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クールな勇者とやさしい魔王

【クールな勇者とやさしい魔王8】終わらない世界の終わり方

作者: 朔夜

※単独でも読める物を目標に書いていますが、シリーズを通して読んで頂けたら嬉しいです。

 シリーズURL⇒http://ncode.syosetu.com/s6551d/


ノリと勢いだけで、どうにかこうにか続けてきた【クールな勇者とやさしい魔王】の完結作。

視点の移り変わりが激しいですが、読みやすい様に心がけましたので、最後までお付き合い頂けましたら、幸いです。

「・・・ふぅ。今日の政務もこれで終わりか。

 オヌシのお陰で、ワシらは平和にやれておる。

 じゃが、それが犠牲の上での事だと考えると、素直に喜べん。

 などと、弱気は言っておれんな。

 戻ってくるという言葉を信じるしかないのか・・・?」



*******************************************



「やぁ。って、どうしたんだい?そんなに驚いた顔して。

 望み通り、戻ってきてあげたんだ。

 これで、魔族には危害を加えないんだよね?」


「――――――」


「ならいいんだ。

 反故にするようだったら、わかるよね?」


「――――――」


「あぁ、そんなに怯えなくてもいい。

 君達が約束を守ってる間は、大人しく実験にも付き合ってあげるから。

 それじゃ、さっさと行こうか?

 ボクに残されてる時間は、あまり長くないんだから」



*******************************************



「そんな事はわかっておる!

 じゃから、採掘場の予算を多めに出してるではないか!

 アヤツのくれた時間を無駄にするでない!!」



*******************************************



「あぐっ!っかは!?・・・はぁ、はぁ。

 今回の薬も大した事はないんだね。

 いや、ボクの感覚が鈍くなっただけなのかな?」


「――――――」


「はいはい。黙りますよ。

 ちょっとくらい、お喋りに付き合ってくれてもいいじゃないか」


「――――――」


「なんだい?もう次の実験に移るのかい?

 まぁいいけど、ボクが死なない程度に頑張ってくれ」



*******************************************



「何度も言うておろう。

 魔族との同盟は、オヌシらの害にはならん。

 むしろ得になるはずじゃ。

 なにせ、レアメタルが大量に確保できるんじゃぞ?

 であらば、みすぼらしい兵も見れるようになると思わんか?

 まぁ、交渉相手は他にもおる。

 オヌシらが頷かんのであれば、そちらにいくまでじゃな」



*******************************************



「あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!

 ・・・・・・・・・・っは!?

 ・・・・・・っぐ!あがっ!?

 ・・・はぁ、はぁ」


「――――――」


「・・・何か・・・言った、かい?

 どう、にも・・・耳の調子が、悪い、みたいだ」


「――――――」


「なんで謝ったりしてるのさ。

 君は職務を果たしているだけなんだろう?

 なら、何も謝る事なんかないんじゃないかな?」


「――――――」


「それでも、だって・・・?

 なら、最初からやらなければ良かったんだ。

 そんな自己満足にボクを巻き込むな!!

 なんだ?言葉の通じるモルモットは初めてなのかい?

 それで、あるかもわからない良心が痛んだとでも?

 ふざけるなよ!君らの都合で、ボクという化物を造ったんだ!

 だったら、最期まで化物として扱えよ!

 今更、そんな言葉をもらっても、ボクが惨めじゃないか!!

 最期まで面倒を見きれないなら、最初っからこんな事するなよ!!!」



*******************************************



「よくやった!!

 これで、隣接している国全てと同盟が果たせた!

 今日は無礼講じゃ!宴の準備をせよ!!」



*******************************************



「・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ。

 とうとう、目が霞んできたか・・・

 残り時間は、もう、ホントに少ないって事かな?

 まぁ、それでも、キミの役には立てたよね・・・?

 あぁ、どうしてだろう?

 キミの事は考えない様にしていたんだけどな・・・」



*******************************************



「はぁ・・・。

 オヌシが犠牲となった事は隠しておるが、限界が近いのかもしれんの。

 なにせ、連日『勇者に会わせろ!』と詰め寄られるくらいじゃ。

 最初はあれ程、毛嫌いしておったのに、おかしなものじゃな。

 ワシはオヌシの望んだワシであれておるか・・・?

 いかんな、オヌシを思い出すと止まらなくなってしまうわ」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「キミは今、何をしているのかな?」

「オヌシは今、何をしておるのじゃ?」




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「・・・ぅ・・・・・・ぁ・・・ぁ?

 ・・・あぁ、もう、終わりが・・・大分、近いみたいだ・・・

 まぁ・・・がんばった、方・・・だよね・・・・・・?」


「・・・ぃ!・・・んか!?」


「・・・・・・?

 なにか・・・聞こえた・・・?」


「・・・けと言うて・・・うが!

 キ・・・らの国なぞ、とうに滅んで・・・じゃ!」


「ふふっ・・・なんだか、懐かしい、ね・・・

 幻聴だと・・・しても・・・・・・・

 キミの・・・声で、送ら、れる、のも・・・、悪く、ない・・・かな?」


「・・・ここにおったか!!

