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3. 宣伝戦略

3. 宣伝戦略

 宣伝とは、単なる広報活動ではなく、需要を創造する行為である。

 社会学では宣伝が需要を生み出す存在と認識される。時には悪であるかのように扱われる事もあるが、限界革命を迎えた市場にとって、市場を拡大する唯一の手段は、需要の創造、或いは啓発とも言い換えられる。

 この場合、需要とは読者数の事である。現状の評価制度がタイトル重視となってしまっているのは、評価システム自体の欠陥というよりは、需給の不均衡がもたらした結末だといえる。つまり「単に文芸雑誌を作る」では全く意味を為さないのである。「評価システムの廃止」が語られる事もあるが、そんなものは根本的解決にならないどころか、需要の減退に伴う市場の衰退にさえ結びつきうる。重要なのは、需要を啓発する事。つまり雑誌の購読者を増加させ、なるべく読ませる事が必要なのである。

 ここで歴史を振り返ってみよう。太古の昔、文字は神官の特権であった。王権と結びついた文字はやがて「神話」を書き起こした。世界で初めて書き起こされた神話、ギルガメッシュ叙事詩。やがてそこには知恵も記されるようになり、図書館が建設され、古代には帝国統一言語への翻訳が行われた。代表的なの例は新旧の聖書やアリストテレスの著作のラテン語への翻訳であろう。翻訳を通して、表現と内容が分離した。翻訳によって失われる表現技巧であったが、失われないものが内容として残った。内容はやがて「情報」となり、現代社会はまさしく情報化社会となった。

 歴史を見ての通り、「書かれたもの」「内容」「情報」は、次第に自身の纏う重りを捨象していき、軽薄短小化していったのである。Web小説は「情報」の段階にはあるが、現代人は更なる軽量化を望んでいるのである。更なる軽量化、それは理解し易くなるという事、軽い内容になるという事である。

 ライトノベルという語が指すように、最近の読者には軽いものが求められる。平たく言えば、読み易いものの事である。しかしこの「ライト」なWeb小説において飽和状態が発生しているのである。ではどうすべきか。答えは一つ、更なる軽量化である。

 更なる軽量化、すなわち「入り易い」ものにするには、漫画や動画、アニメーションが必須である。最早文字だけの時代は終焉を迎えたのである。そのためには個人作家では難しい。資金を費やして有償挿絵を追加した所で、その費用を補填できる見通しは殆ど無い。実質、効果による金銭的収支のみで考えるならばドブに捨てるような真似である。これでは浮上が可能であったとしても、資金力が物を言う。「身の丈に合った大学を」とどこかの政治家が言ったような状況になってしまうのである。

 そこで「門前成市」では雑誌自体の宣伝を行い、雑誌自体の読者を増やす。

 しかしこれでは「門前成市」が有償雑誌として販売され、その収益で費用を補填するようになる必要が生じてしまう。これでは「門前成市」の需要啓発の本義が達成できない。そのため私は全ての参加者、関係者に対して、一切の金銭授受を行わない事とした。何も、宣伝に携わる絵師さんやVTuber、ボカロPなどの関係者が有名人である必要は皆無である。その界隈の弱小層とも提携し、共栄を図る事が可能なのではないか。更に言えば、無名作家と無名絵師、無名作曲家などの協力が可能になれば、身銭を切ったリスキーな有償依頼などする必要は無くなるのである。

 また細かな広報策は他にもある。「小説家になろう」には下部にリンクを貼る事が出来る。ここに「門前成市」のホームページへのリンクを配置する事で、僅かながら広報効果を期待すると共に、その作家が参加している事を示す事が出来る。

 これらのような宣伝手法を後述4の手段により常時改良し続ける事で、より効果的・効率的に需要啓発を行い、掲載作品を「読まれる」状態にする事が宣伝戦略である。

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