第19話「いと恐ろしき黒き玉」
雷鼓「不老不死……だって……!?」
藍「まさか、彼女は妹紅と同じ……?」
……不老不死。隠岐奈のその言葉に、ヘカーティアも反応した。
ヘカーティア「……なるほどねえ。だからわざわざ砕け散って何処からか湧くという訳ね。でもまあ、復活次第倒すんだけどね。」
隠岐奈「……お前には疲れという概念が無いのか?」
ヘカーティア「あるにはあるけど、この程度じゃ全く疲れないわよ。」
隠岐奈「……私は基本動かないからな。私がそんなに動いたら、秘神とはいえ疲れの一つも出るだろう。」
ヘカーティア「あら、貴女も神様だったのね。私は地獄の女神、ヘカーティア・ラピスラズリよ。」
ヘカーティアは自己紹介しながら、なお氷華を倒し続けている。
隠岐奈「地獄の女神……か。聞いた事があるな。私は秘神、摩多羅隠岐奈だ。」
秘神も自己紹介を終えたところで、ヘカーティアは私の元へとやって来た。なお、氷華を倒し続けている。
ヘカーティア「妹紅、どうやらあの子達が目を覚ました様よ。行ってあげたら?」
妹紅「ほ、本当か!?だが、良いのか…?」
ヘカーティア「気にしないで。私は遊んでるから。」
妹紅「お、おう。」
と言って、私はすぐ……には行かずに、諏訪子の方を見た。
妹紅「諏訪子……ついて来てくれるか?」
いくら狸の旦那とぬえには他のヘカーティアが2人もついてるとはいえ、何があるかは分かったものじゃ無い。戦力は多い方が良いからな。
諏訪子「ええ、勿論よ。当たり前でしょ?」
それに対して諏訪子は、明るい笑顔で返事をした。
妹紅「ああ、そうだな。……じゃあヘカーティア、この場は任せたぞ!」
私はそう言い放って、諏訪子と共に旦那とぬえの元へ向かった。
ヘカーティア・ラピスラズリvs或金氷華
さて、後何回倒してやろうかしら。100?いや、1000かしらね。神を踏みにじった罪は重いわよ。不老不死?ならその暗い人生を愉しませてあげるわよ。私が飽きるまでね。
そう言いながら私は、ひたすら、ひたすらに倒していく。
退屈なんて与えないわよ。
しかし、約100体ぐらい倒したところで、奴の動きが止まった。
あら、バテたのかしら?
氷華「……このままじゃキリが無い。……『濤淵様』……、力をお貸しください……!」
その時、奴の手には水晶玉の様な物が握られていた。そして、濤淵……?誰かしら。恐らく奴の親玉かしらね。
まあ、さっさとあの玉を壊して、遊びの続きと行きましょうか。
私は即座に奴に肉薄し、玉に蹴りを入れた。
……しかし。
氷華「……掛かったな。」
ヘカーティア「何だと?」
その刹那、玉から黒い光が解き放たれた。
……目くらましのつもりかしら?そんなの、私には……
はっ……!?
今、何かが私から無くなったような喪失感に苛まれた。
ヘカーティア「今……何をした……?」
氷華「濤淵様の能力が込められたこの水晶玉で、お前の能力を『奪った』のだ。」
藍、雷鼓「「!?」」
隠岐奈「奪った……だと?」
辺りが静まりかえり、緊迫感が更に増した。
……能力を奪った……ですって!?
だとすると……
……!!
マズい、あの子達についてた他の私が居なくなって……いや、もしかすると、他の私が『他の氷華』として入れ替わってるかもしれない……!
続く