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東方紅氷譚 〜 Absolute or Phoenix.(旧)  作者: クルセイダー
生きるという事
35/36

終章・T「永遠に続け、不死の絆」

ザッパアアアアン!!


なっ……!?


突如、この空間を大波が襲った。

その水で、私の炎はあっという間に鎮火された。

私は驚いたが、既に生きる気力を失っており、そのまま地に伏した。

すると、大波を起こした主が、私の元へとやってきた。


諏訪子「……妹紅の……馬鹿っ……!」


諏訪子は、私の頭を軽く小突いた。



私は返事など、出来なかった。


諏訪子「何で……何で……私達の命よりも娯楽を優先するの……!?」


……何も、言えなかった。


諏訪子「……あの頼れる妹紅は何処に行ったの……!?……あの優しい妹紅は、何処に行ったの……!?」


……ひたすら、後悔が募るばかりだった。


……いっそこのまま殺してくれ……なんて、届く筈も無い願いを込めた。


諏訪子「……起きてよ。」


……私の体には、力が入らなかった。


諏訪子「……起きてよ!」


……私は返事すら出来なかった。


諏訪子「……まさか、このまま永遠にここで倒れてるなんて言わないでしょうね……!」



…………


さっきまでの私なら、そうしていた。


……だが。


妹紅「…………っ」


……体が動いた。

……体を起こせた。

……私は、立てた。


諏訪子「……妹紅……!」


……詫びよう、全力で。

……それで済むとは到底思っていない。

……私はただ、私の心の中の後悔を、今ここで吐き出したかった。


妹紅「…………諏訪子。」


私は諏訪子を見る。そして、私は目を瞑る。


妹紅「……藍。……フラン。……狸の旦那。……ぬえ。……こいし。……太鼓の付喪神。……秘神。……魔理沙。……ヘカーティア。」


私は、ゆっくりと目を開ける。

そこには、後悔と謝罪の涙が溢れていた。




妹紅「……済まなかった……。」



……欲。

……それは常に人を取り巻く。

……そして人は時に、欲を抑えきれずに周りを顧みなくなってしまう。

……残るのは、後悔のみ。



……私はこの1000年以上の中を生きて、初めて、欲という物の怖さを知った。

……同時に、私はやはり「人」なんだなと。



諏訪子「……その言葉が聞けて、嬉しいよ。…………大丈夫だよ。」


諏訪子も、いっぱいの涙を浮かべ、軽く笑ってみせる。


妹紅「…………ありがとう。」



……私はまた一つ、「生きる事」の良さを知った。



……気が付けば、私の周りに仲間達がいた。


藍「……良かったよ、元に戻って。」

フランドール「……壊さずに済んだわね。まあ、良かったわ。」

マミゾウ「……そんな辛気臭い顔をするな。……儂はもうお前さんを赦している。」

ぬえ「……裏切ったかと思ったけど、そうじゃ無いみたいだね。とにかく、我に返って良かったよ。」

こいし「……私は通りすがりなんだけど……まあ、おかえり?」

雷鼓「……何とかなったわね。」

隠岐奈「……良くぞ戻って来てくれた。私と雷鼓とはあまり面識が無いだろうが、逆に言えば、そういう者からもお前は心配されているという事だ。」

魔理沙「……なんか、凄く雰囲気が重いな。……まあなんだ、正気に戻って良かったぜ。」

ヘカーティア「全く……苦労させるんだから……。ご覧の通り、皆はもう貴方を赦している。だから、安心して、戻って来なさい。」



……皆。





妹紅「本当に、ありがとう。」



詫び切れるはずも無い。

あれだけ、皆を傷付けたのだから。

だが、そんな私を皆は赦してくれた。

私は、皆が……大好きだ。





氷華「取り込み中済まない。幻想郷への帰り道を作った。……私も、色々と済まない事をしたな。」

妹紅「良いさ。……私に比べれば全然だ。」

藍「……妹紅。もう気にする事は無いぞ。一度悔やんだのなら、その分笑え。気持ちが楽になるだろう。」

妹紅「藍……ありがとう。」


私は満面の笑みを浮かべた。



フランドール「さあ、帰りましょう。きっと皆が心配しているわ。」

藍「橙にも謝らなければ。暫く一緒に居てやれなくて済まないと。」

こいし「私ほとんど出てないー」

ぬえ「私も活躍少なかった様な気がするんだけど?ねえ、マミゾウ。」

マミゾウ「ふぉっふぉっふぉ。次の機会じゃな。」

魔理沙「私なんてお前らと会って間も無いぞ。私の出番こそもっと欲しかったぜ。」

雷鼓「まあ、そんな時もあるわよ。さて、帰ったらライブの練習をしなくちゃね。」

隠岐奈「っと、氷華よ。私は自分で帰れるから先に帰るぞ。……皆も、さようなら。」

氷華「分かった。……また、会う時が来たらその時はよろしく頼む。」


秘神は扉を開け、その中へと入って行った。



ヘカーティア「純狐とクラウンピースは何してるかしら……。あ、妹紅。それに諏訪子。……色々あったけど、何だかんだ楽しかったわ。ありがとね。」

諏訪子「うん。私も楽しかったよ。辛い事もあったけど……。」

妹紅「……悪かった。」

諏訪子「気にしないで。これも人生、でしょ?まあ、私は神様だけど。」

妹紅「……フッ。」


私は笑った。つられて諏訪子とヘカーティアも笑った。



氷華「さて、そろそろ転送するぞ。」

妹紅「……待った。」

氷華「え?」

妹紅「……氷華。」


私は氷華の手を取り、握手する。


妹紅「お前にも、守る者は居るのか?」

氷華「あ、ああ。私の唯一無二の神が居る。」

妹紅「神か。私と一緒だな。」


私は諏訪子の方を見て微笑む。

諏訪子は笑顔で返す。


妹紅「その神、全力で守ってやれよ。」

氷華「……ああ!」


この「不滅の繋がり」。

これを信じて私はこの先を生きる。


妹紅「皆、済まないな、待たせてしまった。じゃあ氷華、改めて頼む。」

氷華「分かった。……転送!」



氷華の掛け声と同時に、周りの景色が変わる。


……恐らく、今回の経験が無ければ、私はまた人を傷付けていたかもしれない。

だが、私は欲というものの恐ろしさを身に染みる程味わった。

私はもう、欲に踊らされない。


ともかく、今回の異変は特別だった。

ありがとう、氷華。


……いつかお前と、共に戦ってみたいよ。



……そして、生きるという事に退屈を感じなくなった。

……今までの私なら、異変が終わったらすぐに気が抜けて、死にたがっていただろう。

だが、そんな私はもういない。



今の私は、全力で生きたいと思っている。


それが、人間というものだ。





少しして、私は迷いの竹林へと戻った。


なるほど、皆それぞれが氷の世界へ入ったところに戻されたのか。



……しかし、疲れたな……


寝るか……



「あら、妹紅。戻ってきたのね。」



……どうやら、そんな暇も無いようだ。


仕方ないな、付き合ってやるか。


妹紅「何だ、また殺されたいのか。今の私は気分が良いからな、千回程殺してやるよ!」





なあ、輝夜!!




Next Phantasm……


TRUE END

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