07 導き
室内はほんのりと暖かいけども、やはりどこか肌寒く感じてしまうのはきっと夜も深いせいなのだろう。さきほどちらりと外を覗いてみたら、しんしんと音もなくまた雪が降り続いていた。
真咲は温かなベッドの中に入り込み、ただの思い付きの発言をしっかりと考えることにした。ディーヴァと一緒に。
『あたしからしたら、外にも行って欲しいとは思うわよ』
「やっぱりそうだよね」
『ええ、もちろん。だって人間は外にもたくさんいるんだもの』
ディーヴァは両の翼をばさりと広げた。
『全く、いつまでもうじうじ考えてないでさっさと寝なさいな』
「だって。巡礼とか、そんなことになるなんて本当に思わなかったんだもの」
『別にやることは同じよ。祈って、人間達と話して終わり。ほら、いつもと変わらないでしょ?』
本当に、そうなのだろうかと今になって疑ってしまった。
そう、それだけならもっと外へ行けると純粋に喜べた。けども喜べないでいるのは、カルロスがずっと険しい顔をしたまま何も言わないからだった。
おかしなこと。それこそ、聖女らしからぬ何かをしてしまったのではないかと不安に駆られてしまうほどだった。カルロスは聖女としてではなく、真咲自身を見てくれようとしていた。確かに以前よりも楽に過ごすことができるようになった。けども、言わないだけで本当はやはり、聖女としての真咲を見ているだけなのではと、やはりまだ考えてしまっていた。
怖い、と思ってしまった。もしカルロスに呆れられてしまったら、と。
アリッサは離れないと分かっている。こっちに来てからずっと側にいてくれているし、必死に支えようとしてくれていたから。
イーサンは程よい距離感で変わらずに接してくれる。呆れ果てようと、しっかりと仕事としてやってくれるだろうという信頼はあった。
けども、カルロスはおそらく本当に正直に態度が一気に変わってしまう気がした。しっかりとした距離感を保ち、話し方だって変えてくるかもしれない。そしてちょっとした気が抜けてしまいそうなやり取りさえ、無くなってしまう。それがどうしたって怖かった。
『真咲。何が怖いの?』
「……皆が」
『嘘。皆じゃないでしょ?』
たぶん、これは皆も同じなのだろうと思う。
心のどこかで、愛娘と何かがつながっている感覚がある。気にしなければとくに何の違和感もない。だが集中して感じ取ろうとすると、ほんの少しだけ別の温かみと、そして彼女が今どんな思いを抱いているのか少しだけ分かってしまうのだ。それは同時に、彼女もまた真咲の心が分かってしまうことだが、これがどうしたって心強いものだった。
「カルロス、離れて行かないかなって……」
『なんでカルロスが離れていくの?』
「だって……あたし、いつも考えなしだし」
『そうね。けど、あいつもなかなかそうだと思うけど』
「そ、外に行くことを言ってから、カルロスずっと黙ってたし。あ、呆れちゃったりとか」
『あの馬鹿は馬鹿なりに考えているだけよ』
真咲が不安を口にすれば、すぐにディーヴァが瞬時に言い返す。とても切れ味の良すぎるような言い方に、真咲は不安が一つずつ、しっかりと消されていくような、そんな感覚がした。
『大丈夫よ、真咲。貴方は自分で、やれることをちゃんと見つけているし、そしてやろうとしているの。あたしはね、とても嬉しいのよ』
「……そうなの?」
『ええ、そうよ。こうして巻き込んじゃったわけだけど、それでも今こうして自分から動こうとしている。あたしが、好きだった人間達と同じように』
ディーヴァは軽く羽ばたき、真咲を見上げた。
『それに真咲はあたしの聖女よ? あたしが見捨てるとでも思っているの?』
「ううん、全然思ってない」
