3話 ソロモンの死闘 中
第三次ソロモン海戦は知れば知るほど滅茶苦茶な乱戦だったようです。
その中でバトルジャンキー爆誕!
それから一月が過ぎた時ソロモン海は新たな獲物を求めるかのような雰囲気の中にいた、
再度に渡る戦闘で決着の付かない戦いに今度こそ決着をつけるために
両軍は戦艦を中心とする艦隊を派遣したのだった。
戦艦比叡と霧島を主力にした艦隊は航行序列にしたがって進んでいく、
だが夜間の闇夜での航行で警戒隊に属していた夕立と春雨は味方とはぐれてしまう、
そのため2隻は当初の予定通りのコースをとることにした。
そのために彼女たちが艦隊の先頭に立つことなった。
だがそこにはすでに彼女たちの出撃を察知した連合国軍の艦隊が待ち伏せていたのだ。
連合国軍は実用化したレーダーで闇夜でも相手の位置を察知できる。
対して超人的な夜目が利く見張り員を擁しているとはいえ不利は否めない。
だが運が彼女たちに味方をする、T字戦法を取ろうとした連合国軍の
先頭の駆逐艦が魚雷発射のために変針したのが後続艦に伝わらず
艦列が混乱した、そこに付け込んだ夕立は魚雷を発射する。
「敵巡洋艦に魚雷命中!」
「よーし、砲術長どんどん撃て!」
艦長の命令に砲術長は(そんな命令はないですよ)と心の中で返事しながら
砲撃を下命する、なぜかそのほうがこの場にふさわしい気がしたからである。
(そうそう!どんどん撃っちゃって!ほらあっちにうまそうな獲物が・・・)
夕立もノリノリで砲撃を楽しんでいる、転舵して敵の真ん中に突っ込んでいったため
後続の春雨は付いていけずに単艦であったがひるむことなく撃ちまくった。
この夕立の行動によって両軍は完全に乱戦の中に叩き込まれた、
損害に関しては事前の行動をかき乱された連合国軍のほうが
酷いようである、すでに艦隊指揮官を失い次席の司令官もその前に戦死していた
だがその中でも彼らは勇敢に反撃の砲火を打ち込んできた。
飛び交う砲弾の中を進む夕立は流石に被弾は免れなかった、
艦首部に命中した砲弾は艦首を半ば吹き飛ばした、
さらに敵弾は命中し破片が艦橋の艦長たちを傷つけた。
それでも反撃を続けたが今や両舷から打ち込まれる砲撃で次々と被弾していく、
後部からは火災が発生し、ついには機械室や操舵室そして機関室も破損して
ついに動けなくなった。
(あーあ、もう終わりか、もっと暴れたかったのに・・・)
そう言う夕立に救援に駆けつけた五月雨が言う。
(そんなことばっかり言って、すこしは自分を大事にしなさいよ!)
(うーん、自分的には満足なのかな?もうちょっとやりたかったかな?)
(あんたはねー)
そういうやり取りが会ったとは知らない艦長以下生き残りの乗組員たちは
五月雨に移乗する、そこでは艦長が五月雨の艦長に夕立を救えないか
相談していたがこの戦場でそのような時間は取れない、と断られていた。
そうして夕立は一人で漂うことになる、味方の処分の雷撃が外れて
しまったからもあったが。
(なんか一人になると寂しいな、みんながいるところがいいなあ。)
そう思いながら漂っていた夕立だがやがて敵の砲撃が命中し沈んで行った。
後にこの海域が敵味方の墓場というべき鉄底海峡 (アイアンボトム・サウンド)
と呼ばれ多くの仲間が沈んだために寂しくはなくなった。
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「で、動けない時間が長くってますますバトルジャンキーになったと。」
あやなみの声が何故か冷たい。
「うーん、まあこの体を貰って嬉しさ爆発って感じ?」
その彼女の返事を聞いて。
「理解不能。」
「うわーこれってだめな奴じゃ?」
「姉妹艦として否定したい。」
などと散々な言葉をいただく彼女であった。
当の本人はそれすら気にしてないようでそれを見た彼女の主は
苦笑いをして傍らの彼女達は
極寒のジト目をしたと言う。
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