表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/45

悪逆王子


その日、俺は衝撃を受けた。俺は転生したのだ。―――それも前世の小説に出てきた()()王子に!


いや、今までの悪逆王子として生きてきた記憶はもちろんあるし考え方も理解できる。だがしかし、前世の自分の知識を得たからこそ今の俺の異常さももちろん理解できるのだ。


まず、第4王子・イザナと言うのはプライドが高くカリスマ気質、そして狡猾。小説では悪逆王子ではあるものの、さらさらの漆黒の髪と切れ長の赤い瞳、雪のように白い肌に整った端正な顔立ちから原作ではファンがめちゃくちゃ多かったのである。


更に、イザナ―俺―は魔物たちとの友好のために魔物の国から嫁いできた母を持つ魔物の血を引く半魔の王子である。


その証拠か、莫大な魔力を抑えるための黒いピアスを両耳につけている。そして極めつけはこの、―――


ぴょいんっ


尻から生えた黒く細長い、爬虫類のようなしっぽぉっ!!何!?これ!!原作読んでた時はこんな設定あったっけ!?挿絵も見たし、アニメも見たけど。こんなしっぽがある設定、―――知らんわっ!!


思えば半魔と言う存在は体のどこかに、必ず魔物の遺伝子を受け継ぐのだ。


人間よりの体で産まれる場合は何故か半魔であることをアピールするため、魔物遺伝子がどこかに必ず発現する!


それなのに原作のイザナにはしっぽがなかったのだ。いや、そもそもこの知識はこの世界で得た知識。原作にはそもそもそんな設定がなかったのだ。


この世界は小説に限りなく近い。―――とはいえ全く同じではないことを、俺自身の体で証明してしまったのだ。


故に、だ。いろいろと紆余曲折あって大人気だった悪逆王子は、その後処刑されることになるのだ。


そもそもの原因は、王―俺の父―に恨みがある宰相が王に毒を盛り、第1王子を王に据える。しかしながら王位を狙っていた第2王子が第1王子を暗殺。更にその裏で俺が第2王子を暗殺。そしてこのカリスマ性で、またたく間に国を掌握し、暴君として君臨するのがこの俺。


辛くも逃げ出すことに成功していた第5王子が王国に虐げられた小国の姫と協力し、俺を殺して王座を得、国を平和に治めればハッピーエンド。

俺的には、―――バッドエ―――ンドゥッ!!


さて、似ているが俺にしっぽがある以上、必ずしも小説に忠実な世界ではないと知った今、―――俺のすべきことはその小説通りの未来を阻止するため暗躍することだ。しっぽがあるとは言え俺の性格は原作そのものなのである。もしかしたら処刑エンドもあるかも~!(泣)


その主たる原因が俺の弟・第5王子。そして俺を裏切って罠にめる俺の婚約者である。


だからまずは弟と婚約者にびを売ろう!更に裏切られたり、殺されたりしないように。―――そうだな。そうだ、こういう時はっ!


“溺愛”!!


溺愛を行うのである。古今東西の断罪回避において、溺愛は常々行われてきた対策のひとつである。


―――で、あるがゆえに。


俺は溺愛ルートを歩む!突き進むのだ!前世の俺だけでは無理だっただろうが、俺は第4王子・イザナなのである。プライドが高くカリスマ性に溢れなおかつイケメン、狡猾なイザナならばっ!そして前世の記憶を受け継いだイザナという俺ならば。


絶対に溺愛ルートに乗せてみせるっ!!


俺はその日、そう決意したのであった。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