『それなら良いじゃない。むしろそうね、カルロスがそんな馬鹿げたことをするなら見返すぐらいのことをしましょうね。その方が楽しいし、あたしだって導きがいがあるわ』
完全に私情だが、ディーヴァが心の底から真咲の事を考えて伝えてくれているのはすぐに分かった。
だから真咲は笑い返し、そして小さな空色の鳥を両手で包み込み、優しく抱き寄せた。
「そうね。あたしにはディーヴァが……、ラウディアータがいるもの。怖いものなんて何もないわ」
『そうよ。さ、人間は寝る時間でしょ? 早く寝なさいな。またアリッサに言われるわよ』
「分かってるわよ」
ディーヴァが早く寝るように口うるさく言うようになったのは、毎朝しっかりと起きると決めてからだ。少し口うるさいなと思っても、真咲は素直に聞き入れている。何せ真咲の事を一番に思ってくれての言葉だと知っているから。
ディーヴァを枕元に下ろし、真咲は肩まですっぽりとベッドの中に入る。ディーヴァは器用に跳ね、真咲の顔近くに身体を寄せてからいつものように眠る体制をとる。
「おやすみ」
『ええ、おやすみなさい』
そうして真咲は瞼を閉じ、すぐに睡魔に誘われるがままに眠りについた。
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「あたしが行ったら駄目、かな……なんて」
ディーヴァ以外のカルロス達も含め、この場にいた誰もが驚いたのはすぐに分かった。
つい俯きそうになるのを必死に耐えながら、ヴィンセントへと視線を向けていた。
「真咲様。もうちょっと考えろって。そんな簡単に」
「簡単に考えていないわよ。大丈夫、すごく危険な事だって分かっているわ。けど、あたしから言ったことだし、それに……きっと、あたしが行かないといけないものだと思うのよ」
やはりカルロスが言ってくると思った。けど、だからってこの決めたことを覆すつもりはなかった。
真咲達は今、ヴィンセントの執務室に集まり、昨日のアウグストから聞いた話はもちろん、巡礼についてどうするかという話をしていた。そして巡礼の話になり、では誰が行くのかという所で真咲は最初のように言ったのだった。
分かっている。止められると分かっていたし、正直やっぱりよくよく考えたらきっと外は危険がいっぱいなのだろうな、となんとなくだがそう予想した。
それでも言ったからには、やろうと思ったからには、真咲は自分の意見を覆すつもりは全くなかった。と言うか、昨日は行くなら行くでかまわないとか言っていたくせに驚いているカルロスに対しては少しばかりの不満を抱いたが、今あれこれいうタイミングではなかった。
「本気……なの?」
「ええ、本気よ。伊織なら分かるでしょ」
奈緒が不安げに瞳を揺らし聞いてくる。真咲は力強く答え、何でも見える伊織に見ろと言わんばかりにまっすぐに見据えた。
伊織もまた同じようにまっすぐ見つめ返し、大きく頷いた。
「うん。分かるよ」
「止めないでくれる?」
「止めないっていうか、止めても無駄かも」
伊織からどんな風に見られているかは分からない。だが、伊織がそこまで言うくらいなのだから、きっと絶対に壊れそうにないものか、硬そうな何かが見えたのかもしれない。
しかし真咲はそれぐらいの硬い決意を抱いていた。
その様子を見ていたヴィンセントは大きく息を吐きだし、ずっと側に控えているエドヴィンに視線を向けた。
「エドヴィン。すぐに編成を整えろ」
「承知いたしました」
ヴィンセントは一言だけ指示し、エドヴィンは全てを分かったように返事をしただけだった。
もっと何か言われるかと思ったが、あっさりと話が通ったことに少しだけ呆気に取られてしまっている横で奈緒がヴィンセントに問いかけた。
「その巡礼へ行く日だけども、いつぐらいになりそうなの?」
「準備等で早くても五日後だな。真咲、それで構わないか」
