最終回
その光は赤い光だった。わずかに光っている。
何か、見てはいけないものを見てしまった気がした。
我々は本能的に後ずさり、穴を後にした。
その後、我々は山道を登り下りしながら語り合った。
"読run君"いわく、
「あの光は、何かの虫の目だね。」と言う。
我輩も言う。
「いやいや、あれは本物の宝石だったんだ。」
真実は解らないが、我々は討論を続けた。
辺りは、次第に、橙色に染まっていく。
山道が、アスファルトの道に辿り着くと、そこにあったベンチに腰をかけた。
我輩の名前は"猫元"探偵である。
我輩は現代版のシャーロック・ホームズさながら、日々謎を求めて歩き続けている。
そして、我輩のワトソン君は、例に寄って"読run君"である。
我輩はとても満足している。ワトソン君と討論するのは、とても愉快だ。
故に我々は常に謎を求めている。
今日は「穴」だった。
その時、空から"ガサッ"と音がし、一羽の鳥が飛びたったのだ。
我々は暫し見つめていた。
もう日が暮れ始めていた。
月が見えていた。
空気が寒々しい風をゆらせる。
時が止まって欲しい、、、。と願ってしまいそうな美しい景色だった、、、。
そんな美しい景色の中に暫く身を置いていた。
それは、当たり前の様に静かにやって来た。
”ザワザワ"とした物騒な気配がした。
我々は、"ハッ"とした。いつの間にか本能が、警報ブザーを最大限の音量で鳴らしたてていた。
「何だ?」
我輩は、辺りを真剣に見回した。
"読run君"も耳をピンと立てて、僅かな音も聞き逃さない様に構えている様だった。
すると、またたく間に、"ザワザワ"とした音が膨れ上がった。
既に、辺りは暗闇の中に沈んでいた。
我輩達は、お互い、牙をむいた。
「フゥッーー!!!」
「ガウゥゥーーー!!!」
しかし、その"ザワザワ"は更に数を増やしている様で、どんどんとこちらに向かってくる。
我輩達は、お互いに、四つん這いになって尾を大きく奮い立たせた。
そして、とうとう、"ザワザワ"とした者達が姿を現し、襲いかかってきた。
その姿は、オオカミというか、ワニというか、猫というか、犬というか、恐竜というか、吸血鬼というか、何とも表現出来ない怪物だった。
その怪物の一匹一匹が、牙をむき、こちらに勢い良く襲いかかってきた。
我輩達は、本能の赴くままに戦った。
必死になって、かぶりつき、噛みちぎる。
血が大量に流れる。
敵は次から次へとやってくる。
持久戦だ。
我輩達は情けない事に、毎日色々な所を歩き回りはするが、基本的に頭を使ってばかりいたので、持久戦になると、厄介だ。
しかし、敵の数は既に膨大な数になっていた。
我々は、襲い掛かって来る怪物を、ひたすらに噛みちぎり、食いちぎった。又、引っ掻き、大声を挙げ戦った。
しかし、既に負けは決まっていた、、、。
我々は、血の海に倒れた、、、。
大量の血を流し、口からは、血と共に、白い泡を吹いていた。
いつの間にか、我々は、空の上に居た。
下に見える風景は、先程見た美しい景色とは、全く逆な、残虐極まりない恐ろしい風景だった。著しい数の獣の叫び声が鳴り響いていた。
暗闇の中蠢く獣達。
我輩達は、いつの間にか、その風景の一部となっていた。
遠のいていく意識。儚かった友情。もはや涙さえも出せない。
いつの間にか、僕らは消えていた。
二人の探偵の物語りである。
我々は、きっと次は海に、大いなる海の中より産まれいづるであろう。
清らかに、浄化された魂で、きっと我々は又出会うのだ。
我輩は"猫元"ワトソン君は、"読run君"以外あり得ないのだから、、、。
皆で祈りを捧げよう。
亡くなった、この物語りの、主人公、"猫元"と"読run君"に。
終
全部読んで頂き有り難うございました。
短編ミステリーです。
怖く感じてくれた方、居たかなぁ?
ミステリーって良いですよね。
ドキドキ、ハラハラ。
この作品はこれといったトリックも無いし、探偵物にすら入れて貰えないかもな内容なんだけど、僕的には、キャラが好きです。
いつか続編書けたらいいけど、復活のさせかたがめんどいね。(笑)