 っ!?なんと・・・なんと、惨い・・・」


「なん、だい・・・?

 今日、の・・・幻聴は、ずい、ぶんと・・・ハッキリ、聞こえる・・・ね?」


「幻聴などではない!!

 ワシじゃ!ワシは、たしかにココにおるぞ!!

 じゃから、目を開けよ!ちゃんとワシを見るんじゃ!!」


「・・・・・・あぁ、キミ、か・・・

 ダメ、じゃないか・・・。

 仕掛けるなって・・・言った、ろ?」


「あぁ!あぁ!じゃから堪えたさ!!

 オヌシの言葉がなければ、立場なぞ捨てて、すぐに駆けつけたとも!

 じゃがそれでは、オヌシが望んだワシではない。

 そう思ったればこそ、筋を通したのじゃ!」


「・・・・・・?」


「よい。そのような事どうでもよいのじゃ。

 オヌシのくれた時間を活用した。ただ、それだけなのじゃから」


「なん・・・だ・・・

 やれば、できるじゃ・・・ない、か」


「当然であろう!ワシは魔王じゃぞ?偉いんじゃぞ?」


「ふふっ・・・そう、だった・・・ね。

 でも、ごめん・・・

 キミの、声も・・・姿、も・・・

 もう、よくわからないんだ・・・・・・」


「よい!そのような事、オヌシが気にするでない!

 さぁ、帰ろう。ワシらで立て直したあの場所へ」


「そう・・・だ、ね。

 帰り、たいなぁ・・・・・・・・・」


「おい?どうした・・・?

 目を開けんか!?ワシを見ろ!!

 許さんぞ!この様な結末、断じて許さんぞ!!

 ほれ!いつもの様に毒を吐いてみんか!?

 ダメじゃ!オヌシが居なくなれば、ワシはどうすればよい!?

 オヌシまでワシを置いて逝くのか!?またワシを独りにするというのか!?

 ワシは断じて認めんぞおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」



■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□



「・・・あれから、どれだけ経ったんじゃろうな?

 世界は随分と様変わりしおった。

 なにせ、魔族と人族が本格的に友好関係を築いたんじゃからな。

 それもこれも、オヌシが道を作ってくれたからこそなんじゃぞ?

 ほれ、魔族も人族も、みな笑顔で通りを歩いておる。

 侵す事無く、侵される事もない。

 ワシが望み、オヌシが支えてくれた世界が今、目の前にあるんじゃ・・・

 オヌシもこの光景を見ておるか・・・?」



「・・・・・・あいた!?なにをするか!」


「人を勝手に殺さないでくれないかな?」


「そ、そんな事はしておらんじゃろ?

 ただ、ちょっと感傷的になっておっただけじゃ!

 ・・・それより、身体の方はもう大丈夫なんじゃな?」


「またその話?これで何度目なんだか・・・」


「し、仕方なかろう!?

 あの時、たしかにオヌシは死んだんじゃからな!!」


「まぁ、あまり楽しい経験ではなかったね。

 でもまぁ、実験ってのは、何が起きるかわからないもんだね」


「なにを暢気に言うておる!

 あの時は奇跡としか言い様がない程、偶然が重なったんじゃ。

 あんな想い、二度とゴメンじゃからな!!」


「うん。それはゴメン。

 けど、まぁ、一回死んだお陰で、体調は(すこぶ)るいい。

 それに、キミと同じ魔族になったんだ。

 これで、キミも遺されずにすむんだから、よかったんじゃない?」


「よいわけあるか!

 人族が魔族になるなど、聞いた事がない!

 長い歴史を持つ魔族の蔵書にも、その様な記述はない。

 つまりじゃ!また実験と称して連れ去られるかわかったものではない」


「わかってるよ。

 けど、そんな事が起きない世界を作ってくれるんだろう?」


「当然じゃ!友の為じゃからな」


「はぁ・・・。

 そこで照れなければ、完璧だったんだけどな・・・」


「うぐ!?し、仕方なかろう?

 恥ずかしい物は恥ずかしいんじゃ!!」


「はいはい。まったく・・・

 これからもよろしくね?魔王さま」


「ふん!言われるまでもない。

 こき使ってやるから覚悟せい!勇者よ!」

ここまでお付き合い頂き、まことにありがとうございます!!

どうにかこうにか、シリーズ完結までこぎつける事ができました!

さてはて、個人的には実験的側面がありつつも、お気に入りとなった本シリーズではありますが、読んで下さった皆様は、どうお感じになられたのでしょうか?


一応、このシリーズは本作で完結となりますので、これ以上お話を続ける予定はございませんが、勇者と魔王はこの後も、なんやかんやと言い合いつつも、仲良く暮らしていくのでしょう。

もしかしたら気まぐれで、この二人の事を書くかもしれませんが、その時はまたお付き合い頂けましたら幸いです。


それでは皆様、まことにありがとうございました!!

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