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東方紅氷譚 〜 Absolute or Phoenix.(旧)  作者: クルセイダー
未練
29/36

終章・N「終結」

ドゴオオオオオオオン!!


妹紅「ぐはっ!?」



突然、上から球状の物体がのしかかって来た。

私は地に叩きつけられ、そのまま地に伏した。

炎は一瞬にして、消火した。


何だ……!?一体何が……!



「……間に合ったわね。」



……この声は……!


「ここに来る最中によーく聞こえたわよ。貴方の制止を求む皆の声が。」



私は僅かに顔を上げた。



……金髪のヘカーティア……!



月ヘカーティア「後少し遅かったら、貴方は大切な仲間を燃やし尽くしていたでしょう。1人の神の為に。」



…………


……最もだ。

私は諏訪子の事しか頭に無かった。

諏訪子さえ助けられればそれで良いと。


……だが、私には他にも仲間がいる。

藍。フラン。狸の旦那。ぬえ。

それに、こいし、太鼓の付喪神、秘神。


……そして、ヘカーティア。



……危なかった。

ホントに、危なかった。

後少し、後少しで、私は皆の命を奪ってしまうところだった。


……私は……馬鹿だ。



足音が聞こえる。

段々と大きくなっていく。



藍「……全く。危ないじゃないか。」

フランドール「殺す気かしら?」

マミゾウ「必死の声も聞かんもんじゃから、どうしようかと思ったわい。」

ぬえ「命大事にだよ!皆のも、自分のも!」



……命。


私にとっては、使い捨てのものだ。


……だが、皆にとっては……



……たった1つのもの。


それを、私はこの手で消し去ってしまうところだった。



妹紅「……み……んな……。」


さっきの炎と叩きつけによるダメージに必死に耐えながら、私は言った。



妹紅「……す……まな……かっ……た……」


そこで、私の何度目かの命は尽きた。



ぬえ「……え?妹紅?妹紅!?」

マミゾウ「案ずるな。直に戻ってくる。」

フランドール「忘れたの?不老不死。」

ぬえ「忘れた……というか聞いたっけなあ。」

藍「……不老不死……とはいえ、自暴自棄で一途過ぎだ、妹紅は。」



……ボッ


ボォォォ……


命の炎は再び、燃え盛る。


ボォォォォォ!!



