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嘘の少年

作者: 夕焼明日灯

今から 死にます

そんなメールを 受け取った朝

画面を見ながら 自分の体は震える

笑いながら 嘘だろ――って

次の日 テレビに映る

二人の遺体の 写真の

顔に見覚えがあって

今から死にます そんな

メールを思い出して 自分は

震えてた


――嘘だろ なんで

本当に 死んじゃってる?


正義を 振りかざして

 格好よく 仁王立ち

そんな あいつを ずっと

 いいなって 思ってた

のに なんで いつの間に

 君は 野垂れ死んでいる?

そんな顔して 自信無さげに

 ごめんなさいって 謝った顔なの?


一人の少女が 一人の少年を

刺し殺して 自分も死にました

恐ろしい事件でした 皆さん気をつけましょう

そんなこと どうだっていいから

あいつが なんで死んだのか

誰か 教えてくれ


ねえ

あいつは やったんでしょ?

自分の正義を信じていつも通り

もう一人のそいつを殺ったんでしょ

なのになんで死んじゃってるんだ

謝ってるんだよ


だれかおしえてくれ


気付いたら 優しげな

あいつの顔がありました いや

違うな アイツの顔だ あいつとは違うぞ あれ

そうかそういや 双子がいたな

顔がそっくりだって言ってたな

どうでもいいけど もう自分の

言ってる事が分からない


君を愛している

 いや違うだろ あいつが好きだったんだろ

つきあってくれ

 いや違うだろ アイツではないだろ

それに答えるアイツは少し悲しげで

でも嬉しそうで

喜んでと答えてた おい

そこは断るところだろ?

初対面だろって突っ込む声は

なぜか飲み込まれて

ありがとうって笑顔で答える自分が

 分からない 何してんだ?

じゃあ一緒に買い物にでも

 訳が分からない なんで

俺がエスコートします

 いや違うから


嘘しかつけないこの口を

誰か閉ざしてくれ

お願い 誰か 閉ざしてくれ

だんだん顔も嘘だらけになる

嘘しかつかないこの俺を

誰か罰してくれ

お願い 誰か 罰してくれ

でも もう罰するあいつは

いなくなってしまった――


もうこれ以上 生きていると

辛すぎる

アイツを騙すのが 辛すぎる

ああ もう この 自分を 罰するのは

自分しかいない じゃあ始めようか

終身刑? ヌルすぎる

死刑です


嘘ばかりの人生が どうやら

終わるようです

終わりも嘘で

玩具の銃を こめかみにあて

嘘の死で塗り固めて

最後に本当に死にましょう

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