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虹の遺灰  作者: 狗ろA夏
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天使の翼

数週間が経ち、驚く程に早く治った傷をエルピスが見ていた。

「どうしたの?エルピス。」

声をかけると、箱の中に隠れてしまう。今は気にしても仕方なさそうだ。信心深い信者の方が事件を沈めてくれたお礼にといただいたもっちりパン(正式名称は知らないけど多分高いコッペパンらしきもの)を半分床に置いて、もう半分を口に放り込む。あこのパンすごいおいしい。エルピスも見たことない勢いでパンを頬張っている。…これあげてもいいやつだったのかな。

まあともかく、調べものの続きをすることにした。しばらく悪魔はおなかいっぱいなので、天使について調べてみる。意外と天使とはゆかりのある村なので、探せば記念碑とかがある。そういえば、詳しく読んだことがない。


【流れ星に乗ってきた天使さま】

むかし、天使さまは地上の人間たちの様子を、流れ星に乗って見に来ていた。しかしある時何者かに聖火が消され、それ以来天使さまがこの地上に降りたつことは無かった。

(聖火研究学会)


聖火研究学会?あぁ、あのじいさんばあさんばっかりの...こんな石碑も作っていたのか。聖火と言えばボクが聞かせてもらった話にも出てきた。天使さまが地上に逃げる人間達に持たせたものだ。聖火のことは見落としていたかもしれない。行ってみるか...聖火研究学会。

...間違ってないよな、この住所。ボクの家なんだけど。...父さんに話を聞くか...。

「父さん、聖火研究学会って知ってる?」

「ああそれなら私が学会長だよ。」

それなら話は早いがなんでそんなことやってるんだ父さん。

「聖火を復活させれば天使さまがもう一度来て下さるかも知れないからね。」

...まさか。確かこの人、筋金入りのバードウォッチャーだったよな。

「天使さまの羽根が目的だったりする?」

「よくわかったねオルク!仮説としては白鳩の羽根が巨大化したものだと思っているんだけどそもそもあんなに大きな体でどうやって飛ぶんだろうね!飛び方も羽根の材質も何もかも気になることだらけだよ!」

うちの父さんはこんなに饒舌だっただろうか。

「それにしてもオルク、天使様に興味があるなんて意外だったなぁ。」

「まあ、歴史について勉強してたら興味が湧いて…。」

「何でも聞いてくれ、なにせ私は聖火研究学会長だからね。」

今までの父さんの中で一番頼もしいかもしれない。

父さんの話によると、聖火というのは原初のころにそこに自然に発生した聖なる炎のことらしい。それ火事って言うんじゃ…。とにかく不思議なのは、その聖火はちょっとやそっとで消えるような火ではなかったということ。これを消した何者かは本当に何者なんだろう。それに、流れ星に乗ってきた、とあるが…天使さまには羽根があるのに、わざわざ何かに乗ってやってくる理由が分からない。ボクの疑問に付き合ってくれた父さんにお礼を言って、自室に足を運ぶ。机に向き合い、開いてあったノートにメモを書き足した。"この村に降りていた天使は偽物かもしれない"と。

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