五日後。はっきりと数字で言われてようやく、絶対にもう引き返せないという状況になったのだと知った。
「大丈夫よ。……たぶん」
うん、大丈夫。きっと大丈夫。何も怖いことはない。だってディーヴァが側にいてくれるから。
真咲は一人、ぐっと両手を握りしめつつ答えれば、隣にいる奈緒がそっと肩に触れ、顔を耳元に寄せてきた。
「やっぱり変わる? 私が行っても良いのよ?」
甘い言葉に心が大きく揺さぶられそうになり、真咲は慌てて奈緒の膝を叩いた。もちろん軽くだ。
もうなんてことを言うのだとぐっと睨むように視線を向ければ、奈緒は楽し気に笑みをこぼしていた。先ほどまであんなに不安そうな目で見てきたと言うのに、なんて早い変わりようなのか。
真咲は続けて文句を言おうとしたとき、伊織の小さな声が聞こえた。
「あ、の……その」
「どうしたの、伊織」
「何よ。そんな顔して」
先ほどとは打って変わり、伊織は何故かとても不安げな顔をしていた。
その理由が分からず、真咲も奈緒もわずかに首を傾げつつ、伊織の話に耳を傾けた。
そして、正直ちょっとばかり、聞かなかったことにしたいと心の底から思ってしまったのは言うまでもない。
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正直、今すぐにでも部屋に戻りたかった。
何せ今、真咲達は祈りの間がある中庭に来ていたのだから。しかも夜に。
昼間、伊織はようやく二人に頼ってくれたのだ。正直本当、心待ちにしていたのだが、その内容と言うのが、祈りの間に一緒に来て欲しいというものだった。しかも夜に。
それだけだったら真咲だって喜んで頷いたのだが、何せここには幽霊がいるらしい。しかも伊織はちゃんとそれを見えているとか。
何それ怖い。本当にすぐに戻ってベッドでぬくぬくしてたかった。
「おい、伊織。何を見ているんだ」
「幽霊達だよ? 奈緒と真咲もいるからなんだか集まってるみたい」
「……ちなみに聞くが、見え方は変わったのか」
「うん! 虫が嫌だったみたいだから、白っぽいふわふわのまぁるい感じになったよ」
「……まぁ、まだマシか」
伊織とヴィンセントの会話が耳に入り、真咲はディーヴァを急いで抱えた。
「ディーヴァ……! お願いだから離れないで!」
『離れないわよ。っていうか、見てくるだけなんだから怖くないって言ったでしょ?』
「それでもよ……!」
怖いものは怖いのである。もうやだ、戻りたい。
真咲は邪魔になるだろうが、アリッサに寄り添ってもいたが、さすがにアリッサも何も言わずにそのままにしてくれた。暗いからよくは見えないが、アリッサもどこかいつもよりも表情は硬いように見えた気がした。が、ここで何かいうと絶対に離れろと言われかねないのでちゃんと黙っておくことにした。
そしてエドヴィンが施錠された祈りの間の扉を開けてくれ、順番に中に入る。
そういえば中には初めて入ることに今更ながら気づき、よく回りを見ようとし、慌てて奈緒と伊織を見た。奈緒もやはり感じたらしいし、伊織は何度も足を運んでいたからこそ、とても落ち着いていた。
「真咲様……? どうしたんだよ」
「……なんか、ここ。嫌な感じがするのよ。よく分かんないけど」
さすがに様子がおかしいことに気づいたのだろう、カルロスが声をかけて来てくれた。真咲はカルロスに振り向かずに答えながら、それでも足を止めずに奥へと進むことにした。
今すぐにでも外へ出たいという衝動に駆られる。それぐらい嫌な場所だ。これほどまでに綺麗だと言うのに。隣にいるアリッサや、腕の中にいるディーヴァが心配そうに見てくることにも気づいていた。が、今はそこまで構えるほどの余裕はなかった。
