位と夕食
小南葡萄です。お久しぶりです。書けずにすいません。バイトが始まったんです。ニートがよかったですよこっちだって。
部屋に戻ると、他のメイド達が俺の食事の準備をしてくれていた。誰かにご飯を準備されるのは、Bがパンを用意してくれた以来二回目だ。
お辞儀した後、椅子を引いてくれた。
「アレルギーなどはございませんでしたか?」
「食物の方は大丈夫そうです。ディナーのご紹介をお願いします。」
サンドラが淡々と代わりに答えると、ほかのメイドの顔がキッと少し険しくなる。しかしすぐに戻り、銀色のボウルを開けてもらうと、煙を蒸したデカい肉が俺の目に飛び込んだ。いい匂いが鼻の中を充満して、一気に唾液が口内を駆け巡る。ワインと水と牛乳も置かれていて、どれを飲めばいいかよくわからない。
「こちらは日本のヒョーゴというところから生産されているコービービーフでございます。サーロインをミディアムに仕上げました」
というところまではちゃんと聞いたが、何を言ってるかさっぱりだったので、野菜だのワインだの説明は頷くだけ頷いて一切聞かないことにした。
「それでは、失礼します」
とメイド達がお辞儀をして、部屋を出ていった。
ナイフやらフォークの使い方がわからず戸惑っていると、サンドラが近づいて肉を全て切ってくれた。
薄い血が流れてきて、一瞬固まったが、いい匂いがしたのでもう一つあったフォークで目を瞑りながら食べる。
何これ。下にどんどん溶け始める油を逃すまいと噛むと、自然に切れて油がじゅっと出てくる。そのくせに味はしっかりと感じるし、鼻に吹き抜ける肉の匂いがとても心地よい。肉の味を楽しんでいると、サンドラがいなくなっていた。キョロキョロ探して腰を曲げると、俺が首を動かしても見えないところにサンドラが立っていた。
「お行儀が悪いですよゼブラ様」
近づいて、俺の顔を確認してきた
「サンドラは食べないの?」
「ええ、私たちとゼブラ様の食事の時間は違いますので」
ナプキンを取り、俺の口の周りを拭き始める。
「いつ?」
「ご入浴されているときにいただきました」
「みんなで?」
「一人です」
「サンドラは嫌われているの?」
サンドラの手が止まり、真っ直ぐの体勢に戻り、メイドたちが出ていった扉を見始めた。
「いえ、おそらく嫉妬でしょう。ゼブラ様が最初にご覧になられたメイド達は、ダグラス様に選ばれた選りすぐりのメイド達です。若くて綺麗で優秀。正直ダグラス様の好みでしょうが、どんなに長く働いていても、選ばれたからには専属メイドは位が高いのです。私も、今日からゼブラ様の専属メイドになり、四ヶ月弱で、三番目に偉くなってしまいました。二十歳で一回も働いたことない私がコネで急に偉くなってしまい、従わざるおえないメイド達は、それはもう嫉妬の嵐でしょう」
「偉いから嫌われているってこと?」
「そこまでの理解で結構です」
ナプキンを置いた後、サンドラは牛乳を注ぎ、軽くお辞儀をされて、また後ろに戻った。
牛乳も、Bと飲んだ時とは濃さも甘みも違う。見た目は同じなのに。
「見た目は同じなのに全く違うことがあるって面白いよね」
「それを裏切り者と題す人もいます」
あと少しスランプ気味。