝夕の食事は各々の寮にある食堂か、売店で買って食べる。いずれにしても食事は豪華なものだった。メニューなど見ると目移りする。ただクレアは小さいころからあまり食料を与えられなかったせいで、食が細かったので、目で楽しむことが多かった。


 三階建ての寮は、男子寮と女子寮の二棟あり、食堂や売店は共通スペースだ。寮の中は更に細かく分かれていて、三階が高位貴族と二階が下位貴族、一階庶民となっている。クレアは二階に部屋を貰った。レイノール家であてがわれていた部屋よりも豪華で嬉しくなる。もちろんしっかりと鍵もかかる。


(もうこれで誰かが私の部屋へ入ってきて持ち物を荒らすことはない)


 明日はいよいよ入学式だ。クレアは思いがけない幸運に感謝し、しっかり勉強しようと思った。ただ不安はある。ここを無事に卒業できるのだろうか。字を覚えたのも計算が出来るようになったのもつい最近だ。授業についていけるか自信がない。




 テレジアとジャニスがまた邪魔をしてきたらどうしよう。彼女たちは最後まで魔法学院の入学を反対していたのだ。










 5.5話を後から割り込みしました。5.5話がなく読まれた方、お話がつながっていなかったと思います。ごめんなさい。


 評価、ブクマ、誤字脱字報告ありがとうございます。まだ少し胸糞パートが続きますが、お付き合い頂けるとうれしいです。

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