先頭にいたヴィンセントが祈りの間の中心に足を止める。そして何も言わずに、今度はエドヴィンが何故か青い絨毯を退かしはじめた。あわてて真咲達は絨毯の上から退き、様子を見ているとその下から何とも綺麗なものが出てきた。
なんて綺麗な雪の模様なんだろう。
全体的に青で彩られた、モザイクタイルで作られた雪の結晶。しかしここからどうするのだろうか思いと、真咲は伊織に聞くことにした。
「伊織、これ何? 何するの?」
「今から開けるの。けど開け方、忘れちゃったからヨルに教えてもらおうと思って」
「へぇ……。けど勿体ないわね。綺麗な雪の結晶の模様なのに」
何気なく、見た通りのことを言うと、何故か誰もが真咲を凝視したことに一歩遅れて気づいた。
「え、違うの?」
「分かんない。私は星だなぁって思ってたから」
「う……確かにそうかも。ごめん、間違えたわ」
確かに、伊織の言う通り見ようによっては星にも見えなくはない。しかも全員が驚いたような顔を見せているのだから、どうやらこれは星で正しいのかもしれず少しだけ肩を落としていると、伊織が隣に並んだ。
一体どうしたのかと思っていると、ただ一言言った。
「雪だ」
伊織の一言に一気にヴィンセントも奈緒も集まり、同じ方向から見ると確かに雪だと言ってきた。
よく分からなかったが、どうもトリックアートみたいなもので、普通に見ると星だけども、本当は雪の模様が隠されているものだったらしい。
全く原理が分かっていないが、真咲がいなければ見つけられなかったと言ってくれた伊織に、少しだけ真咲は胸を張った。ちょっとしたことだが、役立てた事がとても嬉しくなったのだ。
それから伊織はヨルに聞きながら、開ける為のなんだか頭がこんがらがりそうな手順で本当に床の底を開けてしまったのだ。
丸く、ぽっかりと開いた穴。そこには下へと続く螺旋階段がずっと続いていた。
「じゃ、行こ!」
「い、行くの?!」
「そうだよ?」
当然のように言う伊織に、真咲は少しだけ気が遠くなりそうになった。隣にいる奈緒はただしみじみと独り言のように呟いた。
「静がいたら、転ぶこと間違い無しね」
本当にその通りだと、真咲は内心強く頷いた。
そうだ、静がいない今、この場にいる自分達でどうにかやらなきゃならないのだ。
『真咲、行きましょ?』
「……ええ、行くわ」
さらにディーヴァにまで促された以上、この階段の先へ進む以外、道が残されていないと知り、真咲は小さく意気込んだ。
けどもやっぱりちょっと怖いので、アリッサには手をつないでもらった。
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下りた先に待っていたのは、とても広い空間と、とんでもなく大きな壁画。
それから、どこからともなく姿を現した二体のゴーレムが守っていたさらに奥の部屋にいた、ずっと守っていたのであろう三人のミイラ。と、本当の真実が描かれた絵画に、とても古い手記。
そのどれもが予想だにしないものばかりだった。
天の神、アルカポルスには兄がいて。その兄であり、大地の神、ラグマドルスこそ敵で、封印された神で、忘れられるべき存在で。
むしろ口にしてはいけない神様で。
そして、本来ラウディアータとユフィアータの役割が反対で。ユフィアータが頼み込んで今のような役割になって。その原因がユフィアータに求婚したという人間のせいで。その人間、ジーンという男はエヴァンハイン家の始祖で。一心に愛娘達の力を受け、大地の神、ラグマドルスに戦いを挑んだ勇猛果敢な戦士で。
ほぼ連日となる、強烈すぎる真実に真咲はどうしたって全てを理解するには難しすぎた。
だってそもそもとして大神殿の地下にあんなものがあるとは思わなかったし、あんな、あんな恐ろしいものが隠されているだなんて信じたくなかった。
