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【漫才】小説家になろう

作者: 踊る大横綱

ツッコミ「突然なんですけど僕ね、小さい頃からの夢がありまして」


ボケ「ほう、夢とは?」


ツッコミ「小説家になりたいんですよ」


ボケ「それはそれは」


ツッコミ「でね、どうせ書くならミリオンセラーなんか目指しちゃったりしたい訳なんですけどもね」


ボケ「なら、僕が売れる小説を考えてあげますよ」


ツッコミ「おお、それは心強いですね」


ボケ「やっぱり若い年齢層を狙うといいんじゃないですかね」


ツッコミ「あー、確かに。SNSで広めてくれたりしますもんね」


ボケ「そうそう。だから、若い人達向けのテーマでいってみましょうか」


ツッコミ「というと、恋愛ですかね? それともミステリー?」


ボケ「ダメダメダーメ、素人かアンタは」


ツッコミ「素人て……。じゃあ何が良いと思うんですか?」


ボケ「スポーツですよ」


ツッコミ「あー! スポーツね! 確かに良いですよね。部活に青春を捧げる高校生、人生の全てを賭けた男達の熱い物語! 確かに良い!」


ボケ「でね、僕イッチバン熱いスポーツ、知ってんのよ」


ツッコミ「え? 野球とかですか? それともボクシングとか?」


ボケ「ノンノンノン。アンタ本当に分かってないね」


ツッコミ「えぇ……。じゃあ何なんですか?」


ボケ「それはね……麻雀だよ!」


ツッコミ「麻雀!? はぁ!?」


ボケ「卓を囲んだ四人の手に汗握る熱い戦い、交錯する思惑、頭脳戦! 麻雀以上に熱いスポーツはありませんね」


ツッコミ「いやいや、駄目でしょ? 若い年齢層狙うんでしょう? 最近の子はあんまり麻雀とか知らないでしょ!?」


ボケ「じゃあアレですか? 賭博要素とか入れてみたら……」


ツッコミ「もっと駄目だから! 問題なっちゃうヤツだから!」


ボケ「そうですか?」


ツッコミ「それにスポーツ良いかもしれませんけどね、僕あんまり詳しくないですからね」


ボケ「じゃあ別のジャンルにしましょうか。アナタは何か好きな小説のジャンルってありますか?」


ツッコミ「僕はね、ホラーが結構好きなんですよね」


ボケ「ほうほう」


ツッコミ「ヒタヒタと迫り来る謎の足音、振り返っても誰もいない。でも確かにそこには何かがいる……。あー、良いですねー! 読む人の背筋をゾワッと凍らせるようなホラーが書きたいですねぇ」


ボケ「じゃあ僕が設定考えてあげますから」


ツッコミ「今度こそお願いしますね」


ボケ「ある日、自宅に帰ると部屋の様子がどこかおかしい……」


ツッコミ「はい」


ボケ「キレイにベッドメイキングされた寝床、物が乱雑に散らかっていたはずの床はホコリ一つ無く……」


ツッコミ「おっ、いいですね」


ボケ「おかしい、俺は一人暮らしだというのに……」


ツッコミ「良いじゃないですか!」


ボケ「ちゃんとタイトルも考えていますから」


ツッコミ「えっ、聞かせてもらっていいですか? そのタイトル」


ボケ「タイトルはね、『母、襲来~晒された成人本~』です」


ツッコミ「原因お母さんかよ! しかもどういう意図のサブタイトルなの!?」


ボケ「ベッドの下に隠してたエロ本を発見されて、尚且つ机の上に並べて置いておかれるんですよ」


ツッコミ「別ベクトルの怖さだな! もういいよ! アナタなんかには頼りません!」


ボケ「待って待って! もう一つ、もう一つだけ候補があんのよ」


ツッコミ「これで最後ですよ……。で、何の小説なんですか?」


ボケ「ノンフィクション系なんですけどね」


ツッコミ「でも、そういうのって取材とか大変なんじゃないですか?」


ボケ「あー、その辺は大丈夫ですよ」


ツッコミ「え? どうしてですか?」


ボケ「書くのは僕達の漫才のことですから」


ツッコミ「こんなんで書けるか! もういいよ!」


おわり

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