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東方紅氷譚 〜 Absolute or Phoenix.(旧)  作者: クルセイダー
喪ったもの
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終章・B「永久の悔い」

ドゴオオオオオオオン!!



私の炎は最大出力となり、大爆発を起こした。

同時に、私の身体は焼け尽くされて灰となった。


氷華「ぐわあああああ!!」


氷華は爆発に呑まれ、氷となって砕け散った。


まあ、直に復活するだろう。


私は一足先に復活するとしよう。


何も無い空間に炎が顕現し、そこから新しい命を宿した私が現れた。



……ん?何も無い空間……?



……!!


……待てよ。


……私は今、最悪の事態を想像した。

まさか、あの時……!



氷華「……お前は聞いていなかっただろうが、もう一度言おうか。『このままだとお前の仲間が燃やし尽くされる』と。」



…………!!!



妹紅「な……」



私は言葉を失った。

もう一度周りを見渡す。

そこには、藍も、フランも、狸の旦那も、ぬえも居なかった。

そして、赤髪と青髪のヘカーティアさえ、居なかった。



この世界に残るは、私と氷華、そして諏訪子と太鼓の付喪神、金髪のヘカーティアのみ。



……諏訪子と金髪のヘカーティアに合わせる顔が無い。



氷華「……今なら分かるな。洩矢諏訪子を斬ったのは私では無い。ヘカーティア・ラピスラズリも言っていただろう。濤淵という奴だ。濤淵は非常に底の知れない危険な能力を持っている。その能力で私の大剣を操り、洩矢諏訪子を斬ったのだろう。」

妹紅「……そうか。」


気力の無い返事をした。

もう、どうでも良くなった。



後方から扉の開く音が聞こえた。

私は虚ろな目で振り向いた。


……秘神か。それに……こいしも。


見ろよ、仲間を灰にした間抜け面がここにいるさ。



隠岐奈「……何が……!?」

こいし「ねー、どうしたの?これ。」

こいしが重い空気に合わない元気な声で問う。


氷華「……微かに残る熱気で、察しろ。」

こいし「へ?熱気……熱気……、あー!フェニックスがいるー!犯人みーつけた!」


不死鳥(フェニックス)……いや、私はもう、死んでいる。死んだも同然さ。



こいし「犯人は即逮捕だよ!」

隠岐奈「……妹紅。お前が、やったのか……?皆を……。」

妹紅「ぐっ……」



……激しい罪悪感が私を襲う。



妹紅「……ああそうさ。私は、欲に負けた。諏訪子を助けたい、ただそれ1つの欲だけの為に、皆は散った。」

隠岐奈「……!!」

こいし「ねーおばさん!早く逮」

隠岐奈「黙っていろ。」

こいし「ほゅぅ!?」


隠岐奈がこいしの口を勢い良く抑える。



隠岐奈「……妹紅。私はお前を裁いたりはしない。だが……いずれは裁かれるだろう。お前が身を挺して守ろうとした神と、残された地獄の女神……」



「残されて無いわよ。」


妹紅「なっ!?」

隠岐奈「何だと!?」


突如背後から声が聞こえ、振り向くとそこには、私が焼き尽くしたはずの赤髪と青髪のヘカーティア、そして、諏訪子を抱えている金髪のヘカーティアが居た。



「……私も……いるわよ。」


そして、太鼓の付喪神までもが居た。傷は酷かったが、青髪のヘカーティアに支えて貰う形で何とか立っている様だった。



隠岐奈「雷鼓!大丈夫か!?」

雷鼓「見れば分かるでしょ……大丈夫じゃ無いわ……。」

ヘカーティア「私の魂は地獄にあるの。だから身体が使い物にならなくなってもこの通りよ。」

隠岐奈「何と……ほとんど不死身と言うことか!」

地球ヘカーティア「そう、貴方みたいにね、妹紅。」

妹紅「……くっ」

月ヘカーティア「諏訪子はまだ目を覚まさないわ。だけど、このまま目を覚ましたらマズイわね?」

妹紅「…………」



何も、言えなかった。



こいし「ふぁなふぃふぇほー (はなしてよー)」

隠岐奈「もう少し我慢しろ。……氷華。幻想郷への帰り道は作れるのか?」

氷華「可能だ。……良いのか?」

隠岐奈「ああ。私は扉で帰れるが。……っと、もう良いぞ。」

こいし「ぷはあっ!はあっ、はあっ……あー空気が美味しいなあ!」

隠岐奈「……もう一度抑えようか?」

こいし「ダメ!死んじゃう!」



……死。


ああ、私にも来ないのか。


ここに来た時を思い出す。


炎に包まれて、そのまま死ぬかもしれなかったあの時を。


……こうなるのなら、そのまま死んだ方がずっと幸せだったろう。


ああ、悔やんでも悔やみきれない。



私の目には、後悔の涙が溜まっていた。



氷華「準備、出来たぞ。」

隠岐奈「ご苦労。では、私は先に戻るぞ。……さようなら。」

雷鼓「ええ、また……会いましょう。」


隠岐奈は扉の中へと入り、ゆっくりと戸を閉めた。


ヘカーティア「あ、地球と月の私は先に帰ってて良いわよ。……あーまあ地球の私は残っても良いけど。」

月ヘカーティア「早く諏訪子を送り届けろと言う事ね?」

ヘカーティア「ええ。巫女と山神に伝えておいてね。……不死鳥を赦すなと。」



……!!


月ヘカーティア「ええ、分かったわ。」

地球ヘカーティア「私も帰るわ。それじゃあ氷華、転送お願い。」


「待ってくれー!」



突如声が響いた。

その声は聞いた事があったが、この世界で聞いたのは初めてだった。

声の主は、急いで走って来た。



こいし「あー!魔理沙!」

魔理沙「ん?どこからか声が……」

こいし「今、貴方の目の前にいるの。」

魔理沙「うお!?……何だお前か。驚かすなよ。……それに、妹紅とヘカーティア、雷鼓までいるじゃ無いか。1人知らない奴いるけど。」

月ヘカーティア「その人はこの世界から出してくれる人だから退治しちゃダメよ。」

魔理沙「そ、そうか……って諏訪子!?どうしたんだ!?後雷鼓も良く見たら傷が酷いじゃないか!」

地球ヘカーティア「ああ、話すと長くなるからまた後でね。」

魔理沙「お、おう。……あれ、赤いお前と妹紅は良いのか?」

ヘカーティア「ああ、ちょっとお話があるから。」

魔理沙「そうなのか。じゃ、先行ってるぜ。」

こいし「帰るー」

氷華「……行くぞ。転送!」



私とヘカーティア、氷華を除く皆が元の世界に転送された。



ヘカーティア「……さて、妹紅。」


ヘカーティアの目が鋭く光る。


ヘカーティア「貴方は仲間を犠牲にした。その件で貴方を地獄に落とす。」


全身から溢れ出るオーラ。それはとても凄まじいものだった。



……私にはもう、幻想郷に生きる資格なんて無い。

だから……


……ヘカーティア。

……氷華。


……頼む。


ヘカーティア「一生……悔しがれ!!」



……私を永久に、ここに閉じ込めてくれ。



BAD END

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