夢だったら、なんてまた突拍子もないことを考えてしまいかけた。けども伊織は逃げずに、まっすぐに向きあっていた。結局全てを見つけたのは伊織自身だったが、側にいることで伊織の助けになっていたらそれだけでも十分だと思っている。むしろそうだと思いたい。
そして、奈緒はこう言っていたのだ。
まるでパンドラの箱だった、と。
いろんな災厄が詰め込まれた箱を好奇心から開けてしまった。慌てて閉じたが災厄は世界中に広がった。けども、箱の中には一つだけ残っていた。
それが、希望。
『まだ眠らないの?』
「もうちょっと待って」
窓際に立ち、夜空を見上げる真咲の肩にいるディーヴァは困ったようにぴぃ、と小さく鳴き、少しでも温まるようになのか、真咲の顔にぴたりと身体をくっつけてきた。
ふわふわな温もりに真咲はつい口元を緩め、夜空いっぱいに広がる星々を見つめた。
あれこそがラウディアータ。星と太陽。夜は星に、昼間は太陽として、人々を導く存在。月ではないのかと思って聞けば、月は時折姿を隠してしまうでしょ、と当たり前のように言われてしまった。
確かにその通りだと頷いたのはまだ覚えている。
ああ、そうか、と真咲は理解した。
「ラウディアータは希望なのね」
『ふふっ、どうかしら』
ディーヴァは笑い、そして嬉しそうに言った。
なんだったか。そう、学校の授業で習ったことだ。
人は昔、星の位置を目印にしていた、と。昼間は全てを照らす太陽があるが、暗闇が満ちる夜に見えるものなんてほんのわずかだ。そのほんのわずかな光を辿り、人は進んできた。
それこそ、その光こそ希望であり、大事な道しるべであるように。
「ねぇ、ディーヴァ」
『何よ、真咲』
「あたしも、希望に導けないかしら」
少しだけ、気恥ずかしさを覚えるようなことを言っている気がする。けども、自分の役割を、自分の可能性をどうしても知りたくて、ディーヴァに聞いてしまった。
残っているのは希望だけ。それならそれで良い。分かった。けどそれなら、どうやって残った希望を皆に届けられるのだろう。いや違う。届けるんじゃなくて、導くのだ。ここまで、それこそ天に届くように祈り願ってもらうように、希望までの道筋を指し示すのだ。
まだ希望は残っている。それならばその光の方向へ向かってもらうために、出来ることはそれこそ巡礼で、より多くの人達と触れあい、祈り、願い、歌う。
けど、それは今までとなんら変わらないような気がして――。
『馬鹿ね、真咲。今更じゃない』
今までのは何一つだって無駄じゃなかったのだと、ディーヴァの一言で真咲はようやく理解した。
鼻の奥がつんと痛む。が、今はぐっとこらえた。
「そっか」
『そうよ。それよりもう眠りましょう? もう夜も深いわ』
「そうね。けどすぐに寝れないかも」
『大丈夫よ。横になって目を閉じれば、いつの間にか寝むれるわ』
「……そうかもしれないけど」
真咲はいつものようにディーヴァと軽口を言い合いながらベッドにもぐりこんだ。
これほどまでに満ち足りた日はいつ以来だろうか。いや、ほとんど初めてなような気がする。あまり深く考えずに過ごしていた元の世界にいた時も、こんな風に胸いっぱいになって、そしてこれから先がどうしてかこんな状況だというのにわくわくとしてしまうなんて一切なかった。
ああ、早く明日が来れば良い。そしてきっとやることはたくさんあるだろうけど、ディーヴァがずっとそばにいるし、アリッサもいる。カルロスもイーサンも、たぶんきっとそばにいてくれる。ちょっと怖いけど、きっと大丈夫。
真咲はゆっくりと瞼を閉じた。
ディーヴァの言葉の通り、すぐにまた睡魔はやって来た。真咲はそれに抗うことなく、今夜もまたすぐにまどろみの中で意識を手放した。




