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ルールのない人  作者: 小南葡萄
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第三章 Bの仕事

小南葡萄です。三ヶ月も経っていたんですね。めちゃくちゃバイトしてました。でもバイトしたお金ないんですよ。使った覚えないのにないんですよ。目の前に新しい靴が見えるくらいで。

 ゼブラがいない。私強引すぎたのかな。私の中では結構優しくしたつもりなんだけど。

でも楽しかったからいっか。

急に寒くなって、カゴから折り畳まれたシャツを出す。何度も着ているから首元がヨレヨレだ。

わかっちゃいるけど、やっぱり服は綺麗な方がいい。カゴの中にあったジーパンも履き終わった後、

テレビの音が耳に入ってきて、おっ、とリビングに行っても、ゼブラはいなかった。おかしいな、普段勝手に出歩く真似をするような奴じゃない。

風呂場にも、キッチンにも、ゴミを外に出しているわけでもない。

玄関を閉じて、足元を見ると、靴が一組ない。

とうとう嫌気がさしたか。腹いせにゼブラから受け取った缶ビールを飲もうとして取っても思ったより軽く、その辺に放り投げた。飛んだ缶ビールは置き土産として少し私のジーパンを汚した。瞬きをするように舌打ちが出る。

パン屑のついた食器もやりっぱなしになっているし、服も脱ぎっぱなしだ。やりっぱなしにするなんて、ゼブラらしくない。でも今は痕跡があるのが嬉しかった。食器を下げて、置いてた服を拾い上げて、鼻に当てる。小さいゼブラが私の体を駆け巡る妄想に我ながらクスクスと笑ってしまう。

 正面にあるテレビでは、夜中にゲリラ豪雨が降るという予報にイラついてテレビを直接消し、スマホを確認する。

今日は依頼が二件。また夜勤コースか。しょうがない。こっちが家を知らせてないからって、遠いのはうざいんだよな。ゼブラの服を私の布団に放り投げて、私の愛用のブルゾンを着て、玄関に向かう。ボロボロのスニーカーを履いてトントンとしてから、ドアノブを握る。冷たっ。

無意識に振り向いて、手を少し上げたが、手を振る相手は、今日はいない。

欠け始めて白く透き通る月を見ながら、そういえばこの前は久しぶりにちゃんとした太陽が見れたな。とゼブラとカフェに行ったことを思い出した。

おどおどしているゼブラって可愛いんだよな。スーパーの時は思わずビールを開けてしまった。月もゼブラに見えてきた。なんか私気持ち悪いな。赤信号を無視して駅に着くと、改札から出てくるのは疲れ切った顔をしたサラリーマンか、自分とお酒に酔っ払ってる奴らしかいない。

キモいと思いながら私も財布をタップして改札を通る。財布の中からでも認識することを最近知った。

寒い。回送電車が通過して送られる風は、どうしても堪える。わざとやってるだろ。特急のアナウンスが鳴った。体を曲げて上半身だけ黄色い線を越え、こっちに来る電車に注目する。光がゆらゆらとしか動かなかった小さい電車は、みるみる大きくなり、車掌の顔が見えた瞬間に体を引っ込めた。

フォン!と私に命の危機をお知らせしてくれて、長い長い電車が、ガタン。ゴトン。と止まった。

私はこの特急の最終に乗って、目的地までぼーっとするつもり。ドアの横にもたれて出るのを待ってから入ってからすぐさま椅子の近くに立った。グッと電車に押され、思わず手すりを掴んでやり過ごす。いつも乗ってるのに慣れないな。でもいつも乗ってる電車のいつもの背景は、どんなに綺麗な景色でも、毎日見ると見飽きてしまう。変化してったらいいのに、燃えたりとか。

見慣れた景色と裏腹に、私の尻に慣れない触感が伝わる。心の中で大袈裟にため息をつく。ギロっと見てみると、優しそうな上司みたいな顔をしている奴が、スマホを見ながら鼻の下を伸ばしていた。

キモいなあ。私はそっと手を払ってみる。痴漢の手は一度離れたが、再度また触ってきた。そんなに感触がいいのか私の尻は。しかし、またゼブラの顔を思い出し、にやけそうな顔を歯を食いしばって耐えた。必死だったなーあいつ。


だんだんペースを早められたらなと思います。2月には全力でやるつもりですよ。頑張ります。

意見とか色々くれたら、ニコニコ笑顔になれるかも。

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