炎の中に1人、私がいた。



ぬえ「おお……こんな感じで復活するんだ……。正体見たり!」

マミゾウ「正体不明の妖怪がよう言うわい。……なあ、妹紅殿。」

妹紅「……何だ。」

マミゾウ「確かにお前さんは儂等の命を脅かした。だが、目は覚めたようじゃな。もう儂等はお前さんを止めたりはせんよ。……また暴走でもしない限り、な。」

妹紅「あ、ああ。……済まない。」

マミゾウ「謝るのはもう止せ。今はこうして皆生きている。それで良いじゃないか。」

妹紅「……そうだな。」


私は微笑んでみせた。


妹紅「また、旦那と一戦交えたいな。」

マミゾウ「ほう、やるかい?次はどうやって化かそうかのう。ふぉっふぉっふぉ。」

妹紅「……フッ。」


マミゾウとの会話が終わった後、藍とフランが私の元へと来た。


藍「全く……まあ、私達ももう許しているから、気にする事は無いよ。」

フランドール「……よく考えたら、貴方って不老不死だから、私が壊しても良かったのかも?」

妹紅「……そうだったのかもな。まあ、私はお前達に感謝しか無い。ありがとう。」

藍「感謝するなら地獄の女神にするんだな。お前を直接御したのだからな。」

妹紅「……でも、お前達も私の為に精一杯叫んでくれたんだろ。これに感謝せずにどうするんだよ。」

藍「……そうか。」

フランドール「ふふっ。気分が良いわね。」


私は藍とフランの元を後にし、ヘカーティアの元へと向かった。



が、その時だった。



ギィィィ……


妹紅「ん?扉?というと……。」


扉の開く音が聞こえる方向を向く。



「……おや、終わったのか?遅かったか。」

「えー!?つまんなーい」


そこには、こいしと秘神が居た。


妹紅「お、こいしじゃないか。」

こいし「あ、妹紅!もー、お楽しみとっちゃったのー!?」

妹紅「え?え?」

こいし「私ねー、このおばさんに『楽しい遊びが待ってるぞ』って言われて喜んでここに来たのよ?でも何も無いじゃない!貴方が良いとこど」

隠岐奈「うるさい。」

こいし「りぃぅ!?」


隠岐奈がこいしの口を塞ぐ。


隠岐奈「さて、教えてくれないか。何があったかを。」

妹紅「掻い摘んで話すよ。」



……氷華が実は敵じゃなかった事。

……私が危うく皆を焼き尽くすところだった事。


主にその2点に関して話した。


隠岐奈「ふむ……つまり、お前は勝手に思い上がって人殺しまでし掛けたと。やはり人間だな。」

妹紅「……ああ。」

隠岐奈「おっと、深刻な顔をするな。終わったのだろう?皆の顔を見る限り、もうお前は許されている。あまり気を重くするなよ。」

妹紅「……分かった。」

こいし「いーひーはーふぇーふぃーふぁーいー (いーきーがーでーきーなーいー)」

隠岐奈「っと、もう良いぞ。」

こいし「ぷはあっ!はあっ、はあっ、あー生き返った気分!」

隠岐奈「……全く、うるさい奴だ。」


隠岐奈は微笑みながらそう言った。


隠岐奈「さて、私は先に帰るぞ。」

妹紅「そうか、自分で帰れるのか。分かった。」

隠岐奈「ではな、さようなら。」

妹紅「ああ、またな。」


扉はゆっくりと閉まり、戸は消えた。



ふと、後ろを向くと、赤髪と青髪のヘカーティアが居た。



妹紅「うおっ!?……あ、ヘカーティア。さっきは……ありがとう。」

ヘカーティア「やったのは私じゃ無いけどね。まあ私っちゃ私だけど、月の私ね。」

妹紅「お、おう。」

地球ヘカーティア「太鼓の付喪神は見つかったわよ。傷だらけだけど。諏訪子も危ないし、そろそろ帰りましょうか。」

妹紅「そうだな。早くしないと。」



私は氷華の元へ急いで向かった。


氷華「……」

妹紅「氷華……そうか、お前が一番……」

氷華「……大丈夫だ。大事には至らなかったからな。」

妹紅「……済まなかったな。話を聞いてやれなくて。」

氷華「……さっきのお前を見てて、とても人間らしいなって思ったよ。私にもあんな感じで誰かを守ろうとしてみたいなって。」

妹紅「守る……そういえば、お前には守るべき神が居るって。」

氷華「ああ。私の唯一無二の神だ。」

妹紅「……しっかり、守ってやれよ。私みたいに、誰かを犠牲にし掛けずに、な。」

氷華「……ああ!」


私と氷華は、握手を交わした。



月ヘカーティア「お取り込み中失礼。そろそろ帰らないとマズいわよ。」

妹紅「っと、そうだな。氷華、頼んだぞ。」

氷華「分かった。では……」



「待ってくれーー!」


氷華が転送しようとした時、声が響いた。


その声の主は、あの魔法使いだった。


こいし「あー!魔理沙ー!」

魔理沙「ん?何だ?耳鳴りか?」

こいし「もしもし、今貴方の後ろにいるの。」

魔理沙「うおっ!?……何だお前か。ビックリさせるなって。」

こいし「へへー」

魔理沙「お、フランに藍、妹紅にぬえ、マミゾウにヘカーティアまで居るじゃないか。……ん?おいヘカーティア、お前が抱えてるのって……。」

月ヘカーティア「ええ、諏訪子よ。傷だらけだけど。」

魔理沙「大丈夫か……?それに雷鼓まで……!」

雷鼓「何とか……ね。」

魔理沙「何があったかは知らないが、とにかく早く戻ろうぜ!」

地球ヘカーティア「そうね。氷華、お願い。」

氷華「あ、ああ。改めて……転送!」



……周りの景色が変わる。


……これで帰れるのか。


……長かったな……



……でも何故だ。

何かが足りない気がする。

私は何かを分かっていない。

……恐らく。

何かは分からない。

ただ、それは非常に重要である事は何となく分かる。


……私はそれを知らない。

……何故だろう。

……それを知らない事によって、「再び誰かを傷付けてしまうんじゃないのか」って思ってしまう。



……ああ、また退屈な日々が始まる。

……また、殺し合いの日々が始まる。

……何の変哲も無い、私達の日々。

……そんな日々を送るなら……



……死んだ方がマシだ。





……私はそんな複雑な気持ちで、迷いの竹林へと着いた。


……これ以上考えても何も無いな。


……寝るか……。



「あら、帰って来たのね。」



……まあ、寝れないよな。


……仕方ない、やってやるか。



妹紅「はあ……あまり気分が乗らないが、殺されたいなら良いさ。……お前も私を……殺してくれよ!」



……でも、私達は死なない。死なないが故に殺し合う。延々と。

ああ、実に退屈だ。だが……

それもまた、良いのかもな。





……そうだろ、輝夜!



NORMAL END

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