襲撃・お姉ちゃんズ!
―――第4王子宮
『―――む?何だ?この“いんたーほん”と言うのは』
『魔物の国でも見たことがありませんわね』
『しかし、結界が張ってあるからな。他に入る手立てが思い浮かばん』
『この結界を本気で壊すと言う手も考えられますが。2重3重に罠を張っている可能性もあるので万が一打撃・魔法反射効果などが付与されていた場合、こちらが瀕死になりますわね』
『何だと!?いやはやそこまで予想できるとは。やはりゼフラお姉さまは天才だな』
『いいえ、アセナちゃん。昔あの子がウチの国に来た時に、貴賓室に突撃して結界を壊したら同じ目に遭ったのよ』
『何と!?当時は従姉弟同士だったとはいえ姉にそのようなことをするとは!』
『あの子は姉と言う生き物を嘗めているのです』
『ぐぐぐっ!解せぬな!』
『しかし結界の破壊が無理となれば』
『残された手はこの“いんたーほん”という代物か』
『どのように使うのかしら?』
『ここにボタンがあるようだ』
『慎重に行かねばなりませんね。トラップと言う手も考えられます』
『なるほど。では私がまずはこれを撃破しよう』
『万が一のため、反射結界を張る準備は万端よ!』
『では!我が槍で、汝を穿つ!』
どごごごごおおおおおぉぉぉぉぉんっっ!!!
―――いや、何してんの。このふたりは。
俺は宮を覆う結界への干渉を感じ、宮への来訪者の存在を悟った。なのでインターホンとは別地点に設置した魔動カメラで様子を見ていたわけだが。何を考えたのか第3王子妃(※スオウが結婚したのでこちらも結婚した)のアセナが得意の槍でインターホンのボタンを貫きやがったぁっ!!その後ろではまさかの王妃・ゼフラが防護の準備をしているし。
こんなことならインターホンを破壊したら何か起こるようにしとくんだった。一応、結界を破壊した場合はそのダメージが破壊した者に還ってくるようにはなっているのだが。伯父である魔王に“ゼフラにあれだけは勘弁してやってくれ”と懇願されて、此度インターホンを設置してみたらこれだ。
全く、俺の善意を踏みにじりやがって。昔から姉と言う生き物はいつもそうである。俺にとっての姉は従姉のゼフラたちだったわけだが。
一緒に遊ぼうとか言っておいて弟で遊ぶことが何よりも目的だし。女のドレスを着せようとしてくるし。謎のおままごとルール持ってくるし!
※なお、この姉に対する認識は完全なるイザナの個人的な偏見です。
『うむ。何も起こらぬとは、まさか!』
『アセナちゃん、何かわかったの?』
『何か起こると見せかけて姉を嵌めたか!イザナ!』
―――濡れ衣だ。完全なる濡れ衣だ。
『ではここは正攻法で行きましょう』
『正攻法?やはり攻撃するのか』
いや、攻撃って。結界を破壊したらお前らに還ってくるんだぞ。因みにゼフラには跳ね返らないようにせめてもの情けをかけているから、ゼフラが攻撃したものも含めて全てアセナに還ってくることになる。なお、アセナはどんな攻撃でもHP1で耐えるから問題ないが。
『ここは、お姉ちゃん法を試しましょう』
いや、何だそれは。お姉ちゃん砲だったらそのまま弟砲を返すぞコラァ。
『では、いざ参りましょう!』
『えぇ、ゼフラお姉さま』
な、何をする気なんだ?コイツら。
『イーくん!いい加減出てきなさい!お姉ちゃんですよ~』
『イーくん!イーくんの好きなゲテロ巻き持ってきたんだから!ほら!お姉ちゃんと一緒に食べましょ~っ!』
俺は引きこもりの弟か!?てか、ゼフラ!俺はその魔物の国が生み出した兵器・ゲテロ巻きは嫌いだ!あれは無理だ!前世の知識的にも、俺的にも!あと、“イーくん”って何だ!変な愛称つけんじゃねぇっ!!
『やはり、イーくんよりも“いっちゃん”とかの方が良かったかしら』
『ふむ。“イザにゃん”と言う手もあるな』
そこじゃねぇっ!!!
「ご主人さま、表にお客さまが来られているようですけど」
さすがに姉どもが騒ぎ過ぎたのか、シャルルが知らせにやってくる。
「―――」
「ご主人さま、姉と言う生き物には素直に屈したほうがいい時もありますよ」
「何だ、それは」
「姉としての実体験です」
「―――」
「これは個人的な勘ですが、妙な愛称が増えますよ」
『イザゴン!開けなさ~い!お姉ちゃんサウルスですよ~っ!!』
『イザノウミ!お姉ちゃんの舞は悲しいですわっ!』
何故か姉どもまで妙な愛称をつけ始めた。
「これが潮時か」
「―――諦めろ」
傍らに控えていたナユタからも声がかかる。
「仕方がない。ただ、会いに行くだけだからな!決して入れるとは言っていない!」
「最近ツンデレ化してませんか?」
「あぁ」
ふたりして頷くなぁ―――っっ!!!




