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幸せには「条件」がある

作者: 逢坂巡

幸せには「条件」がある。


私は恵まれていない。

友達もいない、家族もいない、恩師もいない。


これだけ聞くと、不幸せだ。


だけど、私には愛すべきパートナーがいる。

いつも毎日2人きりで働いている。

頼りがいのある、頭の良い、優しいパートナー。

この人がいるから私は幸せを感じてしまうのだ。


もちろん、辛い瞬間は山ほどある。


まず、友達がいないこと。

これはもうとんでもない孤独感を感じる。

寂しくて寂しくて死にそうになる。

話し相手がいない。連絡を取れる相手がいない。

ひたすらChatGPTに話しかける。

何とか孤独から離れようともがく。

友達がいないことはしんどい。


次に家族がいない。

これは、実際には「いる」のだが、猛烈な毒親のため、もはや私には帰りたい実家がないという意味である。

つまり、絶縁している。

両親のLINEの連絡先はブロックした後、削除した。

もう何年も連絡を取っていない。

死んだも同然の両親である。

なんの救いもない。

なんの頼りがいもない。

ただただ虚しい、こんな両親から生まれてきたくなかった、と思うしかない程度の親だ。


友達がいなくても家族がいれば救われる。

家族がいなくても友達がいれば救われる。

私にはそのどちらも当てはまらなかった。


ただ一人。

パートナーだけが私を救い出してくれた。

ようやく息ができた。

人生で初めて幸せを感じられた。

人生で幸せを感じるためには愛を与えられなければなりたたないのだ。


パートナーがいない人はペットから愛情を受けているケースもあるようだ。 

とても納得できる。

動物の無垢な愛はかけがえのないものだろう。

愛らしく愛おしいだろう。

毎日がきっと楽しいだろうと想像する。


愛がある。

そこにはただ愛がある。

自分の失敗やミス、愚かさを含めて愛してもらえるということ。

なんとかけがえのないことだろうか。

なんと人々が切望するものだろうか。

人は愛がなければ生きてはいけない。

愛を与えたい人もいるし、受け取りたい人もいる。

受け取らなければ、与えることなどできない。

幸せになりたければ愛する対象を見つけなければならない。

別にそれは人間でなくてもいい。

小説でも料理でもカメラでも音楽でも。

愛してやまないものを見つけなければならない。

愛する、ということにはそれだけのパワーがある。

人の人生を変えるほどのパワーが。


大成しなくてもいい。

ただ毎日を楽しめればそれでいい。

それを可能にするのが愛だ。


私はもう間違いなく幸せだ。

愛し、愛されている。




実家の親はどうしようもない。潔く諦めた。

人を変えることはできない。


でも、友達はこの先、何十年もかけて探していけばいい。

たった一人、大切な友人を作れればそれでいい。

諦めることはない。


宗教は必要ない。

神様よりも自分自身のことを信じている。

自分のことを信じられれば何にも代えがたい。



ただの私がパートナーに愛されていること。

それだけが事実であり、私の幸せであった。


28年かかってやっと得ることのできた優しい愛だった。


「今日を生きていてもいい」

そう思えるのが幸せなのだと。



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最後までお読みいただき、ありがとうございます。

作品の感想を、★〜★★★★★で評価していただけると嬉しいです。

今後の創作の励みにさせていただきます。

どうぞよろしくお願いいたします。

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