第24話「決意固めて」
ヘカーティア「……なるほどねえ。」
氷華はとある神様を助ける為に敢えて敵勢力に入り、私達と戦っていたのね。
そして、敵勢力の動向を探り、その神様を救うと。
どうやら、その神様は前に氷華が言ってた「濤淵」って奴が利用しているみたいね。神を利用する奴は、私が許さないわよ。
氷華「色々と済まないな……。」
ヘカーティア「私は別に問題無いわよ。むしろ、私の方こそ謝るべきかしらね。貴方を何度も倒したし。」
氷華「その件は大丈夫だ。」
ヘカーティア「……あ、そうだ。その敵勢力の人員を知ってる限り教えて欲しいんだけども、良いかしら?」
氷華「構わない。そうだな……まずは奴から……」
……ん?
ヘカーティア「ゴメン、少し待って。」
氷華「どうした?」
月の私が臨戦態勢に入っている……
何があったのかしら?
……何が起きているんだ。
突然諏訪子が斬られて、氷華の大剣が独りでに浮いている。
夢……な訳ないよな。炎の味が身体にしっかり染みている。諏訪子の傷だって、酷く鮮明だ。
月ヘカーティア「……異界の私に何かあった訳でも無い……なら何故ここに氷華の大剣が……!?」
その時、氷華の大剣はその場で勢いよく回転し出した。
妹紅「回った……?」
氷華の大剣は回転により風を巻き込み、絶対零度の竜巻と化した。
妹紅「んなっ!?」
月ヘカーティア「……如何にもヤバそうな竜巻ね。こりゃあ私でも危ないかもね。」
その竜巻は徐々にこちらへ近付いて来ていた。
諏訪子「……ぅ」
妹紅「クソッ、どうすれば……!」
月ヘカーティア「……ここは一か八か……!」
「きゅっとして」
……え?
「ドカーン」
ふと後ろを振り返ると、そこにはフランがいた。
ドゴオオオオン!!
フランはお得意の破壊能力で、氷華の大剣を破壊してみせた。
月ヘカーティア「……マズい、このままだと風が拡散して……」
「その心配は要りません。」
なっ……?
「仙狐思念!」
フランの後ろから、藍が現れた。
そして、藍は術を放ち、障壁を展開した。
風はその障壁に完封され、収まった。
妹紅「フラン!それに藍!」
フランドール「間に合ったわね。青い神様が教えてくれたのよ。妹紅達が危険に晒されてるのかもしれないって。」
藍「どうやら地獄の女神は3人の間である程度のやり取りは出来るようだ。そして、状態も把握が可能、と。」
妹紅「そりゃあ凄いな。で、あの持ち前のパワーとスピードか。敵に回したらあの時の氷華みたいになりそうだ。」
私は冗談めかしてそう言った。
……まあ、強ち冗談でも無いけどな。
「儂等も居るぞい。」
「見せ場取られたー!」
「仕方ないじゃろ、適任がいたんじゃ。」
この声は……!
フランと藍の後方から、狸の旦那とぬえが歩いて来た。青髪のヘカーティアも居た。青髪のヘカーティアは金髪のヘカーティアの元に向かい、話している。
マミゾウ「いやはや、まさか氷華殿の大剣が独りでに動いておるとはな。氷華殿は何を考えておるんじゃ?」
ぬえ「氷華と一緒に残った神様、大丈夫かなあ?」
藍「その点なら心配は要らない。地獄の女神は氷華が手も足も出ない程強い。……というか、完全に遊ばれていたな。」
ぬえ「ひえっ。」
フランドール「まあ、とりあえずあっちに戻ったら氷華を完膚無きまで壊しましょ。……妹紅の仲間も1人、傷付けられているようだし。」
妹紅「……ああ。諏訪子を傷付けた罪は重いさ。氷華はとことん焼き尽くさないとな。」
そう言って、私は諏訪子を見る。
……酷い傷だ。この中で回復手段を持っている者は……諏訪子自身か。
諏訪子は気絶してしまっているから、自身で回復は行えない。
いくら神とはいえ、このまま放置してしまっては命に関わるだろう。
一刻も早く、この世界から出なければ。
私は2人のヘカーティアに呼びかけた。
妹紅「ヘカーティア。……あー、2人共だ。さっさと氷華を倒して、この世界から出よう。……諏訪子が危ない。」
月ヘカーティア「……諏訪子……そうね。行きましょう、氷華の元へ。」
地球ヘカーティア「皆も、行くわよ!」
青髪のヘカーティアは、他の皆に呼びかけた。
フランドール「分かったわ。さて、どう壊そうかしら?……と言っても、1つしか無いけどね。」
藍「……」
マミゾウ「のう、ぬえよ。見せ場を作るならこの後じゃぞ。」
ぬえ「分かってるよ!正体不明の恐ろしさを氷華に教えてやるさ!」
……あれ?
そういえば、秘神と太鼓の付喪神が居ない。
そして、赤髪のヘカーティアも。
何があったんだ?
妹紅「なあ藍。後3人はどこ行った?」
藍「え?……はっ!?」
藍は驚く。
青髪のヘカーティアとフランも「あっ」と声を上げた。
フランドール「……そういえば居ないわね。……まあ、神様2人の方は知ってるけど。」
妹紅「何があった?」
藍「秘神の方は覚妖怪を連れてくるそうだ。」
妹紅「こいしを……!?……そうか、能力が戻っているなら大丈夫か。」
能力が戻っているなら、暴走する事も無いだろうし、あの影の薄さが役に立つかもな。後普通に戦力にもなるし。
地球ヘカーティア「そして、異界の私は氷華の元へ残ったわ。」
妹紅「なっ!?何故だ!?」
地球ヘカーティア「何か話があるみたいよ。中身は分からないけど。」
妹紅「意思疎通出来るんじゃ無いのか?」
地球ヘカーティア「……ダメね、応答しないわ。ただ、倒れている訳でも無いし、戦闘にもなっていない。」
妹紅「どういう事だ……?」
ヘカーティア、一体何を……
藍「しかし、付喪神の方は不明だな……。あっちを出る時は一緒に居たんだが……。」
地球ヘカーティア「そうね。あの付喪神は私達と共にこちらに来ていたわ。……でも付喪神は居ない。……もしかしたら、異界の私に気付かれずに色々と仕込んでいるのかもね、奴は。」
氷華……!
妹紅「……」
藍「私達に気付かれずに何をしたんだ……!」
フランドール「……これは、ますます破壊しないとね。」
マミゾウ「そうじゃな。本当に、何を考えておるんじゃ、彼奴は。」
ぬえ「これはモタモタしてられないね!行くよ!」
地球ヘカーティア「それ私がさっき言ったんだけどね。まあ、付喪神の行方も探りつつ、氷華と決着を着けましょう。」
妹紅「ああ!」
氷華。
諏訪子の痛み、刻み付けてやるよ。
続く