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東方紅氷譚 〜 Absolute or Phoenix.(旧)  作者: クルセイダー
動き出す氷の計画
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第20話「覚悟の不死鳥」

……よしあった、この穴だ!


妹紅「諏訪子!ここだ!」

諏訪子「分かったわ!」


私と諏訪子は、狸の旦那とぬえと2人のヘカーティアがいる穴へと向かった。



だが……そこで見たものは……



氷華「……遅かったな。」


妹紅「なっ!?」

諏訪子「えぇ!?」


2人のヘカーティアの筈が、何と2人の氷華になっていた。……そして何より……


妹紅「旦那!?ぬえ!?」


狸の旦那とぬえが、氷漬けになっていた。


氷華B「簡単に言うとだな、私があの女神の能力を奪ったのだ。」

妹紅、諏訪子「「!?」」


能力を奪った……だと!?

……いや、単に能力が失われるだけなら分かる。現にここに来た者の能力はほとんど失われている。だが奪った……!?そして、氷華はヘカーティアの様に別の身体を扱えている。数も、ここにいる2人とヘカーティアが対応している1人の合計3人とヘカーティアと同じ……まさか、能力を奪うのが氷華の能力……なのか……?



……ダメだ、考え過ぎても何も変わらない。

なら、起こす行動は一つ。



妹紅「……氷華。お前を永遠に焼き尽くしてやる!」


言葉と同時に、激しい炎を纏った。


諏訪子「ひゃあ!?……え、妹紅、能力が戻ったの……!?」


……そういえば諏訪子にはまだ言ってなかったな。


氷華C「……何故だ……?何故燃え尽きない……?お前の能力が無い以上、そのまま自滅するはず……。」

妹紅「……ある大賢者に助けて貰ったのさ。そして私は……以前よりも強くなった!」

諏訪子「大賢者って……ああ、あいつね。」

氷華C「……八雲紫か……おのれ……!」

妹紅「これで……思う存分戦えるな!!」



藤原妹紅&洩矢諏訪子vs或金氷華×2


私は、背中に焔を翼を具現し、2人の氷華を巻き込むように突撃した。


妹紅「火の鳥……鳳翼天翔!!」

氷華B「ぐっ…!」

氷華C「これが藤原妹紅の本来の……いや、それ以上か……!」

妹紅「まだだ!」


私は、火力を更に高め、それを私の左側にいる方の氷華へ叩き込んだ。


妹紅「凱風快晴……フジヤマヴォルケイノ!!」

氷華B「ぐわああああ!」


炎は炸裂し、片方の氷華を倒す事に成功した。


氷華C「マズい、私はあの神を……!」

諏訪子「あら、来るの?果たして、今度は倒せる……かなっ!」


諏訪子は、向かってくるもう片方の氷華に対し、あの時に氷の塊をいとも容易く破壊した鉄の輪を二つ、勢いよく投げた。氷華は咄嗟に大剣で防ごうとする。

……しかし、


ガキィィィン!


氷華C「なっ、何だとっ!?」


氷華自体は無傷だが、大剣が上へ弾かれる程の衝撃を受け、氷華は態勢を崩した。

そこを、諏訪子が逃すはずが無かった。


諏訪子「とどめっ!」


諏訪子は跳躍し、空中で鉄の輪を二つともキャッチし、氷華の上から思い切り振りかぶった。


諏訪子「はあああっ!」


諏訪子の鉄の輪は氷華へクリーンヒットし、そのまま氷華を叩き落とした。

諏訪子は地上に着地すると、得意げな表情で言った。


諏訪子「どう?洩矢の鉄の輪の味は!甘く見ちゃいけないよ!」


……だが、私は身体を迸る激しい炎を収める事はしなかった。……氷華は恐らく、いや、確定と言っても良いだろう。あいつは私と同じ不老不死だ。という事は、いつ復活してもおかしくない。私は、倒れた2人の氷華を見つめていた。


諏訪子「……妹紅ー?戻らないのー?」


諏訪子は遠くから私を呼んだ。


妹紅「…………」


だが、ヘカーティア達の様子も気になる。かと言って、このまま狸の旦那とぬえを置き去りには出来ない。……かくなる上は……。


妹紅「諏訪子、少し待っててくれ。この氷を溶かす。」

諏訪子「え、大丈夫なの?中身燃えたりしない?」

妹紅「……正直、保証は出来ない、だが、この2人なら平気だろう。」


私はそんな根拠も無いようなあるような事を言い、火力を抑えて炎を放射した。氷は思ったより溶けやすく、案外簡単に狸の旦那とぬえを救出する事が出来た。


妹紅「……ふう。」

諏訪子「おお、無事……なのかな?」

妹紅「一応氷華達が来る前には意識は戻っていたらしいけどな。」

諏訪子「……ふーん。ところで、誰なのこの2人。」

妹紅「狸の方が二ッ岩マミゾウ。もう一方が封獣ぬえ。2人共、スパイとして氷華側に回っていたが、後に私達の仲間となった。」

諏訪子「スパイ……ねえ。確かに、敵の目を欺けそうな能力持ってそうだわ。……あでも、能力は失われてるんじゃ?」

妹紅「スパイの時は能力を返して貰ってたみたいだ。だが、私達の仲間になった後はまた失ったらしい。」

諏訪子「……つまり、氷華は『能力を操る能力』……? なんかややこしいねえ。」

妹紅「そこに不老不死と絶対零度と来たもんだ。……恐ろしい奴だ。」



……その時。


氷華B「アイシクルブレイド!」

氷華C「瞬冷(しゅんれい)(つるぎ)時雨(しぐれ)!」


一方は大剣の周りに氷を纏わせて氷の刃とし、もう一方は上空から鋭い氷柱を大量に降らせてきた。


だが、今の私にはそんな物は効かない。


私は咄嗟に、私達4人を覆うように炎を展開し、氷華達の奇襲から身を守った。


氷華B、氷華C「ぐっ……!」

妹紅「……やはり復活してきたか。常に警戒をしてた甲斐があったもんだ。」

諏訪子「妹紅、ありがとね。私でも驚く程の反応速度だったよ。」


何だか照れくさかったが、表情には出さず、氷華達を睨んでいる。


妹紅「……さて、後何戦する?お前が不老不死なのはもう分かってるんだ。能力もな。……こうなったら、お前が懲りるまで退治してやるよ。」


私がそう言うと、氷華達は嘲笑うかの様に返した。


氷華B「フッ、不老不死なのは確かだ。だが、能力を操るのは私じゃない。」

妹紅「何だと?」

氷華C「そして、退治だと?『人間』を退治するのは、どうかと思うがな。」

妹紅「な……」


私は耳を疑った。


妹紅「お前も……人間だと……!?」


不老不死の人間。まさかここまで私と似ているとはな……。これは、もはや偶然とは思えなくなってきた。


妹紅「……そうか。なら……」


私は、段々思考が出来なくなっていた。


妹紅「……氷華。」


……ダメだ、止めろ妹紅。止まるんだ。

私は自分に言い聞かせる。



……そうだ。ここで私が欲に従ったらこの世界は間違いなく滅びる。今のこの火力だとな。


そうしたら、皆が、諏訪子が無事では済まない。



仲間を犠牲にするぐらいなら、自ら犠牲となるさ。


私はそんな覚悟で氷華を一瞥した。


妹紅「……氷華。お前を完全に燃やし尽くしてやるさ!たとえ、人間でもな!」



続く

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